
(光に向かって登っていきたい・・・)
前回の智慧(知識)のかたち(5)に対する質問に、お答えしたいと思います。それは、下の図についての質問でした。
よく分からないのは当然です。説明が必要でした。申し訳ありません。
で、今回はこの図の説明をいたします。
この図は、意識から認識が生まれる過程を示したものです。お尋ねは「核意識」・「満たされた意識」・「破られた意識」・「閉じた相関性」・「私空間」についての意味でした。
まず「閉じた相関性」を説明してから、表の下から上に向かって使っている言葉の説明をしたいと思います。
相関性というのは、物とものが互いに引きあったり反発したりして、何らかの関係を持とうとする力を表す言葉として使いました。互いに引きあう力は、下図のように、集まってくるものの数が増えればそれだけ複雑で強くなっていきます。
閉じた相関性というのは、この相関性が安定して一つのものをつくりだしている状態を言います。たとえば花も。その上にとまっている蝶も、それぞれに閉じた一つの相関性を持っているわけですね。
つまり人間の身体は、原子が集まって、ひとつの身体をつくっている。この身体をひとつにつなぎ止めている力を、閉じた相関性と呼んだのです。これは自己意識をより空間的なエネルギーとして意味づけるために使った言葉と理解していただければいいと思います。
ところで、人は生命活動をしています。これを相関性ということで見れば、常に閉じた相関性は揺らいでいることになりますね。たとえば呼吸一つとってみても、酸素を取り込むたびに体内の相関性は変化するのです。
閉じた相関性が波のように変化するのがイメージできるでしょうか。「快・不快」が波のように動いて行くのです。
下図のように、この「快・不快」の波に「無感」の状態の中心線が現れます。これを「核意識」と呼びました。つまり核意識とは、生れたままの自己意識を指すのです。
この核意識が揺らぎながらいのちをつないでいきますが、そこに現われる「快・不快」の波そのものをさして、「満たされた意識」と呼ぶのです。
つまり満たされた意識とは、生きる身体そのものを指すわけです。
そこに外界からの刺激がやってきます。すると満たされた意識は、その刺激(光や音など)によって新たな揺らぎを引き起こしますね。
その新たな揺らぎを、(刺激によって)「破られた意識」だと呼んだのです。
この「破られた意識」が感覚(五感)の表れとなります。いのちは身体感覚から、やがて「破られた意識」によって、物の形や色、音としての言葉やリズムを認識しはじめるのです。
そして「何」という問いかけが生まれると、一気に認識する世界が広がり、知識を蓄えはじめます。身体的「快・不快」から、精神的「快・不快」が分化して、やがて認識が認識を生む成人へと進化していくのです。
「私空間」という言葉が表の最上段にありますが、これは認識の世界を指します。私たちの認識は、そのまま他人と共有することはできません。私の認識は私にしかわかりませんし、あなたの認識はあなたにしか分かりませんね。その認識空間を「私空間」と呼ぶのです。
つまりこの表は、人の成長を空間の動きとしてとらえたものなのです。
そして人間は、この空間の揺らぎを記憶に取り込んでいるのだと考えるわけなのです。
身体空間の揺らぎは、おおむね、感覚と感情の体験として私たちに現れます。つまり私たち人間はものごとを感情とともに記憶していることになるのです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます