水きよみ池のはちすの花ざかりこの世のものと見えずもあるかな(堀河百首)
夏の池のはちすの露を見るからに心ぞことに涼しかりける(堀河百首)
雨すぐる池のはちすの夕風にゆられて落つる露のしら玉(広沢切)
はちす咲く池のゆふ風にほふなり浮き葉の露はかつこぼれつつ(俊成五社百首)
はちす咲く池のみぎはに風ふけば心のうちもかをりあふかな(断簡)
はちす咲くあたりの風もかをりあひてこころの水を澄ます池かな(拾遺愚草員外)
夏の池の水のおもかくす蓮葉(はちすば)にただよふ露の身をいかにせむ(好忠集)
いかにしてにごれる水に生(お)ひながらはちすの花のけがれざるらむ(堀河百首)
いろいろの花にこころは染めしかど今ははちすのうへをこそ思へ(久安百首)
有漏(うろ)の身は草葉にかかる露なるをやがてはちすにやどらざりけむ(新勅撰和歌集)
この世より蓮(はちす)の糸に結ぼほれ西にこころのひく我が身かな(新続古今和歌集)