ジェフリー・ディーヴァーや読みたいのが手に入ったので、途中で中断していたのを読み終えた。
中断してもほとんど問題ない、ストーリーはあの「和歌山毒物カレー事件」。犯人は林真須美ではなくて小林真由美、この事件1998年に発生、大々的に報道されているからほとんどの人が知っているだろうけれど、ある意味私的には決着が付いていない。
動機がはっきりしないことでひっかかっていた。小説仕立てだから書けたとあるのでそこらへんがスッキリしたらと読んでみた。
お話は事件の調査に協力依頼された九州大学医学部衛生学教授、沢井教授たちが急性砒素中毒の検証から犯行の堀を埋めていくというストーリーになっている。
この小説の作者の帚木氏も医師なので一向平気なのだろうけれど、小説前半は残っているカルテをもとに書かれているから、同様の記載に一寸飛ばし読みを入れるし、最後の公判場面も公判記録がもとになるからここらへんもちょっとまどろっこしい。
判決は解っているし小説仕立てなのだから、真由美の犯行心情なんかを織りこんだらともおもうけれど、刑事と教授たちの犯罪立証の小説なのでそこはしょうがないか。
結局犯行の動機については解らないままかというと、小説の最後、この事件にいたる真由美の犯罪経緯と関連つけて、たぶん作者だろうけれど、動機の推論が書かれている。
その内容を書いたら新潮社に嫌われてしまうので、書かないけれど私的にはかなり納得がいって、これでこの件は決着しようかという気になった。嗜癖の病態というのがキーワードだけれど、のどに何か詰まっているように思う人は読んでみては。