■「老いの生き方」鶴見俊輔編(ちくま文庫 1997年刊) 収録作品覚書をふくめ201ページ
新刊書店をぶらぶら散歩していて、ふと見つけた。たまに、こういうことがある。何かおもしろい本はないかなとアンテナを張り巡らしているから。
新刊なのに、定価560円と良心的な値がついている。2021年に再刊されたものだろう。
《この本は、老いについての文章をあつめた。どのように老い、どのように終るかは、人 . . . 本文を読む
■「同時代の作家たち」廣津和郎 (岩波文庫 1992年刊)
「同時代の作家たち」の冒頭に「あの時代 ―芥川と宇野」という文章が収めてある。小説なのか、随筆なのか、読者を大いに迷わせる。
おもしろいことは、おもしろい♪ わたしは2日間で読み了えた。もっとも実質90ページなので、集中できればなんてことはない。
ところで、岩波文庫に「日本近代短編小説選」
というシリーズがあるのはご存じの方が多いだ . . . 本文を読む
■「私の濹東綺譚」安岡章太郎(新潮文庫 平成15年刊)
永井荷風論は、平野謙さんのもの、江藤淳さんのものを読むつもりでいたけど、結局、安岡章太郎「私の濹東綺譚」を読むことになってしまった。
平野謙 「永井荷風」 『芸術と実生活』所収
江藤淳 「永井荷風論」 『江藤淳著作集 2』
安岡章太郎さんは、読みやすいので、ついついそうなった。平野謙「永井荷風」も、わりと最近読んでいる。
高橋昌男さん . . . 本文を読む
昨夜は寝そびれたため、荷風さんの「浮沈・踊子」(岩波文庫 解説:持田叙子)を半分寝ながら読み、その出来映えに興奮してしまって、かえって寝つかれなくなった。
■ 浮沈
■ 踊子
■ 小品
と分かれている。その「小品」は、
蟲の声
冬の夜がたり
枯葉の記
の3篇からなっている。
BOOKデータベースを参照し、この岩波文庫(2019年刊)がどういった内容のものかをみておこう。
《戦時下に執筆され . . . 本文を読む
(岩波文庫の「雨蕭蕭・雪解」は20代の終わりころ買った、という記憶がある。現在のものは2014年刊。読みたいと思いはじめて、半世紀じゃな。最後まで読んだとして)
今度の読書で心底感心したのは、関根歌の書いたとされる「日蔭の女の五年間」であった。荷風さんより20歳も年下だったこの女性は、もしかしたら、我儘な荷風さんのよき妻(伴侶)となりえた女性だったかもしれない。
《麻布の谷の下あたり . . . 本文を読む
荷風や芥川の追想記事をあつめた岩波文庫がおもしろい♪
内容的にも、そんなにつづけては読めないので、ぽつりぽつりと、現在半分近くは読んでいる。
■「荷風追想」(岩波文庫 2020年刊 多田蔵人編)
文豪の追想シリーズは4冊あるようだが、わたしが最初に目星をつけたのが、この一冊であった。
ちなみに荷風の荷は蓮の意味。
初恋の女性がお蓮(れん)という看護婦だったところから命名したという。
女性たち . . . 本文を読む
荷風のまなざしが、庭にくる“山鳩”(キジバト)を追っている。
《正月七日。山鳩飛来りて庭を歩む。毎年厳冬の頃に至るや山鳩必只一羽わが家の庭に来るなり。いつの頃より来り始めしにや。
仏蘭西より帰来りし年の冬われは始めてわが母上の、今日はかの山鳩一羽庭に来りたればやがて雪になるべしかの山鳩来る日には毎年必雪降り出すなりと語らるゝを聞きしことあり。
されば十年に近き月日を経たり。毎年来りてとまるべき樹 . . . 本文を読む
このあいだ加藤郁乎(かとういくや)編集の「荷風俳句集」を読み了えた。だけどなあ、明らかにこれは“余技”に類する。加藤さんは太鼓を叩いているが、緊張感が、全体に欠けているとわたしは視た。
なぜ買ったのかというと、「私家版 濹東綺譚」に収められていた玉ノ井周辺のスナップ(二眼レフで撮影したものが多い)が「写真と俳句」として付されているからだ。荷風全集のものと比べ、解像感はよくないが。
タイトルに . . . 本文を読む
■安岡章太郎「小説家の小説家論」福武文庫(1986年刊)
吉村昭「わが心の小説家たち」平凡社新書
車谷長吉「文士の魂・文士の生魑魅」新潮文庫
この2冊が、期待した以上におもしろかったので、
安岡章太郎「小説家の小説家論」福武文庫
村上春樹「若い読者のための短編小説案内」文春文庫
の2冊を、あらためて読み返すことにした。
批評家(文芸評論家)による文学論が、一概に“おもしろくない”とはいわ . . . 本文を読む
■「文士の魂・文士の生魑魅」新潮文庫(平成22年刊)
過去に1回か2回読んだ憶えがある。
ところが車谷長吉の小説は「武蔵丸」を読んだだけで、あとはどういうわけか、さっぱり読めないという現象がつづいている(´Д`)
なんといったらいいか、こういう作家が、たまにいるというか、けっこういるものだ。
「文士の魂・文士の生魑魅」についてコメントを残しているかとかんがえたが、過去にはなにも書いていない。
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