今を生きる
あなたは浮かんでいる。
そんなふうに意識を変えると、世界を全く違った姿で想い描くことが出来る。認識が変わるのだ。
物質はすべて、例外なく浮かんでいるという認識は、今の科学が証明している。しかし私達の常識はいまだに全く逆の世界を思いえがいて生きていると言えるだろう。
ある飲み会でこんなことがあった。「あなたは浮かんでいる」そんな話を持ち出した私に同窓の気の置けない連中が、酒を飲みながら難しいこと聴くのはと苦い顔をするのだ。確かに、実生活にそんなことを持ち出す方が悪い。酒がまずくなる。分かる。そう考えるのは自然だし、難しいことを考えるのはのは苦手と言う人の多いのも理解できる。
つまり五次元はまだ、考えを働かせなければ気付かない世界なのだ。
常識の中にいれば自分の足元など考える必要はない。空気があることなど考えなくても呼吸は出来るし、そもそも、右足が出たら次は左足を出すなんて考えていたら歩くことさえできない。つまり常識とは思考を省略しても支障なく活動できる能力であり、例えれば私達が慣れ親しんだ自転車に乗るようなものだ。
難しいことを考えなくても、自転車に乗れる。それはそれでいい。一生自転車に乗って生活を続ければ何の支障もないのだから。しかしそれは私達がかつて自転車に乗れるようになるために使った努力を忘れているだけだ。
もし、自動車や飛行機を乗りこなしたくなったら、まず先に難しいこと考えなくてはならない。新しい知識を身につけなければ自動車やましてや飛行機にはなど乗れない相談だ。
つまり常識になるまでには、めんどくさいが思考を辿っていくしかないのだ。
私達は地球に乗っかっているのではなく、互いに引き合っているのだという物理の法則が日常生活の中で常識となるためにはまず思考を使わなければならないということなのだ。
だがめんどくさいものはめんどくさい。
それでもめんどくさいことを考えてみよう。そう思うためには、励みとなるものが必要だ。考えをめぐらせば、こんないいことがあるというような効用がなくてはならないだろう。
ではそれは何なのか?
今回は五次元のもたらす効用について考えてみることにしよう。
五次元(スケール)の概念は、どんな効用を人間にもたらすのか、大まかに言えば次の五つのことが考えられる。
①時間からの解放 ②孤独感からの解放 ③「私」からの解放 ④自分の力を100%発揮させる ⑤完全なる自己肯定
これを順に考えてみよう。
①時間からの解放
地球と共に浮かんでいる。そんな自分が認識出来たら、どんなに時間に追われていても、そこで立ち止まって自分に帰ることが出来る。すると足元の地球と自分の間に引力を感じとるだろう。その瞬間、私達は地球と共にあるという実感を引力の重さで思い出す。それは今この瞬間に起こっている事である。すると私達は未来からも過去からも解放されている「今の自分」をはっきり意識することが出来る。それこそが現実だということに気付くのである。苦悩は悪夢だった。時間から解放されるということは「今」という現実に目覚めることでもある。
それは決して刹那主義に陥ることではない。時間の流れを意識しながら、今この時という己の真実に目覚めるということなのだ。それはいわば、刹那主義から完全に一つ次元を上げて成長した自分を発見するようなものだ。
②孤独感からの解放
地球と共に浮かんでいる。五次元の概念はこれを大きなスケールで眺めることを可能にする。簡単に言えば、地球という球体があって、その上に私達は一人ひとりが自分の位置を与えられている。一つの地球に対して私達は各々の位置から地球の中心に向かって引力の手を伸ばす。そして地球はその手と結び合い例外なくすべてを束ねてつなぎ止めているのだ。そのイメージを持てば、私達の感覚は孤独感から一体感に変化していくだろう。その一体感は、存在そのものの実感、すなわち至福の感覚を味わわせてくれるのである。
③「私」からの解放
宇宙を眺めれば自分がいかにちっぽけな存在か思い知らされる。この身を限りとする自分という意識が五次元によって変えられる。自分という限界、つまり自分と自分でないものの境界線が皮膚を越えて地球そのものに及ぶ。
それはちっぽけな自分「私」から解放されて、自分は宇宙そのものだという認識に及ぶだろう。その感覚はおそらく、禅などの実践する瞑想の世界とつながって行くと思えるのである。
この思いは自分の生死の問題にも行き着く。あなたは浮かんでいる。その浮かんでいる空間はどんなスケールで眺めても一つにつながっている。この世に空間はただ一つしか存在しないのだ。私達はその空間から生まれ、その空間に還っていく。人の本質は生まれることも死ぬこともない。ただ空間の変容だという事が理解される。
④自分の力を100%発揮させる
宇宙と一体であるという自覚は、自分の能力を最大限に発揮させる要因になる。あらゆるスポーツや武術、工芸や文芸と多様な精神世界。様々な人間の営みの頂点を目指す人々の体験している感覚、それらはどれも五次元のイメージを持っている。最大の力とは、極小から極大の世界を貫くただ一つの力を利用することだと理解されるだろう。それは何かを成し遂げるという、その最大のものが自分を100%使い切るということだからに他ならない。
⑤完全なる自己肯定
五次元の概念は、これらを総じて完全なる自己肯定を生み出す思考方法となりうるのである。
完全なる自己肯定とは、つまり、あなたはあなたのままでいいということだ。あなたはあなたのままで地球の一員であり、宇宙の主人公なのである。
もちろんこんな知識で苦悩がなくなるわけではない。人はその苦悩さえ肯定して心にしまって生きていける。そんな、より大きな人格に成長する。五次元はその成長のために役立つ補助輪のようなものなのだ。成長すれば補助輪はいらない。その時こそ五次元はめんどくさい思考の残骸としてゴミ箱に捨てればいいのである。
四次元(時間)の世界から見る私達は、社会から隔離された小さな存在としか見えない。だから死を全ての終わりと思い込んでしまうのだ。現在社会がそうであるように、そこでは成功する者とそうでない者が必然的に生まれる。誰もがより良い生活を求めて時間軸を迷走するしかないのである。
成功者は祝福され、自己肯定をたやすく実現する。それはそれで素晴らしいことである。しかしそうでない大多数の者たちはどこかに自己否定を宿している。それが苦悩の元凶だとするなら、五次元(スケール)の概念はそんな者をも含めたすべての人々が、完全なる自己肯定を実現する可能性を秘めていると言えるのである。
最後に、四次元(時間)と、五次元(スケール)の概念図を掲載します。自分はそのままで許されている。そう理解できる世界観に触れて頂ければ幸いです。
四次元の図
四次元の世界観:現在(現実の世界)が、過去と未来(空想の世界)に挟まれている時間のベクトルに支配された世界。不安と後悔は空想の世界から生まれていることが分かるだろうか。
五次元の図
現在(現実の世界)が極小(現実の世界)と極大(現実の世界)に挟まれて存在している世界観。四次元(時間軸の世界)と五次元(スケールの世界)は現在で交わっている。
虚を含む時間のベクトルに対して、垂直に交わるスケールのベクトルはすべての実在世界を貫く世界観を生み出す。瞬間の中に全宇宙が存在しているのである。
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