二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

世界がみず色に見えるとき ~デイドリームなフィルター効果について

2012年02月29日 | Blog & Photo
このところ、カメラのフィルター機能にはまりかけ。どちらかというと、高コントラスト、シャープネス優先で彩度も高め・・・というわたしの写真の路線を変更してみようかと目論んでいるのだけれど、なかなかうまくいかない(=_=)フィルムカメラへ復帰しようかという願望がある。 しかし、それにかかる手間と出費を考えると、どうも消極的にならざるをえない。「よし、明日はニコンF3に50mmF1.4一本勝負!」 ことしになって、何度そんな号令を自分に発したことだろう(笑)。しか~し、当日になると、もうめげている。「やっぱりめんどうなのは、いやだ」と。オリンパスPEN E-P3(なんだか長ったらしいよ、この名称)には、デイドリームという、市橋織江さんふうに写るアートフィルターがある。 . . . 本文を読む
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そうだ、青森へいこう

2012年02月27日 | Blog & Photo
青森へいきたい! そんな願望が、いつからわたしの頭に住みつくようになったのか、よくはわからない。 岩手へのあこがれは以前からあったし、理由はハッキリしている。「遠野物語」の遠野へのあこがれがある。そして宮沢賢治が生み出した幻想郷イーハトヴをこの眼でたしかめてみたいという、漠とした願望である。それに、藤原五代の栄華の地、平泉をつけ加えてもいいだろう。 では青森は? いつごろから、どうして「青森幻想」がわたしの中にやってきたのだろう。 青森といっても、江戸期の津軽藩の風土と、八戸あたりを中心とする南部藩の風土では、かなり異質だとお聞きしたことがあった。秋田や岩手は急ぎ足ではあったが、子育て時代に旅した経験はある。北海道には前後3回渡っている。むろん、ヒコーキで、札幌近郊の飛行場へ舞い降りたので、青森ははるか上空を通過しただけ(^^;) . . . 本文を読む
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写真を変えよう

2012年02月26日 | Blog & Photo
わたしに限ったことではないだろうが、「自分の写真」といえるようなものは、たえず更新され、微妙に変化していく。むろん劇的に変化する場合もある。たとえば、わたしが昆虫写真から、元の街撮りに復帰したように。世界へ向けられる眼と、写真は、そのままイコールではないにせよ、とても密接にむすびついている。だから、「変えよう」と意識的になっても、無意識がそれに抵抗し、また元のもくあみになってしまうことだってある。わたしのケースでいうと、カメラへの物欲というのがあって、それが定期的に襲ってくる。しかし、考えてみると「カメラが欲しい」という欲望は、写真が変わるかもしれない・・・ちょっと変えてみたい・・・変わるだろう・・・という予感と不可分なところがある。 あのカメラではあれを撮った。あのカメラでは・・・と、連想はどんどん拡がる、ひろがる(笑)。 . . . 本文を読む
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写真集を振り返る Part3

2012年02月26日 | Blog & Photo
写真は上左から右へウィリアム・クライン(WILLIAM KLEIN)「ニューヨーク(NEWYORK)」、北島敬三「NewYork」、ロバート・フランク「MOVING OUT」、アジェ「THE WORK OF ATGET」、森山大道「光と影」の順。 1)ウィリアム・クライン(WILLIAM KLEIN)「ニューヨーク(NEWYORK)」アメリカ直輸入版 価格不明。 クラインの「ニューヨーク」は、写真史の解説には必ず登場する。その後の写真の潮流を大きく変えてしまった偉大なる写真集である。いつかは手に入れたいとずっと考えていたが、1994年、そのリメイク版を見かけたので、高価だったが、ムリをして買ってきた。この写真集がなければ、世界の写真シーンは、ずいぶんと違ったものになったろう。 “VIVO”の奈良原一高さん、東松照明さん、細江英公さんなど、皆クラインのふところから出てきたといってもいいだろう。森山大道さん、中平卓馬さんら「プロヴォーク」につどった写真家も、ウィリアム・クライン、ロバート・フランクの衝撃をうけて、写真家としての仕事をはじめている。「LIFE」流のドキュメンタリー写真ではない。第二次大戦後の、狂乱と熱気が坩堝のようにうずまく、“現代の”世界都市が、クラインによってとらえられた。28mmレンズを使ったノーファインダーによるキャンディッド・フォトの精華。クラインは、カルチェ=ブレッソンが発明した手法をさらに徹底しておしすすめ、写真の新たなる地平線をきり開いたのである。英文による解説、クラインの年譜付。 . . . 本文を読む
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オリンパスPEN E-P3短期使用レポート

2012年02月23日 | Blog & Photo
2月18日に、ついにPEN E-P3シルバーボディがわたしの手許にやってきた。 発売直後から関心はいだいていたものの、予算捻出に四苦八苦(=_=) そんなことをしているうちに、オリンパス経営陣の不祥事が発覚し、慎重に同社の今後を見極める必要が出てきたりした。ゆっくりの~んびりしているあいだにも、他社からは強力なライバル出現! その間に、2~3冊の「PENの本」を買って読んだりしている。 いずれはユーザーになろうと、決めてはいたのだなぁ(^^;) 遅れにおくれ、後追いなので、お役にはたたないだろうけれど。☆デザイン 5これは文句なくすばらしい! 流麗でやや女性的な外観ながら、おじさんには似合わないというほどではない。かつてのPEN Fのデザインを彷彿とさせる、秀逸な仕上がり。 E-P1~3へ基本デザインが継承されたのも、ポイントが高い。E-PL系も検討の対象としたけれど、モデルチェンジのたび、デザインがコロコロと変わるのは、どうなんだろう . . . 本文を読む
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写真集を振り返る2

