作家山本文緒のガンになっての終末を綴った本と訪問看護士森山文則の終末と多くの看取りのドキュメントを読んで、ちょっと重たかった。
まるで違うところに飛ぶのも手だけれど、これで少し癒やされるかもしれないと買ったのがこの小説。本の帯で女優宮崎美子がこう言っている。「願わくば人生の最期に、こんなお医者さんに巡り合いたい。」
話は「エンド・オブ・ライフ」で、森山文則が務めていた診療所と同じ京都の小さな病院が舞台。
”その医師は、最期に希望の明かりをともす・・・。”というのが帯。
主人公は最高峰の大学病院の先端医師から、妹の死により甥っ子の育児を目的に小さな原田病院に身を移した雄町哲朗主人公。
内視鏡処置に抜群の知見と技術をもつ医師が、地域のそれこそ看取りが大きな仕事になる医院で、その意義を見出したというような話。
特に大問題(事象は生死の話だけど)が起こるわけではなく、淡々と人の死も起こっていく。
フィクションだから、これまでのドキュメントよりも、もちろん軽い。ちょっとTVドラマを見ているようなところがあるが、まっ、気楽でいいか。