真木のとのあくるもやすきみじか夜に待たれずいでよいざよひの月(宝治百首)
夕立の風にわかれて行く雲におくれてのぼる山の端の月(風雅和歌集)
夏の月ひかり惜しまで照るときはながるる水にかげろふぞたつ(新撰万葉集)
かげきよみ夏の夜すがら照る月を天のとわたる舟かとぞ見る(夫木抄)
心ある夏のけしきのこよひかな木の間の月にくひなこゑして(風雅和歌集)
夏の夜もすずしかりけり月かげは庭しろたへの霜と見えつつ(後拾遺和歌集)
風そよぐ軒ばの竹にもる月の夜(よ)の間(ま)ばかりぞ夏もすずしき(新後撰和歌集)
さらぬだにひかりすずしき夏の夜の月をしみづ にやどしてぞ見る(千載和歌集)
手にむすぶ岩井のしみづ 底みえて影もにごらぬ夏の夜の月(続古今和歌集)
山水のいはもる音もさよふけて木のまの月のかげぞすずしき(風雅和歌集)
すずみつるあまたの宿もしづまりて夜ふけて白き道のべの月(風雅和歌集)
天のとのあくるほどなきみじか夜にゆくかた遠くのこる月影(新後撰和歌集)
夏の夜の月はほどなく入りぬともやどれる水に影はとめなん(後拾遺和歌集)
明けぬともなほ影のこせ白たへの卯の花山のみじか夜の月(新千載和歌集)
(2009年8月6日に掲載した「夏の月」の記事は削除しました。)