のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

ジイジと北斗(新スケール号の冒険)その3

2022-07-07 | ジイジと北斗(新スケール号の冒険)

(2)-2

 

「艦長はそこに寝ている北斗です。」

「北斗が艦長?まだ生まれたばかりの子だよ。

スケール号、お前も私のことを覚えていないのか。」

 

「覚えていますよ、ケンタ。あなたはとってもいい艦長でした。

おかげで私達はとってもいいパートナーでしたね。」

 

「スケール号、覚えていてくれてありがとう。」

「でもあなたはもう艦長ではありません。」

「しかし北斗はまだ赤ちゃんだ、それがどうして艦長に?」

「北斗はまだ宇宙の子です。その力が必要なのです。」

「しかしそれは無茶な話だ、スケール号。北斗は歩けない。」

「大丈夫ですよ。これに北斗を寝かせてください。」

スケール号が言うと、音も無く揺りかごが浮かんで飛んできたのです。

「ほぎゃー、ほぎゃー」

北斗の泣き声がジイジの耳に届いてきました。

「おーおー、怖くないぞ北斗、お腹すいたのかなぁ。

母さん帰ったらおっぱいいっぱいもおらおうね。」

あやしながらジイジは抱きあげました。

「さあ、北斗をその揺りかごに。」

スケール号の声です。

ジイジは、いつまでもぐずっている北斗を揺りかごに寝かせました。

すると不思議なことが起こりました。

弱々しくて不安そうに泣く北斗の顔が明るく輝いたのです。

先ほどジイジがカーテンを開けた時、びっくりして眩しそうに輝いていた北斗の顔でした。

その顔がにこりと笑ったのです。

北斗はすぐに満足したように眠りました。

とても静かにです。

ジイジは嬉しくなりました。

「スケール号、ありがとう。」

「安心してください。北斗は大丈夫です。」

「どうしても連れて行くのだね。」

「はい。そしてあなたもです。ケンタ。」

「私も?」

びっくりしてジイジは聞き返しました。

「あなたは北斗に必要な人なのです。博士。」

「のしてんてん博士はスケール号を作ったすごい方でしょう。

でも私は単なるジジイだよ。」

「あなたはもっとすごいものをつくったのですよ。」

「何のことだか、さっぱりわからない。」

ジイジは驚きましたが、スケール号の言葉は決して疑いません。

自分の何がすごいのか、そんなことはどうでもいいことでした。

そんなことよりまたスケール号と一緒に冒険できると思うと嬉しくなってきたのです。

そのためだったら、博士と呼ばれてもかまわない。

ジイジはそう考えたのです。

 

「おじいさんは博士だったのでヤすか」

「あの有名なのしてんてん博士でしたか。ごめんなさい。」

「脅かしたりして悪かったダす。」

もこりんもぴょんたも、そしてぐうすかもジイジの前で頭を下げました。

「もこりん。ぴょんた。ぐうすか。これからよろしくな。」

「はいでヤす、博士。でもあんまり難しい話はいやでヤすよ。」

もこりんがさっそく皆を笑わせました。

 こうして、ジイジと北斗を乗せたスケール号が宇宙の彼方へ、

音も無く飛びたったのでした。

 

 

(つづく)


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