筆触法(5/31) 筆触法(第二週)(6/9) 筆触法(第三週)(6/16)
の続きです。初めての方は、最初からお試しください。
筆触法を理解していただくために、ものと自分の関係を、身体の感覚を通して体験していただきました。
目の前にあるものはすべて、
たとえばなすびやキュウリでも、筆触法によって体感して理解しながら描けることが分かりました。
今回はそれを紙の上に描いてみます。
いうまでもなく紙は平面ですから、筆触法で描く見えない部分の描写は出来ません。
しかしそれは、紙に描けないだけで、実際にはその裏側があることを意識して下さい。
紙には見える部分(表の部分)だけが描かれ、見えない部分(裏の部分)はイメージで描くのです。
鉛筆の先がアリになって、ものの表面を「まっすぐ」歩く。このまっすぐは重要ですので、それを意識して例題を見てください。
この練習に使う鉛筆は、HBなどで力を抜いて線を引きます。強い線はいりません。
①カマボコ
まっすぐ歩くというのは、まっすぐなところはまっすぐ。曲がっているところは、その曲りに沿って、崖に来たら崖に沿って上がったり下りたりするということです。もちろん横に動くことも、斜めに動くこともありますが、まっすぐ歩くという意識は崩さないでくださいね。
形を想像しながら、青い線のように形に沿いながら線を引いて行きます。くまなく歩いて見てください。
こんな感じになります。↓
もっとち密に線を引いて、形が出来たら、後は明暗を付けて影を描くだけでカマボコに立体感が出てきます。
②ピラミッド
階段になっているところの、アリの動きを想像しながら、斜面と平たい部分の感覚を楽しんで下さい。
③トンネル
形に沿って線を引く、内壁の感じと外壁の感じは重力を意識すると随分違ったものになりますね。トンネルの縁の厚みにも意識を集めて、アリの動きを追ってください。
まっすぐ歩くという意味が分かってきましたか。
④つぼ
形をに沿って線を引くということは曲線は曲線に沿って引くということです。胴体は同じ要領ですが、難しいのは壺の口の部分。手前の風景と奥の風景が重なって見えています。その境界線をどう描くのか。
そしてその周囲をとりまく楕円の峰ですね。実際には壺の厚みがこの楕円の峰に現れています。画面で数ミリの幅ですが、その幅を歩く意識を怠ってはいけません。平らなのか丸みがあるのか、しっかり意識してその数ミリの峰を横断してください。
ち密に横断する線が引かれると、自然につぼの厚みが見えてきます。つぼの特徴を教えてくれる部分を丁寧に描くとものの理解が深まります。
うまく描くコツは、峰の厚みをしっかり歩くこと。
そしてこちらの風景に対して、向こうの風景を歩く線を弱く描くということ。
描き終えたら、赤い線のように、こちらの風景と向こうの風景の境目にここから先は空間だという意識を持って強めの線を引いてやります。
几帳面に考えず、どこを描いているかという意識さえあれば、これくらいいい加減で大丈夫です。
最後に、下の画像は教材のコップを半透明にしたものです。可能なら、プリントして、同じ要領でその上に線を引き、コップの形をとってみてください。
最初は弱い線で全体を描きます。出来上がったコップは明暗がありません。すべての面に光があたっていると考えてください。ここからさらに暗部を描きこみます。すると自然に光っている部分が見えてくるでしょう。つまり、闇を描けばおのずと光が見えてくるという訳ですね。
よく観察して描いてみてください。
追記
私は「心の線」という言葉を多用しますが、これは一本の線に、筆触法で体験するあなたの感性がこめられているということを意味します。
あなたが引く一本の線は、たわいなく見捨てられるものではありません。
筆触法はそんなたわいない線をあなたの心の線に変えるのです。
この線がやがて、ものの形から解放されます。(まだ先の話しですが)するとその時、筆触法の線は如意宝珠の力を得る。その道筋の扉を今開けたのです^ね^
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