元来濫読癖がある。
そのわたしがしばらくぶり小説に復帰したので、いろいろな本に手がのびる、のびる(*・ ・*)
ふと「井伏鱒二はいま読んでもおもしろだろうか?」
そんな気まぐれから、彼の作品集の周辺をうろついてみた。
さきほど「かきつばた」「犠牲」を読みおえた。
「かきつばた」は佳品といえ、「黒い雨」と地続きの世界が描かれている。
日常が一種特別な呼吸をしていて、登場人物に名状しがたい風韻が醸し . . . 本文を読む
1990年代後半から2000年代はじめに、わたしはリバーサルフィルムを使って街角に立ち、たくさんの写真を撮った。スナップといってもいいし、キャンディッドといってもいい(^^;)
とにかく人を撮りたかった、記念写真とかポートレートのようなスタティックなものではなく、しぐさや表情の一瞬を切り取る写真術にあこがれた♪
mixiのつぶやき「記憶に残る一枚」シリーズですでに取り上げたものばかりだが、こちら . . . 本文を読む
わたしはこれまで二度、ストリートが異様な輝きにつつまれた時代を知っている。
はじめは70年安保闘争をはさむ数年間、二度目は90年代の後半5-6年間である。
若者たちの造反。
それが新カルチャーとして、周囲によきにつけ、悪しきにつけ、大きな影響を及ぼした時代だった。
しかし、それらは大雑把にいって、政治的な保守層や公序良俗を旗印としたおとな文化に、次第に窒息させられていった。
ストリートは既知の退屈 . . . 本文を読む
今日は雨。
古書店で見つけた池澤夏樹の短編集「きみのためのバラ」を買い、ヒマにまかせクルマの中で二編読んだ。
どちらもすばらしい出来映え。情景が目に浮かぶような硬質なタッチのレアリズム作品である。
読んだのは「都市生活」「ヘルシンキ」だけれど、「ああ、現代とはこんな時代なのか」と、読者は深くふかく納得せざるをえない。
人間の孤独が感傷を交えずにひしひしつたわってくる。文学の香り豊かですぞ。
しかも . . . 本文を読む
最近文学=ブンガクの世界では、池澤夏樹さんの活躍が目立っている。
久しぶりに文学返りして、近隣の大型書店などをぶらぶら散歩しているわたしの眼には、そういう光景が映る。
昨日池澤さんの「世界文学リミックス」(河出書房新社)を読みおえたので、感想を書いておこうとかんがえた。
しかし、あまり書くことがない。
ひとくちに“文学=ブンガク”というが、その場合、日本では小説を指す。
鴎外、漱石、芥川、谷崎は . . . 本文を読む
このところ、街歩きがぜんぜんできていない。
お天気が不安定で、いつ豪雨におそわれるか心配なので、遠出はひかえている。
遠出といっても、わたしの場合はせいぜい1時間程度だけれど。
たまの休みは胃ガンから生還した父親の運転手をつとめ、病院へいったり、買い物にいったりで、半日はつぶれる。
そんなこんなで、活字モードのスイッチがONになったまま。
すぐに眠くなったり、根気が持続しなかったりで、それほどた . . . 本文を読む
かつて「ちくま日本文学全集」というものが刊行されていた。
文庫本サイズなので、なかなか重宝。新刊で買った覚えはなく、ほとんどすべてBOOK OFFや古書店で買って、いつのまにが、7~8冊になっている。
このシリーズは全60巻、いまどきめずらしいラインナップを誇っていた(^-^*)/
文庫サイズの文学全集なんて、過去にはなかった。第二の岩波ともいえる筑摩書房ならではのシリーズだとおもう。
ところ . . . 本文を読む
とても有名なサマセット・モームのロングセラーだけれど、プロローグが長く、そこを切り抜けることができずに挫折していた。中野好夫さんの訳で、過去に2回も。
活字が大きく読みやすくなった新訳が出たので、3回目の正直!
さきほど読了することができたが、こんなに興味深い長編小説は、じつに久しぶり♪ それだけの手応えを感じさせずにおかない出来映えである。
作者はそうしてはいないが、本書の舞台はロンドン、パリ . . . 本文を読む
文学趣味がある人もない人も、文豪ということばは知っているだろう。
さて、日本の文豪では誰がいますか?
・・・と質問されて、幸田露伴の名を挙げる人が何パーセントいるだろうか。
もう何年も前から、幸田露伴が気になって仕方なかった。
鴎外、漱石、荷風は読み囓っている。さらにいえば、一葉、藤村、谷崎、志賀、芥川。
若いころ、あるいは中年以降、多少は読んで、それなりのイメージをつかんでいる。
ところが、気 . . . 本文を読む
中原中也はふしぎな魅力をもった詩人である。
高校の一年だったころ、この中原に魅せられて、当時刊行されていた彼の角川版全集を買ったことがあった。予算がなかったので、全巻買ったのではなく、バラ売りになっていた詩集だけ買ったのではなかったろうか。しかも古書店で。
母屋の二階、そのころわたしが住んでいた部屋へ上がれば、中学高校時代に読んだ本の大半が、分厚いほこりをかぶって眠っている(^^;) ネズミの糞な . . . 本文を読む