二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

大型本「断腸亭日乗」を処分しよう

2024年09月10日 | シャッフル/books
永井荷風の「断腸亭日乗」(なぜか第3巻のみ2冊)の全巻揃い( ´◡` )  大きな重い本なので、読むのをためらっていたのです。 そうしたら岩波文庫から第1巻の配本がはじまった。 これで単行本は用なしとなりまする。 BOOK OFFへでも持って行こう。 この写真を撮ったのは2019年5月。心身ともにいまより体力あったなあ。 そういえば、ついこのあいだは「夏目漱石全集」を処分しました。 バラで10 . . . 本文を読む
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「世界でもっとも美しい遺書」ヴァージニア・ウルフ

2024年09月01日 | シャッフル/books
《もし誰かが私を救ってくれたのだとしたら、それは紛れもなくあなたでした。あなたの優しさを確信する以外、もう私には何も残っていません。》と、ヴァージニア・ウルフは遺書の中で書いている。 世界でもっとも美しい遺書といわれる。 昨日彼女の短篇集を買った。21世紀なって、驚くほど評価が上がっている。 世界的にみて、女性の地位が上昇したからだろう。 予告によると、9月に鴻巣友季子訳で「灯台へ」が刊行になる . . . 本文を読む
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吉本隆明「日本近代文学の名作」を読む(新潮文庫)

2024年08月30日 | シャッフル/books
吉本隆明さんが「日本近代文学の名作」(新潮文庫 平成24年刊)という、啓蒙の書に類する本をお書きになっている(*´ω`)  昔読んだときは「ああ、こんなものか」と、大急ぎで読み飛ばした記憶がある。 二度目はじっくり読ませてもらっている。 視力が弱くなってからの著作のようだ。毎日新聞の編集者が構成し、あらためて著者自身が補筆して出来上がったのだそうである。 一作につき文庫本にして6ページ程度。 . . . 本文を読む
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「修善寺の大患」以後の漱石

2024年08月18日 | シャッフル/books
俗にいう「修善寺の大患」以後の漱石を、いつくか読み返そうとかんがえていた。 彼は捨て子であり、心の傷は終生癒えなかった。 解説者石原千秋によると「硝子戸の中」には“孤愁”ともいうべき漱石がいる、という。 彼は49歳で亡くなった。 しかし、立派な晩年だし、老人である。わたしがおもうに「道草」と「明暗」がこの文豪の最高作(´ω`*)  人生の終わりが近づいたら、もういっぺん読み返そうと思っていたの . . . 本文を読む
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1990年代、本は元気があった

2024年07月28日 | シャッフル/books
このあいだ谷澤永一の「雑書放蕩記」(新潮社 1996年刊)という本が出てきた。そしてそのオビ。 「本は私にすべてのことを教えてくれた―。蒐書六十年、その数二十余万冊、稀有の読書人が熱い心で描く感動の読書自伝。」とある。 20万冊はすげえな(^O^)  谷澤さんといえば開高健さんの盟友だった。 初版が多いようだが、本の写真がぞくぞくと掲載されている。 大部分稀覯本かもしれない。 関西大学で長らく教 . . . 本文を読む
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「髑髏と酒場」正宗白鳥

2024年07月23日 | シャッフル/books
講談社文芸文庫から坪内祐三選で「白鳥随筆」「白鳥評論」がセットで刊行されている。 この2-3日「白鳥評論」を読んでいたが、そこへ新潮日本文學全集12巻がくわわった。 昨夜、見当をつけて、日本文學12巻所収の「髑髏と酒場」を読みはじめたら、これがおもしろかった!!  白鳥は晩年にはめぐまれ、文化勲章をうけた。 「髑髏と酒場」は昭和6年(52)、名高い「明治文壇総評」と同じ時期に発表されている。 小 . . . 本文を読む
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池内さんの「となりのカフカ」

2024年07月16日 | シャッフル/books
昨夜遅く池内紀さんの「となりのカフカ」(2004年刊)を読み了えた。 なかなか愉しめ、ポストイットをたくさん挟み込んでしまった(*´ω`)  最後に新書による“プラハ観光”がついているあたり、著者のエスプリを感じさせる。 わたしが持っているカフカは、新潮文庫の頭木さんの前はほとんど池内さんのものだった。 あしたになったら、日記を書こうかなあ。 長篇「審判」「城」が懸案となってはいる。 しか~し . . . 本文を読む
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福田和也「作家の値打ち」が出てきた

2024年07月09日 | シャッフル/books
福田和也「作家の値打ち」(飛鳥新社 2000年刊)、こんな本があったのを思い出した。 「作家の価値は、人の記憶に残る作品をどれがけ書けるかで決まる。その点からすれば、やはり《第三の新人》までの作家は偉い、というか高い値打ちをもっていると云わなければなるまい。」 文学の世界の“偏向”がどうやら許せないらしい。 全574点のうち、最高点をたたき出しているのは「仮往生伝試文」古井由吉、「ねじまき鳥クロ . . . 本文を読む
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太宰治「富嶽百景」を読み返す♬

2024年07月05日 | シャッフル/books
中村光夫「私小説名作選 上」で、太宰治「富嶽百景」をしばらくぶりに読み返したが、半分ほど忘れていた。 2度目に読み返したのは30代のはじめだったかも♪  「晩年」の諸作と「津軽」が好き。 中でも本作は極上の逸品。 「私小説名作選 上」は田山花袋のはじめて読む「少女病」からスタートするが、これは残念ながら習作レベルである。 徳田秋声、近松秋江、志賀直哉、嘉村礒多など堂々たる私小説作家の代表作に伍し . . . 本文を読む
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講談社学芸文庫の現在

2024年07月02日 | シャッフル/books
新品だとたった3冊で6,000円超え(´Д`)  血迷ったわけじゃないけど、講談社学芸文庫はお高いですなあ。 「群像短篇名作選」2,300円、「戦後文学を読む」2,000円、「明治深刻悲惨小説」1,800円。もちろんこれに消費税が加わる。表紙は金文字でピッカピカ♬  岩波と新潮にはかなわないからねぇ、破れかぶれ? 年表だの解説だのがびっしり付属している。 昔の単行本なみか、それ以上なので、お値 . . . 本文を読む
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