二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

舞台裏を明かす  ~吉村昭「わが心の小説家たち」がおもしろい

2024年09月22日 | 吉村昭
■「わが心の小説家たち」吉村昭(平凡社新書 1999年刊) 作家吉村昭は、一時期夢中になって読みふけった。その“時期”を過ぎたらぱったり読まなくなった。自身を責めても仕方ないが、要するに気まぐれなのだ。 「二草庵摘録」を参照すると、28個のコンテンツがならんでいる。これが29個め。 近ごろときたま思い返すのは、これまで読んだ中で、どれが胸の一等席を占めているかというと、 「長英逃亡」(新潮文庫 . . . 本文を読む
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半分絵本・吉村昭「昭和歳時記」

2022年02月20日 | 吉村昭
そうか、吉村さんにこんな本があったんですね(^^♪  BOOK OFFの100円コーナーで発掘。 「昭和歳時記」なんて、ぐっと胸にくるタイトルじゃ、なにしろ昭和の子ですからね、おいらも。近々読みはじめよう。 永田力さんの挿絵もすばらしいです、半分絵本。 うん( ´◡` ) . . . 本文を読む
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漂流記って何だ? ~吉村昭「漂流記の魅力」を愉しむ

2022年01月28日 | 吉村昭
う~ん、これはノンフィクション・ノベルではなく、ノンフィクションそのもの。 蘭学者・大槻玄沢が表した「環海異聞」に基づいて、本書の内容を現代の読者に向けてアレンジしている。 最初の方では漂流記がどんなものであるか、6編もの“漂流もの”を書いてきた吉村さんが、江戸期の漂流を、全体として概観している。 しかし、すぐに若宮丸の漂流の紹介がはじまり、彼らの“世界一周”の旅の紹介に移る。 《日本にはイ . . . 本文を読む
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幕府に殉じた英傑の生涯 ~吉村昭「落日の宴 勘定奉行川路聖謨」の感動

2022年01月26日 | 吉村昭
■吉村昭「落日の宴 勘定奉行川路聖謨」講談社文庫(新装版。原本は1996年講談社刊) 堂々たる長編、しかも充実の一冊である。 いつ、どこでどのように起こった出来事なのかを、あきれるほど細かく、執拗に書き留めている。 場所、季節、年月日、時刻、天候。 それによって、臨場感は確実に盛り上がる。実在の人物が主役なので、想像力だけでいい加減なことは書けない。おそらくは川路聖謨が残した日記を基にしている . . . 本文を読む
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「漂流記の魅力」発見(吉村昭)

2022年01月24日 | 吉村昭
3年間探していた本をようやく手に入れた。・・・というのは冗談(笑)。 「漂流」を読んだあとだから、昨年10月13日以降。以前何度か見かけているのに、いざ買おうと思って探すと見つからない。 2003年の出版。 今日BOOK OFFの棚にならんでいたのを発見。 価値ある一冊かどうかはまだわからん^ωヽ* . . . 本文を読む
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吉村さんが小説家吉村昭になるまで ~「戦艦武蔵ノート」を読む

2022年01月21日 | 吉村昭
■吉村昭「戦艦武蔵ノート」岩波現代文庫(2010年刊 原本は図書出版社1970年刊行) とにかくやたらおもしろかった・・・と書くと、やや語弊があるかもしれない。戦艦武蔵とともに、兵隊さんや将校その他、1000人を超える人たちが海の藻屑と消えたのだから。 とはいえ、おもしろかったのは確か。 こういう本を執筆していたんだねぇ、吉村さん♪ わたしは断片やメモ、短いエッセイを集めただけの雑録だと錯覚し、 . . . 本文を読む
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吉村昭に首ったけ!

2022年01月19日 | 吉村昭
昨年10月末ころからはじまって、吉村昭に首ったけ(^^♪  手許にある本は合わせて約80冊/70作品を超えているだろう。他に単行本も6冊集まった。 すべては読まないだろうが、BOOK OFF等で見かけるとつい手が伸びる。 現在「戦艦武蔵ノート」に夢中。 写真は昨日やってきた文庫本2冊の短篇集。 これらはすでに絶版(または品切れ)かもしれない。 こんな調子でいつまでつづくことやらねぇ。 . . . 本文を読む
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悲運の先覚者と彼をささえた人びとの物語 ~吉村昭「長英逃亡」を読む

2022年01月18日 | 吉村昭
■吉村昭「長英逃亡」新潮文庫上下2巻(平成元年刊。原本は昭和59年毎日新聞社より刊行) 「桜田門外ノ変」とならび、上下2巻に及ぶ大作である。吉村さん、全精力を傾けたものと思われる。新聞連載という形式のためか、ところどころに挟まれたくり返しが気になる。それに、紋切り型というか、「またかね」といいたくなる“決まり文句”があちこち出てくるのはマイナス点。 純文学と銘打ってあるわけではないから、気にし . . . 本文を読む
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ゼロ戦への鎮魂歌 ~吉村昭「零式戦闘機」に心打たれる

2022年01月12日 | 吉村昭
■吉村昭「零式戦闘機」(新潮文庫 昭和53年刊。原本は昭和43年新潮社) 数あるゼロ戦の本の中でも、この「零式戦闘機」は白眉の一冊といっていいのではないだろうか!? この作品に比肩しうるゼロ戦をめぐるノンフィクションが、ほかにあるのかしら。としたら、ぜひお教えいただきたいと思う。 とてもオーソドックスなゼロ戦誕生秘話だが、それだけでなく、敗戦までの“日本の運命”が、あっさりとだが、背景として必 . . . 本文を読む
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吉村昭の本領は長編小説にあり ~「島抜け」を読む

2022年01月09日 | 吉村昭
吉村昭は、以前書いたように、書店に出かけるとたくさんの本が、現在でもならんでいる。地味な存在ながら、人気作家なのだ。 ごく個人的な感想をいわせていただくなら、わたしのこの“吉村昭ブーム”は、2021年10月13日、「漂流」からはじまっている。「そうそう、こういう本が読みたかったのだ(゚ω、゚)」 わたしは強い満足感を覚え、新刊書店やBOOK OFFへいっては、吉村さんの本を買った。城山三郎の本を横 . . . 本文を読む
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