一本の線、それが私の絵画において使用する物質です。
それはすでに書きましたが、心を描く際に邪魔になる物質を取り去ったあとに残った唯一の物質というわけです。
この線でさえ、引いたとたんに固定した主張を始めます。
一瞬の心を固定したものと考えても、その理屈には無理があります。
心は決して一本の線はないのですから。
人は決して直接心を見せ合い、互いのものやり取りできないという厳然とした事実を受け入れなければなりません。
自分の心を伝え理解してもらうという妄想は、画家として真っ先に捨てておかなければならないことなのです。
私の心が線を引きます。その線は私の精神と物質の境界線と言えます。
物質は私の精神を受け入れ同化したのではありません。
線を引く過程で、私の精神はどんどん抜け落ち、すり抜けてゆきます。
そして引き終わった線には精神などかけらも残っていません。
ただこの鉛筆という物質のつながりが、精神との境界を示す痕跡として残る。
これがのしてんてん絵画の唯一の拠り所なのです。
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