しげりゆく夏野の草のふかみどりなびく葉ずゑの風ぞ涼しき(宝治百首)
うすけれど衣(ころも)は千重(ちへ)のここちして吹けども風の身にぞさはらぬ(新撰和歌六帖)
ゆきなやむ牛のあゆみにたつ塵(ちり)の風さへあつき夏の小車(をぐるま)(玉葉和歌集)
庭のおもは日かげゆるがぬ夏草になびくばかりの風ぞ涼しき(夫木抄)
かはづ 鳴くはすの下葉のさざなみに浮き草わくる夕ぐれの風(千五百番歌合)
夏の日もかたぶく池のはちす葉にゆふなみこゆる風ぞすずしき(新続古今和歌集)
夏山のみどりの木々を吹きかへしゆふたつ風の袖にすずしき(玉葉和歌集)
吹く風に我が身をなして草しげみ葉分けをしつつ逢はんとぞ思ふ(古今和歌六帖)
(2009年7月31日に掲載した「夏風」の記事は削除しました。)