園長です。
私は、毎朝みのもんたの「あさズバ」を見ています。毎週土曜日は特集を組んで、年金やら政治やらああでもない、こうでもないと激論を飛ばしていますが、今日の特集は私達保育の世界でも通じることだなあと思い深く考えさせられました。それは中高年の仕事を紹介したものでした。林業に携わる67歳の職人の弟子は50歳代の男性です。転職した挙句のきこりの世界ですが、木を1本切るだけでも、緻密な計算、深い洞察が必要とのこと。番組では1本の杉の木を切るのに、いろいろな角度から計算し、360分の1の倒し場所を選定していました。師匠が見守る中、弟子が注意されたのは「あと2センチ左に切れ込みを入れろ」という指示でした。見事想定通りの場所へ倒した師匠は「根本ではたった2センチだが上に行くほど差が大きくなり、2メートルもの差が出てくる。そしてそれを見極めるのは長年の勘と経験しかない。」と言ったのです。まさに熟練された職人の世界です。そして「手取り足取り教えることはしない、仕事は見て覚えろ。それが一番早く仕事を覚えるこつだ。」、職人の心意気が伝わってきました。
保育園では、学生(保育士を目指す短大、専門学校の学生)が保育園で実際に保育を体験する「保育実習」と言うものがあります。初めての保育の実践なので学生もそうですが私達も緊張します。そしてなるべく困らないように、微に入り、細にいり説明し、その上やってみせ、理解させます。はっきりいって「やりすぎ」だと思います。困ったときに相談してね、で思ったことをやってもらった方が楽しい実習になるのではないでしょうか。私達もついつい、優しく、解かり易く・・・と思って指導しますが、根本が間違っているのかもしれません。先日来た実習生は今までにないタイプの学生で、職員ともども大いに考えさせられました。まさに「仕事は見て覚えろ」くらいが実習生にはちょうど良いのかもしれません。それで、出来ないのであれば「選択ミス」です。勇気ある撤退も時には必要になるかもしれません。保育園は、「子どもが好き」でなければ出来ない仕事ですが、子どもが好きだけでは保育士にはなれません。子ども達の良い手本、社会人として一番身近な大人であることを自覚しなければいけないと思います。保育士しか出来ない、保育士にでもなろうか・・・そんな人には保育士になる資格はありません。子ども達の将来を大きく左右する責任重大な仕事なのです。給料は高くありませんが、やりがいのある崇高な職業だと私は思います。仕事の多さの割には報われることが少ない保育士ですが子ども達の笑顔と卒園してから、「ありがとう」と言われるとありったけの笑顔で返したくなります。仕事は教わるものではなく、自分で考え、先輩を見て覚えるものなのですね。私はいい先輩をたくさん持っているような気がします。