ピアニストの中でもとても音がうつくしいと思っているチャノ・ドミンゲスは2月にブルーノート東京に出演していて、
NHKのTVにもちょこっと出て弾いていました。
観に行きたかったと思っていたら、ライブのアルバムがショップに並びました。
ベースのマリオ・ロッシとパルマスのトマス・モレノが一緒です。
NYのクラブ、「スタンダード」での録音です。
食器の触れる音の中、落ち着いたピアノのソロが、だんだんとスペイン風なフレーズに変わっていくと、パーカションとベースが加わります。
1曲目は長尺の“フラメンコ・スケッチス”この曲BOB BELDENのアルバム「MILES ESPNOL」でもチャノがピアノを弾いていますから、聞き比べるとおもしろい。出だしのピアノ・ソロ・フレーズーは同じなので、ここはチャノにまかされたところでしょうか。
こちらはカンテもはいって、その土地の人を感じます。
このアルバム、これまでのチャノの活動をたどると、とても意味があるように思います。このライブの前のアルバムが「
PIANO IBERICO」でフラメンコ度がというか郷土色が
ずいぶん増してきました。
新しいアルバムは、マイルスの「KIND OF BLUE」の全曲です。それもニューヨークでのライブ演奏、ジャズとフラメンコを一つの枠で演奏してきた
チャノ真っ正面の挑戦です。
一度落ち着いたピアノは、パルマスをバックにまた熱を帯びていくのです。
2曲目ピアノが“Freddie Freeloader”のメロディを浮かび上がらせると、このアルバムの楽しさと気迫が解るのです。
マイルスの曲をつづけることは、フラメンコJAZZがNYにきて、ジャズに挑んでいること、それも見事に弾ききることで
ニューヨーカーを熱く盛り上げるのです。
3曲目“ Blue In Green ”をカンテで聴けば、一寸ポップスを演歌で聴くみたいな感じもありますが、チャノの美しいピアノを引き立たせます。
4曲目“So What”をフラメンコのリズムにのせて、手拍子とタップが、あわないかとおもえばまるで違和感がありません。
5曲目、もっと結びつかない“All Blues”が完全にフラメンコがJAZZに、いや間違えた、JAZZがフラメンコになっているのです。
完全にクラブがヒート・アップしているのが伝わります。
これで“kIND OF BLUE”の全曲がおわりますので、後はアンコールの感じです。
まさかのナルディスのメロディがオリエンタルなのには大笑い、でもチャノはキチンとニューヨーカーへのサービスを入れて、エバンスの可憐なフレージングも忘れません。
ほとんどの人が知ってるこのアルバムをベースに、マイルスがもつフラメンコ心、フラメンコとジャズの同時演奏、(それぞれの本質がある)、エバンスのナーディスまでフランメンコにして、チャノのこのアルバムがチャノの集成と評価したいと思います。
ブルーノート東京がどのような選曲だったのか解りませんが、とても楽しい舞台だったのだろうと確信しまし、そしてチャノの活躍の場が多くなることも確信しました。
この跡にご本尊をききましたが、もちろん別格、それは別格ですが、でもこのように演奏することで、新しいものの土台が出来ていくのでしょう。
Flamenco Sketches / Chano Domínguez
Chano Domínguez: Piano
Mario Rossy: Bass
Israel “Piraña” Suárez: Percussion
Blas “Kejío” Córdoba: Vocals, Palmas (Hand Claps)
Tomás “Tomasito” Moreno: Palmas (Hand Claps)
1. Flamenco Sketches (16:04)
2. Freddie Freeloader (9:33)
3. Blue In Green (8:09)
4. So What (7:46)
5. All Blues (6:54)
6. Nardis (9:06)
7. Serpent’s Tooth (3:39)