■斎藤幸平「人新世の『資本論』」(集英社新書 2020年刊)を読む
※このあいだつぶやきで速報したけれど、レビューとしてもう少し内容のある記事を書かせていただこう♪
本書「人新世(ひとしんせい)の『資本論』」、新書らしからぬ、ぎっしり内容のつまった本である。
たとえばハードカバー、価格は税込み3千円で刊行されたって、いったん火がつけば、相当数が売れただろう。著者と出版社は、その路線を選ばず、 . . . 本文を読む
■末木文美士「日本仏教史 思想史としてのアプローチ」新潮文庫(平成8年刊 原本は平成4年)
末木文美士と書いてすえき・ふみひことお読みするそうである。1949年生まれ、本書刊行当時東京大学大学院人文社会研究科教授。
ビギナー向けなので平易に書かれているが、いたって専門性の高い一冊であろう。ビギナー向けだから工夫をする必要があるし、専門用語は一般に流通することばに置き換えなければならない。そうし . . . 本文を読む
■渡辺照宏「お経の話」岩波新書(1967年刊)
ずいぶん昔、高校の終わりころだと思うが、表面づらだけは読んでいる。むろん内容が理解できたわけではない。文字を追っただけ(´?ω?)
だけど、多少は記憶のへりに引っかかっているものがある。
たとえば、
《諸行無常 諸の行は無常なり。
是生滅法 これ生滅を法となす。
生滅滅已 生滅にして滅し已(おわら)らば
寂滅為楽 寂滅して楽となる。》
. . . 本文を読む
■植木雅俊「法華経とは何か その思想と背景」中公新書(2020年刊)
本書の構成はつぎのようになっている。
1.「法華経」の基礎知識 インドで生まれ、中国から各地に伝えられた経典
2.「法華経」前夜の仏教 原始仏教から小乗、そして大乗の興起へ
3.「法華経」各章の思想
4.「法華経」の人間主義 “偉大な人間”とは誰のことか
スタートはわくわくもの、法華経研究の最前線をのぞき見る思いがした。植木 . . . 本文を読む
秀逸な一冊である・・・と思われた。
馬場紀寿(ばばのりとし)さんは、1973年生まれ、東京大学の先生で、専攻はいわずと知れた仏教学。
さして期待をもたずに読みはじめたが、とんでもない!
しつこいくらい論理的(理屈っぽいという意味ではない)で明快である。曖昧なところが、少しもないだけでなく、読者への訴求力はすごいし、牽引力もある。ことばを几帳面に定義しているからだろう。
「わたし自身のために書いて . . . 本文を読む
■宮元啓一「仏教誕生」講談社学術文庫(2012年刊 原本はちくま新書1995年)
わかりやすい本だが、内容が十分展開されず、しばしば尻切れトンボで終わっているのはどうしたことか?
本当の初心者に向けて書かれている。しかも思弁的な議論はおこなわず、平明な表現に終始。
初期仏教は、昔は原始仏教とよくいわれた。初期仏教も原始仏教も、意味するところは同じである。
釈尊・・・つまりブッダの生涯と思想に . . . 本文を読む
戦後、哲学・思想分野で巨大な仕事をした吉本隆明の「改訂新版 共同幻想論」。
NHKの100分de名著の刊行にあわせ、印字の大きな新装版が出た。
名著だとは漠然と感じはするがとにかく難解(=_=)
単行本出版時に最後まで読み通したものの、字面を追っただけ。
今度こそと思うけど、どこまで理解できるやら(゚ペ) . . . 本文を読む
想像以上におもしろかった!!
イスラームの宗教、歴史を超初心者にわかりやすく解説。
イスラームに関する本はこれまで数冊読んだ経験がある。その中において、一頭群を抜く。痒いところに手が届くといった、具体的な記述、図版、写真がうまく配されている。
「こういう本が読みたかった」といいたくなる一冊であった。
刊行されてから18年あまりたっているため、ISなどは登場しないし、情報的には賞味期限が切れてしま . . . 本文を読む
本書も書店で見かけてパッと買ってしまった衝動買いの一冊。
100分de名著シリーズはこれまで7~8冊は読んでいるが、なかなか書評を書きたくなるような、すぐれた内容を備えたものとぶつからなった。読書人ではなく、一般の視聴者を想定し、TV番組の枠内で話されたもののテキスト化だから、まあこんなレベルかな・・・と思わないでもない(^^;)
「大衆の反逆」とは、端的にいえば反ポピュリズムの本である。
・第 . . . 本文を読む
新刊書店の散歩をしているとき棚にあったのを見つけた。
その場で立ち読みし、即買い。
いや~、こんなガイドブックがあったのか・・・これはぜひ、はやめに読んでおこう、と。
というのも、レヴィ=ストロース、ミシェル・フーコー、ドゥルーズ等、フランス現代思想の本が、昨年秋あたりから身辺に集まってきているからだ(。・_・)
歴史と文学のジャンルに較べて、哲学・思想・宗教の分野はむずかしい。
若いころから読ん . . . 本文を読む