二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

「主人公としての探偵と作家」 ~ロス・マクドナルドを読み返す

2023年10月18日 | エッセイ・評論(海外)
■ロス・マクドナルド傑作集「ミッドナイトブルー」小鷹信光訳 創元推理文庫1977年刊。 本もデジタル化しつつあるこのご時世、こんな古いものを一週間探し廻るってのも、われながらあきれるよん(ノω`*)  「主人公としての探偵と作家」という評論や、小鷹信光の充実した(かなり力みかえっている)あとがきを読み返したくなったのだ。 少々長くなるが、ロス・マクドナルドの評論から引用しておこう♬ 《価値の . . . 本文を読む
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魂の食物をこよなく愛した男 ~「ヘンリ・ライクロフトの私記」が胸に沁みた

2023年05月10日 | エッセイ・評論(海外)
■ギッシング「ヘンリ・ライクロフトの私記」(平井正穂訳)岩波文庫 1961年刊 これまでの人生の中で巡りあうことができた自然の美しさについて、書物について、食についてそのほか思いつくまま、四季折々思いを凝らし、ことばを研磨して、過不足のないすぐれたエッセイにまとめあげる。 これは充実した自叙伝であり、ヘンリ・ライクロフトという名を借りたギッシングの回想録なのだ。 ジョージ・ギッシングは(185 . . . 本文を読む
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モーム「世界の十大小説」とスティーヴンソン「ジキルとハイド」をめぐって

2023年01月19日 | エッセイ・評論(海外)
たくさんの本が、家じゅうのあちこちに置いてある。それらをどういう順に読んでゆくのか、いつも悩ましい選択でありんす(^O^)ニャハハ はてさて、何から書いたらいいものか? 岩波は西暦、新潮は和暦を採用しているので、そのまま写した。 日本の場合、あいかわらずこのふたつの様式が混在しているから、とてもわずらわしいことがある。 ■W・Sモーム「世界の十大小説」岩波文庫 上・下巻(西川正身訳)1997 . . . 本文を読む
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比類なき時間の過ごし方

2021年04月12日 | エッセイ・評論(海外)
これまでにも多少書いているが、今日は本そのものの話題。 内容・中身のことではなく、ものとしての本について、極私的に。 稀覯本あるいは準稀覯本といいたいところだけれど、それほど大したものではない、まったくのところ(*ノv`) 本は毎日欠かさず読むし、ベッドルーム、クルマの中まで“枕頭の書”が備えてある。 活字依存症、中毒者である。 病院の待ち時間にも、本を開いていることが多い。 2日に1回は本屋さ . . . 本文を読む
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ギッシングで・・・旅行記のおもしろさにひたる♪

2021年03月30日 | エッセイ・評論(海外)
■ギッシング「南イタリア周遊記」小池滋訳 岩波文庫(1994年刊) 旅行記、紀行文学は一つのジャンルとして確立している。 日本で最初の日記といわれる「土佐日記」も、日記というより紀行文である。 江戸期の文学の最高峰「おくのほそ道」も要は紀行文で、芭蕉はほかにもごく短いものながら、す ぐれた紀行文を残している。 明治になってからは、イザベラ・バードの「日本奥地紀行」が一番有名だろう。ほかにも、すぐ . . . 本文を読む
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チェーホフの「思い出」と「研究」

2021年02月17日 | エッセイ・評論(海外)
何百冊も平積みした、ほこりっぽい本の山をひっくり返していたら、中央公論社版全集の「研究」「思い出」がようやく出てきた。いつ買ったのだったか(´・ω・)? 退職したらゆっくり読もうとかんがえて買っておいた本がたくさんある。写真集「チェーホフの風景」が、わたしの知的好奇心を揺るがし、蘇ってきた。 中央公論社の全集は、古書店でバラだったものを買い、十冊くらいはあったなあ。さがせばまだ出てくる。一時代前 . . . 本文を読む
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気儘な読書 ~近ごろの日常とチェーホフからの贈り物

2021年02月13日 | エッセイ・評論(海外)
野鳥を撮りに外出しなくなったので、一日の大半は家のなかか、クルマのなかで過ごしている。 若いころ、10代20代のころにも、こうして長い時間、本を相手に過ごしたものだ。 だけど、それから半世紀あまり、本から目をあげたときの風景はずいぶんと違っている。 外界やわたしが、変わってしまった・・・ということだ(´Д`) 昨日は思い余って、救急車を頼んで、すっかり老衰した母を病院へつれていって、入院手続き。 . . . 本文を読む
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感染症は自然界からの警告

2020年04月03日 | エッセイ・評論(海外)
2018年8月に書いたわたしのつぎの記事が、今年3月中旬あたりから、ずっとベスト10入りをつづけている。 「ペスト大流行 –ヨーロッパ中世の崩壊-」村上陽一郎著(岩波新書)レビュー」。 ペスト菌も地球上からいまだ絶滅していない。 感染症は自然界からの警告なのだ。 https://blog.goo.ne.jp/nikonhp/e/532ae2ac491750acc7dc14f799f83ddb? . . . 本文を読む
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すばらしき一冊、S・モーム「サミング・アップ」(行方昭夫訳 岩波文庫)と巡り合う

2019年03月30日 | エッセイ・評論(海外)
「月と六ペンス」のモームによる、自伝。いや、よく読んでみると、自伝的な要素もあるが、人生論、文学論、随筆といったおもむきを備えている。自由闊達な筆運びともいえるし、乱雑な書き散らしともいえる。わたしは兼好法師の「徒然草」やモンテーニュの「エセー」を、しばしば連想しながら、読み飛ばしせず、356ページの最後まで読みおえた´0`*) 全部で77章の断章からなっていて、それぞれが完結したり、次章へつな . . . 本文を読む
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「世界システム論講義」その他の本

2018年02月22日 | エッセイ・評論(海外)
あいかわらず寒さにめげて、本ばかり読んでいる。借りるということをしなくなったから、手に入れなければお話しにならない。というわけで、ヒマがあると、新刊書店や古書店、BOOK OFFで過ごす時間が長~くなっている(^^;) はてさて、最近読んだ本の中から、備忘録的に3点選んで感想をしるしておこう。 ■「資本主義という謎 『成長なき時代をどう生きるか』」水野和夫・大沢真幸(NHK出版新書)2013年 . . . 本文を読む
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