五次元と振り子（最終回）

今この瞬間、この花はここにしか存在しない

 

７回にわたって、皆様と共に見てきました心の旅、如何だったでしょうか。

８回目になる今回は、そのまとめとして、「今この瞬間」について考えてみたいと思います。

 

結局心の原点というのは、「今この瞬間」のことだったのです。

ならばなぜ、たらたらと話を進める必要があったのかとお叱りを受けるかもしれませんが、一応理由らしきものはあったのです。

と言いますのも、この「今この瞬間」というものは、言葉で言えば簡単ですが、それを捉えるのは実に難しいのです。

いえいえ、本当は赤ん坊にでも出来ているごく自然であたりまえのことなのです。にもかかわらず難しいのは、我々人間は、成長するにつれて賢くなっていくからです。

この賢さが、「今この瞬間」を見ようとしない知識を山のごとく積み上げてゆくからなのですね。

つまり「今この瞬間」をとらえるためには、この山のごとくある知識を取り除かなくてはならない。それが８回にわたる連載となった訳です。

 

端的に言って、私たち人間が本当の意味で「今この瞬間」をとらえ活かすことが出来たら、それはお釈迦様にも匹敵しますし、宮本武蔵であり、羽生結弦であり、世のもろもろの達人と言っても差し支えありません。達人とは「今この瞬間」を生きるものたちだと私は考えるのです。

なぜなら「今この瞬間」にこそ、その者の持っている能力のすべてがあるからであって、達人とはその己の１００％を活かす者達のことだと言えるからです。

 

真剣で向かいあった剣士たち、勝つのは己を制し相手の動きを見切った方。私などは相手の切っ先を見て「痛そう」などと考えて一秒たりとも「今この瞬間」を生きられない。相手のカモとなるわけです。

すべて同じことがいえます。氷上でうまくやろう、失敗怖いという思いやプレッシャーは「今この瞬間」を生きていない。ゆえに私にたとえスケート技術があったとしても羽生結弦にはなれない。厳しい練習を重ねてはじめて「今この瞬間」を信じることが出来るということなのでしょう。

知識を持った人間が、「今この瞬間」の力にであうためにそれほどの鍛錬が必要ということは、いかに私たち人間が「今この瞬間」から隔離されているかを物語っている訳ですし、その元凶がこともあろうか人間の本質である知識だということに、私は人間の面白さを覚えないわけにはいかないのです。

「今この瞬間」を生きられないものは多分私以外にもごまんといるのではないでしょうか。

 それゆえ数あるアスリートや、あらゆる達人たちは、「今この瞬間」を完全に生きるために鍛錬し研鑚・修行を繰り返すのですね。

この努力の要点は「今この瞬間」から逃れて行く心を原点に引き戻すということなのです。

ではこの原点には何があるのか。言うまでもなくそこにすべての真実（力）が存在しているからなのですね。

 

かつて人間が、未来や過去に生きた例があったでしょうか。皆無ですね。私たちは「今この瞬間」にしか生きられない。未来があると思っても、その未来に到達して立っているのは「今この瞬間」しかない。どこまで行っても私たちには今この瞬間しかないのです。

ところが思考は時間を創造し、人間という虚構の存在をつくりあげた。そしてそれこそが本物と思い込んで文明をつくりあげてきた。

この瞬間にある私は１００の真実の力を持っている。にもかかわらず思考の作りだす虚像を自分だと信じている分７０の力しか出せていないのです。あとの３０は空想に費やしている訳ですね。

アスリートたちは自分の限界をめざし努力する。それはつまり「今この瞬間」を取り戻そうとしているだけなのに、結果として社会では彼らは超人としてたたえられることになるわけですね。（その言い方、嫉妬してるだけじゃないの？）

冷静に考えてみれば、論理的にみても１００のものが１２０の力を出せるはずはないのです。

達人の活躍を見てあの人は超人と思う私たち凡人は、普段７０しか活かしていない自分を１００の力で生きていると思い込んでいるからにほかならない。これが私たち人間の知識にまみれた現実なのですね。

