「これはだめですよ艦長。」ぴょんたが言った。
「どうします博士。」艦長が博士にふった。
「どうしよう。」博士がみなに返した。
みんなの目がぐうすかに集まったときだった。
「ゴロゴロニャーン!」スケール号が大きな声で鳴いた。
スケール号がオレンジ色に輝き始めたのだ。
「どうしたんだ、スケール号。」艦長があわてて聞いた。
「ゴロニャオーン!!」スケール号の声は悲鳴と言うより、雄叫びのように聞こえた。
「どうしたのでしょう博士。」
「艦長、見てください。」ぴょんたが叫んだ。
「おお、これは!」艦長も驚いた。
おひさまにもらった太陽の紋章からオレンジの光が放たれているのだ。その光がスケール号をつらぬいて外に出ている。
いつの間にかスケール号が太陽のように光り輝き始めた。すると今まで眠っていたシリウスが動き出した。
「朝?・・・にしては明るすぎる・・・。おやもう昼なのか。」
「シリウス様。」艦長が呼びかけた。
「おお、この光はおひさまか。」
「いえ、私達はスケール号、」
「どうしたのじゃ、おひさま。こんなところに来てくれるとは。」
シリウスは寝ぼけているのか、艦長の呼びかけをよく聞かずに、スケール号を太陽と思い違いをしているらしい。
「このままおひさまになりすまそう。」博士が艦長に言った。
「しかし博士。」
「おひさまの紋章のおかげだ。いいからこのまま話を続けるんだ。」
「分かりました。」
艦長はおひさまになったつもりでシリウスに話しかけた。
「長老様、教えて頂きたいことがあってやって来ました。」
「いったい何事じゃ。せっかくいい気持ちで寝ておったのに。」
「はい、じつは、神ひと様の事を聞きたいのです。」
「神ひと様じゃと。」
「はい、神ひと様の事が知りたいのです。ここにありて、しかもはるか彼方にあるもの、そこに我らの生まれた理由があるという太陽族の伝説は、どういう意味なのでしょう、シリウス様。」
「なぜ、神ひと様に会いたいのじゃ。」
「はい・・・博士、代わって下さい。」艦長は博士をマイクの方に引っ張って無理やり交替した。
「実は、我が子地球が病気なのです。」
「何じゃと、あの美しい地球が病気だと言うのか。」
「はい、私の自慢の子供ですのに、今や大気は汚れ、川も海も死に始めています。」
「地球はお前だけでなく、我々太陽族の宝じゃ。それがどうしてそんな事になったのじゃ。」
「申し訳ありませんシリウス様。私はいつも通りちょうどいい分量の光を与えておりましたのに、地球に住む人間がおろかにも地球を傷つけ始めたのです。」
「ならばその人間を退治すればよかろう。」
「しかし長老様、そうすれば地球も死んでしまいます。私は地球を救いたいのです。」
「だからどうすると言うのじゃ。」
「私達の生まれた理由を神ひと様に聞きたいのです。そうすれば地球を救う方法が分かるかも知れません。」
「神ひと様か。」
「あの伝説の意味は、それにどうすれば神ひと様に会えるのでしょうか。教えて下さい。シリウス様。」
「神ひと様に会うことは出来ぬ。あきらめることじゃ。」
「しかし・・・」
「伝説の、ここにありてと言うのは、我々太陽族のことを指しているのじゃ。分かるかな。」
「はい」
「はるか彼方と言うのはの、その大きさを言っておる。」
「大きさですか、・・・そ、そして?」博士の背中が雷に打たれたように硬直した。何か重大発見をしたときの、博士の癖だ。
「そして太陽族の生まれた理由と言うのは、我らが無数に集まって神ひと様の体が造られていると言うことなのじゃ。」
「私達が神ひと様の体を造っているのですって。」艦長が横から叫んだ。
「そうじゃ。だがその体は、とてつもなく大きいのだ。とてもお前のその大きさでは神ひと様を見ることさえ出来ぬ。」
「シリウス様、見て下さい。」
博士は、艦長にシリウスよりも大きくなるように頼んだ。艦長はスケール号に同じことを命令した。
「ゴロニャーン」
スケール号が、ぐんぐん大きくなってシリウスの二倍の大きさになった。
「おお、これはどうしたことだ。お前はいったい何者なのだ。おひさまではないな!!」
「私達は地球からやって来たスケール号。おひさまの許しを得て、神ひと様に会いに行く旅をしています。」
「それを信じろと云うのか。」
「私達は自由に体の大きさを変えることが出来ます。」
「すると神ひと様の大きさにもなれると云うのか。途方もない事じゃ。」シリウスの青い大気が揺れた。
「スケール号は神ひとさまにも、その何倍もの大きさにもなれるのです。」
シリウスは目の前で、自分の倍の大きさに膨らんだスケール号を見つめるだけだった。
「シリウス様、神ひと様に会うための方法をお教え下さい。」
「わしも会ったことのないお方じゃ。しかしお前達なら、あるいは神ひと様に会えるかも知れぬの。」
シリウスはしみじみした表情になって、スケール号と向かい合った。
つづく
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宇宙の小径 2019.6.10
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大きさ
謙虚に生きる人たちのほとんどが
自分は芥子粒のような存在と思っている
実際それだけ宇宙は広大なのだ
ところが
この芥子粒のまわりにも空間がある
そのもっと小さな素粒子のまわりにも空間がある
自分を芥子粒と思うのはいい
その上で
意識を空間の方に向けてみるたらどうだろう
空間の身になって考えてみると勇気が湧いてくる
それを体験してみるのは悪くない
空間は私
もしそう考えたなら、
私は素粒子を優しく包み込んでいる
私は、芥子粒のような体を自分と思い込んでいるそんな命を育んでいる
私は灼熱の太陽をありのままの姿で保存している
私は広大な宇宙を存在させている
芥子粒の私と空間の私
芥子粒だけを私と考える意識はどこから来たのだろう
四次元は芥子粒が私がとはっきり言う
だが五次元はどちらも私と考える
ただ意識だけが
人を変える
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