2012年02月22日 | Blog & Photo
昨日はほっと一息つけるような温かい一日となった。 藤岡市にある貸家まで鍵を回収にいって、そのまま半休。 「疲れがたまっているから」というのが、その理由だけれど、撮影となると、その疲れが吹き飛んでしまうから不思議、ふしぎ(笑)。 劈頭を飾るのは、この日、藤岡市鬼石町でお遇いした金沢ハル子さん、85歳。 腰は曲がってはいず、まだまだ矍鑠としておられ「昔は元気のある、いい町だったのよ、ここも。いまでは住民の高齢化がすすみ、大分さびれてしまったけれど」 「わたしの母と、1歳違いですよ」 「あたしにも息子がいるけれど、もう65歳になるのよ」 そんな世間話をかわしながら、ご了解を得て、数枚撮らせていただいた中の一枚である。 病院からの帰りらしく、てくてくと路地を歩いていて、わたしと出くわした。 ここいらは埼玉県との県境。神流川という大河が流れ、埼玉県側には、いくらか荒涼とした、かつての広大な氾濫原がひろがっている。大利根流域のうちでも、また独特な風光を感じさせる一帯で、なぜか若いころからこころ惹かれる地帯であった。 . . . 本文を読む
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Shadow ~影のドラマ

2012年02月21日 | Blog & Photo
毎月20日はカメラ雑誌の発売日。 カメラマニアな三毛ネコさんは、2010年の後半くらいから、「アサヒカメラ」「日本カメラ」の二誌を毎月かかさず買い、クルマに積み込んであっちこっちと出歩きながら、隅からすみまで読んでいる・・・というと大げさだけれど、関心のある記事やグラビアは、くり返し、くり返し読んだり眺めたりして、時をすごす。 3月号の特集の目玉は、ニコンD800と、オリンパスOM-D。 しかし、コンデジは春モデルが各社ずらりと顔をそろえ、誌面はまるで小学校の入学式のように賑やかである。 . . . 本文を読む
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過去に集めた写真集を振り返る

2012年02月19日 | Blog & Photo
今日はふと思いたって、自宅の書棚から5冊の写真集を持って出社した。 アポイントがふたつつぶれ、ヒマがもてそうだと判断したので。 忙しい2月にはさまった、谷底のような日曜日(-_-) ・・・といっても、物件案内や突発事件があって、あっちへ走り、こっちへ走り。 ようやく3時くらいに帰社したばかりなのだけれど。写真集は上から、 1.「HOME AND ABROAD」直輸入版6870円+税 MARTIN PARR(マーチン・パー)ニューカラーの流れをくむ、マーチン・パーの傑作写真集。アメリカ各地を旅しながら、いわゆる観光写真、“旅写真”にはせず、日常感覚あふれるスナップショットとしてまとめてある。切り口は鋭利で、動きの一瞬を衝かれた人びとの、生々しい息づかいがあふれている。 . . . 本文を読む
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前代未聞・分類不能の書と、「撮る自由」

2012年02月18日 | Blog & Photo
一昨日、昨日と身辺多忙。あたふたと仕事に追われていた。 2月3月は、こんな日がよくある。 さっき眼を覚まし、ジンジャエールをぐびぐびと飲みながら階段をあがっていると、細めに開けた窓の枠に、白いものが見えた。 「あ、雪だ」 風で白い粉のような雪片が吹き込んでいたのだ。 わたしは窓から、暗い戸外へ眼をこらした。 物置の屋根に雪がうっすら積もっている。 「おやおや。昨夜の気象情報では、ここいらは雪が降るとはいってなかったのに・・・。明日、約束の時刻に、約束の場所までたどり着けるだろうか?」 遠くの人家の明りがまたたくように夜の底にうずくまっている。 しかし、雪のせいで、冷え込みはいくらかゆるやかなようだ。 忙しさの中には、クレームへの対応というアクシデントもあった。 わたしの気分は、こんなだったり、あるいは、こんなだったり、 さらにこんなだったりもした(笑)。 . . . 本文を読む
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藤原新也の現在

2012年02月15日 | Blog & Photo
藤原新也が「四国遍土」を「アサヒカメラ」誌上に連載したのは、1979年。 そのときの鮮やかな登場ぶりと、わたしがうけた衝撃を、いまでもよく覚えている。 「写真でこんなことができるのか!」 わたしの奥のほうに眠っている、ご先祖からつたわった遺伝子のようなものが、眼を覚ます音。骨と骨がぶつかりあって立てる音や、人の・・・男や女の肉がこすれあい、よじれあってにおってくる、なつかしい香り。四国を題材にえらんで、あのときたしかに、藤原さんは、日本という風土のど真ん中を撃ち抜いていた。 彼がすでに「印度放浪」の写真家として、正当に評価されているのは知らなかったのである。 その後藤原さんは、「全東洋街道」の旅に出て、まもなく「月刊PLAYBOY」にその連載がはじまる。 . . . 本文を読む
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