手にならす扇の風はかよへども草もゆるがず照る日かげかな(新撰和歌六帖)
みなづきの照る日もいかで過ぐさましたのむ扇の風なかりせば(六百番歌合)
夕されば扇の風をてならして月まつほどもすずしかりけり(六百番歌合)
日くるれば軒にとびかふかはほりのあふぎの風も涼しかりけり(新撰和歌六帖)
おほかたの秋来るからに身に近くならす扇の風ぞすずしき(後拾遺和歌集)
夏はつる夜半ふく風のすずしきにねやの扇ぞまづ おかれぬる(新撰和歌六帖)
夏はつる扇と秋の白露といづ れかまづ は置かむとすらむ(和漢朗詠集)
手なれつる扇も今は夏すぎて露よりさきに置かれぬるかな(風葉和歌集)
つねよりも身にもしむかな夕されの君にあふぎの風のけしきは(永久百首)