ハービー・ハンコックを特に好きなわけではありません。とても人気な人ですが、やっていることがいろいろで、よくわからない感じを受けています。
ところがショップでハービーも対して、思いをこめただろうアルバムがありました。
面子も良いし、相手がハービーなので面白いかと拾っててみました。新譜です。
ベースがC・マクブライトでドラムスがジェフ・テン・ワッツ、ペットにロイ・ハーグローブというのは凄い面子だと思います。
リーダーがピアノのJohn Beasleyという人で、そちらはまるで知らない人でしす。
1曲目、太いベースのラインと幅広いドラムスのリズムで始まるのは、これは子の部分聞いているだけでも楽しくなります。ピアノはハンコックに比較して少し軽いラインのでもなかなか弾く感じです。
2曲目は“処女航海”でしょうか “Bedtime Voyage”という曲です。ハーグローブのソロが冴えて始まります。とても耳に心地よいアレンジで、ハンコックをこれは書き直していることを感じ始めます。
3曲目マクブライトのエレベが驚くほどうまいということを、最近の日本公演で聞きましたが、確かに流れるリズムに絡むように音が出ていて、これはヨーロッパにはない感じです。
4曲目はピアノストのオリジナル、これが良い。ジェフ・テンのドラムス、マクブライトのベースに支えられてしっかりした演奏、この線だけでアルバムが出来たら、アメリカとしても凄いピアノトリオが出来ると思います。(残念ながらアメリカはニーズが少し違うように思います。)
5曲目エレベとフェンダーにのってペットがファンキーに吹くと、ちょっとブルーノートを思わせるサウンドでそれもエレクトリック音になった頃。ハーグローブのペットのフレーズがとても効いて、これイタリアのハードバップと掛け合わせたくなります。
6曲目、ハンコックの“Eye of the Hurricane”は少し激しくということになり、ピアノはアコーステックで演奏しますがある意味枠の中でうまく演奏している感じです。そこに乗るペットは意外としっかり吹くので、逆になぜピアノが破壊的にならないのかとちょっと疑問です。
7曲目はショーターの“Diana”という曲、ベースのソロから結構しっかりしたピアノで実にこのピアノトリオで作品作るべきだと改めて思います。(売れないかも知れません。)
8曲目は再びピアニスト Beasleyの曲ですが、なかなか良い感じの曲で、ホーンと演っても、リズムだけでもこのように、とても安定して聞かせれるのでこの人、きっとこれからも残ってアルバム出していく感じがします。
9曲目のピアノ・トリオ演奏はなかなか美しい、このような演奏は評価して欲しいと思います。
このアルバムタイトル“Letter to Harbie”となっています。
ハービーに対しても思いは強いのでしょうが、ハービーの色を再生するのでなく、自分の色に書き換えているアルバムなのでしょうう。
そこで少し激しさに物足りなさがあったり、変えすぎなどと感じるかもしれません。
とらえどころで少し不明瞭でですが、何度も聴くと、このピアニストがハンコックの曲を使って作っていることが、その人から手紙をもらうように解ってきます。
段々と暖かくなる日は、段々と木々に色がついてきます。
このアルバム、ハービーの手紙というタイトルですが、ハービーの音楽が大好きでそれを自分なりに書き換えた、たとえば桜のつぼみが段々と膨らむ色模様を、美しいと思うので表現しなおした様な感じです。
Letter to Herbie / John Beasley
John Beasley(P,Rhodes,Syn)
Christian McBride(Ac-B,El-B)
Jeff “Tain” Watts(Ds)
Roy Hargrove(Tp)
Steve Taveglione(A-Fl,B-Cl,Syn)
Michael O'Neill(G)
Louis Conte(Per)
Rec. 2007?
1. 4 A.m.
2. Bedtime Voyage
3. Chan's Song
4. Three Finger Snap
5. Naked Camera
6. Eye of the Hurricane
7. Diani
8. Hear and Now
9. Still Time
10. Vein Melter