私は満身に笑みをたたえて手を上げて里依子を見、里依子は身を引き締めてお辞儀をして遅れた詫びを口にするとすぐに笑顔になった。
「出ましょうか」
「ええ、いい所があるんです」
私達は肩を並べてロビーを出た。外は微かに雨が降っていた。里依子がこちらにといって私の横で手を伸ばして、その先にあるタクシーを示した。里依子が職場から乗ってきたタクシーをそのまま待たせていたのだろう、乗り込んだタクシーの運転手に礼をいい、そして行き先を告げるのだった。
車の中で里依子は会社の仲間とよく行く所だと私に説明した。私はただ訳もなくそんなことのすべてがうれしかった。
里依子が案内した所は、小さな居酒屋だった。入り口ののれんをくぐると、すぐ右手から奥に向ってカウンターがあり、奥でくの字に曲がって厨房を取り巻くように続いていた。
HPのしてんてん
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