(なぜか2冊ある講談社学芸文庫の「抹香町・路傍」)
■「抹香町・路傍」川崎長太郎(講談社文芸文庫 1997年刊)
川崎長太郎はとても地味な存在だと思われる。
私小説家のうちにあって、太宰治のような破滅型とも、尾崎一雄のような調和型ともことなっている。消えそうで消えない熾火でもあるかのように、しんしんと燃えつづける作家魂は、
正宗白鳥、徳田秋声、宇野浩二につらなる小説家と一般的には . . . 本文を読む
■「忍び草」中央公論社 昭和47年刊(単行本)
■「鳳仙花」講談社文芸文庫 1998年刊(文庫本)
昭和47年=1972年
1998年=平成10年
「忍び草」 301ページ
1.うろこの記録 新潮 昭和41年
2.ある女流作家の一生 新潮 昭和38年
3.海のほとり 早稲田文学 昭和45年
4.路傍 群像 昭和47年
5.忍び草 群像 昭和 . . . 本文を読む
困ったことではあるが、老化現象が頭や体を衰えさせ、この1-2年、何百ページもある長篇小説が読めなくなってしまった。いずれはこうなるとはかんがえていた。しかし、老化のペースは、予想より4-5年はやくやってきた(´ω`*)
何度となく書いてはいるが、晩酌をやめれば、多少は持ち直すかな、わからんけど。
・・・というわけで、短篇小説のありがたさが、ぐ~んと身に沁みてくる(笑)。
アルコールを断てばいいとは . . . 本文を読む
■「正宗白鳥集」日本文學全集第12巻(新潮社 昭和38年刊)
正宗白鳥を最初に意識したのはいつだったろう。
たぶん、深沢七郎の「楢山節考」(新潮文庫)に収められた「白鳥の死」を読んでからだと、ぼんやり思い出す。20代で読んだ「楢山節考」は、当時はじめて接したフランツ・カフカの短篇にも通じるショックをあたえられた・・・と思う。
「白鳥の死」はこの新潮文庫に入っている。
(現行の新潮文庫 . . . 本文を読む
■「私小説名作選 上」中村光夫選
近松秋江「黒髪」
《近代日本文学において独特の位置を占める「私小説」は、現代に至るまで、脈々と息づいている。文芸評論家・中村光夫により精選された、文学史を飾る作家十五人の珠玉の「私小説」の競演。》三省堂書店BOOKデータベースより
中村光夫といえば、私小説を排撃した批評家として名高いが、その中村光夫に、私小説のアンソロジーを編集させたところがミソ(*^。^* . . . 本文を読む
(一昨日、BOOK OFFで手に入れた車谷長吉の2冊)
妻の留守中に、解凍中の生イカをのどにつまらせ、69歳で窒息死した小説家車谷長吉。
「四国八十八ヶ所感情巡礼」のレビューでこんな記事をお書きになっている方がいた。
《どこかの駅でうんこを垂れ流し、「この始末は誰がするのか」と駅員に言われて「それは、おまえの給料のうち」と言い捨てて、折から着た電車に飛び乗ったという話を得意気に書いて . . . 本文を読む
https://www.youtube.com/watch?v=gmqNyuipogw
「何か分かりづらいチャンネル」
このタイトルが意味するものが、どうもわかりづらいが、番組としてみた場合、お見事というほかあるまい。
葛西善蔵の小説からの引用は、まことに的確。
この番組の制作者は何者だろう・・・と、気にかかって仕方ない(。-ω-)
葛西善蔵と嘉村礒多。
人間がいかに、どのように愚かしいかず . . . 本文を読む
(「宇野浩二・葛西善蔵・嘉村礒多」日本の文学 33 昭和45年刊)
(「哀しき父・椎の若葉」講談社文芸文庫 水上勉解説 1994年刊)
(「贋物・父の葬式」講談社文芸文庫 鎌田慧解説 2012年刊)
本編「血を吐く」は、「日本の文学」(中央公論社の文学全集)にも、講談社文芸文庫の2冊にも収録されていない。
岩波文庫の旧版を探すか、Kindle版 (電子書籍)を探すしかないか . . . 本文を読む
(「子をつれて 他八篇」谷崎精二解説 1952年刊)
上の岩波文庫(旧版)の表紙裏に、こういうコピーがある。
《貧窮と病苦の人間破産状況のなかに漂う詩情と飄逸味》
よくある葛西善蔵評といえる。
ついこのあいだ、「湖畔手記」の続編とみられている「血を吐く」を何気なく読んでいたら、つぎのような場面と遭遇し、あっけにとられ、心の底が冷えびえと疼いた。
400字詰めで20ページ前後のごく短い短篇 . . . 本文を読む
いうまでもないけど、昭和が終わったのは昭和64年(1989)のこと。昭和1年は1926となる。どなたもいうことだろうが、長いながい昭和は、20年8月で、二つに折れ曲がっている。
わが国の元号を長い順に挙げると、
昭和(62年14日間) ※昭和は最初の1年と最後の64年はそれぞれ数日しかない
明治(44年187日間)
応永(約35年間)
となる。2つに分断されているとはいえ、昭和がいかに長かったか . . . 本文を読む