作家と鑑賞者の間に物質としての線がある
作家と線の関係は先日述べたとおりですが、
鑑賞者にしても線はただの物質として与えられるのです。
よく絵(作者)から意味を受け取るものと考えがちですが、違います。
鑑賞者はただ、与えられた線を見て自ら意味を作り出しているのです。
そこに鑑賞者の心(のしてんてん)が動いているのを忘れてはなりません。
これは私の初期の作品で箱をモチーフに描いたものですが、個展で面白い事実を発見しました。
鑑賞者がこの絵をどう見るかについてですが、ベッド派と棺おけ派に大きく二分されることが分かったのです。
私はただ紙の箱を描いただけなのに、受け手は生死の観念を通して絵を見ていたのです。
これは明らかに受け手の心が、絵とともに動き出して自分の世界を作り出したのであって、そのとき受け手が自分の心と出会っているのだと私は確信します。
絵画(物質)はこのとき、作者の心と受け手の心の境界線となるのです。
「物質は物質のままでその特質を露呈したとき物語りをはじめ、絶叫さえする」
有名な具体美術宣言のフレーズはまさにこのことを言い表していると、私には思えるのです。
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