二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

井伏鱒二はいま読んでおもしろいか?

2015年06月30日 | 小説(国内)
元来濫読癖がある。 そのわたしがしばらくぶり小説に復帰したので、いろいろな本に手がのびる、のびる(*・ ・*) ふと「井伏鱒二はいま読んでもおもしろだろうか?」 そんな気まぐれから、彼の作品集の周辺をうろついてみた。 さきほど「かきつばた」「犠牲」を読みおえた。 「かきつばた」は佳品といえ、「黒い雨」と地続きの世界が描かれている。 日常が一種特別な呼吸をしていて、登場人物に名状しがたい風韻が醸し . . . 本文を読む
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「記憶に残る一枚」より ~ストリートスナップ

2015年06月30日 | Blog & Photo
1990年代後半から2000年代はじめに、わたしはリバーサルフィルムを使って街角に立ち、たくさんの写真を撮った。スナップといってもいいし、キャンディッドといってもいい(^^;) とにかく人を撮りたかった、記念写真とかポートレートのようなスタティックなものではなく、しぐさや表情の一瞬を切り取る写真術にあこがれた♪ mixiのつぶやき「記憶に残る一枚」シリーズですでに取り上げたものばかりだが、こちら . . . 本文を読む
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街がキラキラ輝いていたころ ~90年代の原宿そして前橋

2015年06月28日 | Blog & Photo
わたしはこれまで二度、ストリートが異様な輝きにつつまれた時代を知っている。 はじめは70年安保闘争をはさむ数年間、二度目は90年代の後半5-6年間である。 若者たちの造反。 それが新カルチャーとして、周囲によきにつけ、悪しきにつけ、大きな影響を及ぼした時代だった。 しかし、それらは大雑把にいって、政治的な保守層や公序良俗を旗印としたおとな文化に、次第に窒息させられていった。 ストリートは既知の退屈 . . . 本文を読む
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池澤夏樹短編集「きみのためのバラ」(新潮文庫)を読もう

2015年06月26日 | 小説(国内)
今日は雨。 古書店で見つけた池澤夏樹の短編集「きみのためのバラ」を買い、ヒマにまかせクルマの中で二編読んだ。 どちらもすばらしい出来映え。情景が目に浮かぶような硬質なタッチのレアリズム作品である。 読んだのは「都市生活」「ヘルシンキ」だけれど、「ああ、現代とはこんな時代なのか」と、読者は深くふかく納得せざるをえない。 人間の孤独が感傷を交えずにひしひしつたわってくる。文学の香り豊かですぞ。 しかも . . . 本文を読む
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世界の十大小説ってなんだ? ~池澤夏樹とその周辺

2015年06月26日 | エッセイ(国内)
最近文学=ブンガクの世界では、池澤夏樹さんの活躍が目立っている。 久しぶりに文学返りして、近隣の大型書店などをぶらぶら散歩しているわたしの眼には、そういう光景が映る。 昨日池澤さんの「世界文学リミックス」(河出書房新社)を読みおえたので、感想を書いておこうとかんがえた。 しかし、あまり書くことがない。 ひとくちに“文学=ブンガク”というが、その場合、日本では小説を指す。 鴎外、漱石、芥川、谷崎は . . . 本文を読む
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ゴーギャンと夏野菜

2015年06月21日 | 写真集、画集など
このところ、街歩きがぜんぜんできていない。 お天気が不安定で、いつ豪雨におそわれるか心配なので、遠出はひかえている。 遠出といっても、わたしの場合はせいぜい1時間程度だけれど。 たまの休みは胃ガンから生還した父親の運転手をつとめ、病院へいったり、買い物にいったりで、半日はつぶれる。 そんなこんなで、活字モードのスイッチがONになったまま。 すぐに眠くなったり、根気が持続しなかったりで、それほどた . . . 本文を読む
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消えた20人の作家たち

2015年06月19日 | 小説(国内)
かつて「ちくま日本文学全集」というものが刊行されていた。 文庫本サイズなので、なかなか重宝。新刊で買った覚えはなく、ほとんどすべてBOOK OFFや古書店で買って、いつのまにが、7~8冊になっている。 このシリーズは全60巻、いまどきめずらしいラインナップを誇っていた(^-^*)/ 文庫サイズの文学全集なんて、過去にはなかった。第二の岩波ともいえる筑摩書房ならではのシリーズだとおもう。 ところ . . . 本文を読む
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「月と六ペンス」サマセット・モーム(新潮文庫)金原瑞人訳 レビュー

2015年06月18日 | 小説(海外)
とても有名なサマセット・モームのロングセラーだけれど、プロローグが長く、そこを切り抜けることができずに挫折していた。中野好夫さんの訳で、過去に2回も。 活字が大きく読みやすくなった新訳が出たので、3回目の正直! さきほど読了することができたが、こんなに興味深い長編小説は、じつに久しぶり♪ それだけの手応えを感じさせずにおかない出来映えである。 作者はそうしてはいないが、本書の舞台はロンドン、パリ . . . 本文を読む
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明治の文豪・幸田露伴

2015年06月17日 | エッセイ(国内)
文学趣味がある人もない人も、文豪ということばは知っているだろう。 さて、日本の文豪では誰がいますか? ・・・と質問されて、幸田露伴の名を挙げる人が何パーセントいるだろうか。 もう何年も前から、幸田露伴が気になって仕方なかった。 鴎外、漱石、荷風は読み囓っている。さらにいえば、一葉、藤村、谷崎、志賀、芥川。 若いころ、あるいは中年以降、多少は読んで、それなりのイメージをつかんでいる。 ところが、気 . . . 本文を読む
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「朝の歌」とその周辺 ~中原中也の詩に魅せられたころ

2015年06月16日 | 俳句・短歌・詩集
中原中也はふしぎな魅力をもった詩人である。 高校の一年だったころ、この中原に魅せられて、当時刊行されていた彼の角川版全集を買ったことがあった。予算がなかったので、全巻買ったのではなく、バラ売りになっていた詩集だけ買ったのではなかったろうか。しかも古書店で。 母屋の二階、そのころわたしが住んでいた部屋へ上がれば、中学高校時代に読んだ本の大半が、分厚いほこりをかぶって眠っている(^^;) ネズミの糞な . . . 本文を読む
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