のしてんてんハッピーアート

複雑な心模様も
静かに安らいで眺めてみれば
シンプルなエネルギーの流れだと分かる

スケールマシン(スケール号の冒険)

2019-07-10 | 5次元宇宙に生きる(神)

スケール号はどこまでも広がっている暗黒星雲の中にはいって行った。光はどこからもやって来なかった。真っ暗な闇がスケール号を包んだ。ブラックホールに落ちた時とは違って、周りに星らしきものは見えない。かといって、原子の宇宙のように何もない闇ではなかった。ゆっくりとしたガスの流れがその中心に向かって流れている。世界に大きな変化はなく、すべてがゆったりと落ち着いている。

 「ハハ~ハハ~ハハ~ハハ~ハハハ」

  「ハッハッハッハッハッハッハッハッハッ」

  「ハハッハハッハハッハハッハハッハハッハハッ」

  いろんな調子の声が聞こえて来た。

  「こちらはスケール号、君達は何者だ。聞こえたなら答えてほしい。こちらスケール号」

 艦長が声の方に呼びかけた。しかし何の応答もない。声は闇の至るところから聞こえてくるようだった。

 しかしその他には何もないのだ。黒いガスの中で歌声とも泣き声ともつかない音の重なりだ。

 もし大きな意識を自由に操る能力があって、この乱調に統一感を感じられたら合唱のように聞こえたかもしれない。しかしスケール号の面々には、無理な話だった。

  時々星の光がかすんで見えたりする。それがここで見える唯一の光だった。

  「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

  「ハハハハッハハははっははははっははははっははははっ」」

  進むにつれて、声は大きくなって来る。そしてそれは急に柔らかな、暖かい感じのする声に変わった。

  「はははははははははははははははははははは」

  「姿を見せてくれ、こちらスケール号。決して悪いものじゃない。返事してほしい。こちらスケール号。」

  艦長の呼びかけは無視され続けた。その間に、スケール号は暗黒星雲の中心にやって来たようだった。ガスが晴れて、急に広い空間に出たのだ。そしてその空間の中心には赤い渦巻きがゆっくりと流れていた。レンズのような形をした、渦巻き銀河のように見えて、まるでゆったりと眠るように動いている。

  「きれいでヤす。」もこりんが、ぼう然と立ちつくした。

 「はははっはははっはははっはははっ」

 断続的に聞こえてくる不思議な声は、少しずつ変化しており、今この空間に聞こえる声は、何とも言えず暖かい、そして懐かしい響きがあった。不気味さはどこかに行ってしまって、柔らかな、深い安心のリズムがそこから伝わってくるのだ。

 「何だか分からないだスが、涙が出て止まらないだス。」

 「昔どこかで見たような、そして、どこかで聞いたようなリズム。」博士が遠くを見るような視線を赤い渦巻きに向けた。

 スケール号の乗り組員達は、しばらくの間、我を忘れて、赤い渦巻きのゆったりした動きに見とれていた。

 涙を流しているのはぐうすかだけではなかった。ぴょんたも、もこりんも、博士も艦長も、みんな涙を流していた。

 「どうしたんでしょう。自然に涙が出て来ます。」ぴょんたが言った。

 「何かが我々の心の中に伝わって来ているのだ。この嬉しいような、懐かしいような心のふるえは何なのだろう。」博士が恥ずかしそうに、頬に伝わる涙をハンカチで拭った。

 「みんな、何を感じるかね、一人ずつ聞かしてくれないか。」博士がハンカチで目頭を押さえながら言った。しばらくして返答があった。

 「とても気持ちよく眠っているような気がするだス。」

 「何というか、心がずっと上のほうに押し上げられるような、胸が一杯になるような気持ちでヤす。その、泣きながら甘えていたいような、何でヤすかね、この気持ちは。」

 「何だかとっても嬉しいような、自分がなくなってしまってもちっとも構わないような、そんな安心を感じます。」ぴょんたは目を真っ赤にして答えた。ウサギだけにもともと赤かったのだが。

 「私は・・・、」艦長が話始めたとき、またしても宇宙からの声が聞こえて来た。

 「はははっはははっはははっはははっはははっ」

 「はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ」

 「ははははははははははははははははははははははははははは」

 「私はこの声を、知っているような気がするのです。呼びかけても返事がありませんが、確かに昔どこかで聞いたような、懐かしい気がします。」

 「うむ、私も大体みんなと同じような気持ちを感じている。とても懐かしいのだ。忘れ去ってしまっている何かがここにあるのかも知れない。頭では忘れていても、体の方が覚えていて、反応しているのかも知れない。」

 

 

 つづく

 

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宇宙の小路 2019.7.10

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闇について

 

考えてみたら、

私達の主役(本質)は闇なのかもしれない

 

闇が怖いのは

闇の中に恐ろしい魔物がいると思うからだろう

恐ろしい何かが牙をむいている

そして一人ぼっちで誰にも気付いてもらえない

 

そう思うのは

光がまだ未熟だからだと考えることが出来る

 

光は、生まれてから

高々一生という時間の中で成長するしかない

宇宙から見れば塵芥のような瞬間だ

その光の未熟さが

闇を怖がらせている

そう思うのは私だけだろうか

 

怖がると

その先を見ようともしないで

一目散に逃げ出してしままう

 

足を止めよう

振り向いて闇を見つめよう

それが成長の入り口だ

 

たとえ魔物がいたとしても

それ以上に尊いものがある

真心でその尊さに気付いたら

 

魔物は

自分の影だったという事に

きっと気付くから

 

闇は自分のすべてだったのだと

必ず気付くから

 

 


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