今回の旅の締めくくりを意識して言えば、

時間軸とスケール軸の座標。その交点にあるゼロポイントフィールド（覚えたての言葉＝みけ様）すなわち座標の原点にあるゼロ地点こそ心の原点だと繰り返し紹介してきたのは、その理解が、すべての知識を棚上げしたまま直接肌身と心に原点の空間を体感出来ると信じているからにほかなりません。

ゼロ宇宙、無次元宇宙、あるいはスケール宇宙、言葉はどうでもいいのです。「今この瞬間」を見ることが出来る理解に達したら、あなたは必ず無限の自分にであうことになる。すると名前など何の意味もないことを知るでしょうし、自分は何者だったのかを体験を通して気付くのです。それは名づけようのないものだと。

ところで冒頭、達人・アスリートのことを書きました。彼らは「今この瞬間」の力を強い精神と体力で自分のものにしている。けれど私たちには逆立ちしたってそんなことはできませんよね。（一緒にしてごめんなさいですが、）

私が言いたいことはここにあるのです。つまり

「今この瞬間」はすべてのもののためにあるということ。

達人だけが「今この瞬間」の恩恵を受けるというのではないということです。

もっと言えば、この世（人間社会）に、達人＞凡人があるというのは完璧なる幻想。それは子供時代に怖がった闇と同じもので、真実を理解（体感・体験）すれば消えるものなのです。

そればかりか真実を理解（体感・体験）すれば、自分は天才であることに気付きます。天才に出逢うのです。それが１００の力で生きる本当の意味。

一人残らず人はみな天才を持って生まれてきた。それが「今この瞬間」の正体だと言える訳ですね。

努力しようがしまいが、体力があろうがなかろうが、知識が多かろうが少なかろうが、子供だろうが大人だろうが、皆「今この瞬間」に生きている。その姿に気付くだけで１００の力＝天才を体験できる訳ですね。（自分を活かそうという意志があっての話しです＾よ＾誤解しないで＾ね＾）

 

最後にもう一度「今この瞬間」について考えてみましょう。

①座禅で瞑想を重んじるのは、瞑想が「今この瞬間」から動かないで坐っていることが出来るから。

②気功の力が身体と精神を向上させるのは「今この瞬間」の流れに身をおくから。

③発明発見が風呂場で起こるのは、頭脳が「今この瞬間」を垣間見るから。

④感動・共感に幸せを感じるのは、「今この瞬間」にある喜びに触れているから。

⑤達人が口にする共通の言葉「無心」とは、「今この瞬間」に身をまかせているから。

⑥湯船に浸かって至福感を味わうのは、「今この瞬間」に浸っているから。

⑦宇宙と自分が隔たりなく空間でつながっているのは「今この瞬間」があるから。

⑧時間が後悔や恐れ、苦悩と喜びを演じられるのは、「今この瞬間」を主人公にして見ているから。

⑨恋人たちの喜びは、「今この瞬間」を共有しているから。

⑩セックスの陶酔感は、「今この瞬間」にふたつの身体が溶け合っているから。

⑪線を引く喜びを感じるのは、「今この瞬間」と向き合っているから。

⑫私が美人に弱いのは、単にスケベェだから。

⑬今笑ったあなたは、「今この瞬間」の印象を自分の心に描いたから。

⑭さわやかな再生を感じる目覚めは、眠りが「今この瞬間」そのものだから。

⑮思考が落ちると深い眠りにつながるのは、「今この瞬間」に思考はいらないから。

 

どうかこの続きは各自で、「今この瞬間」の出逢いをお楽しみ下さい。

フーコの振り子は地球が存在する限り止まることが無いように、

私たちの心もまた、宇宙空間で揺れ続けるのです。

宇宙の振動を体感しようであありませんか。

 

ここまで共に旅をしていただきありがとうございました。皆様の人生にご多幸ありますことを願っております。

（スケール号　一同）

 

 

 ※「今この瞬間」を生きることをナウイズムと命名してナウイズム運動を提唱しています。ナウイズム「今この瞬間」を意識していただくだけでいいのです。

 

過去記事

五次元と振り子（１）

五次元と振り子（2）

五次元と振り子（3）

五次元と振り子（４）

五次元と振り子（５）

五次元と振り子（６）

五次元と振り子（7）