外はすでに日が暮れて、夜空に星が輝いていた。夜の町をスケール号は風よりも早く走り、遊園地にやって来た。スケール号はなんの苦もなく遊園地の塀を跳び越えた。
夜の遊園地はまるで地獄のような不気味な場所に変わっている。昼間にはあんなに活気と子供の歓声が満ちた子供の天国だったのに、その生き生きとした場所が、死んだようにひっそり、夜の闇に包まれてしまっているのだ。
メリーゴーランドは暗い洞窟のように見える。その洞窟の中から不気味な木馬の姿が、闇に飲み込まれるように立っている。それがまるで地獄の使者のようで、とても一人では近寄れない。
博士は電灯をともしてメリーゴーランドを調べたが、そこには何も手掛かりになるようなものは見つけられなかった。
シンと静まり返った遊園地を、五人は身を寄せあって歩いた。博士はメリーゴーランドを、遠巻きにしてそっと辺りをうかがった。
「ここでしばらく様子を見よう。」
博士はメリーゴーランドから隠れるように向かいのテーブルの片隅に身を潜めた。艦長もぴょんたも、もこりんもぐうすかも、みんな博士のそばにかたまって座り込んだ。
「何かあるんですか。」艦長がささやくように、博士に聞いた。
「分からない。とにかく様子を見るんだ。あのメリーゴーランドには我々には分からない何かが起こっているのかもしれない。そんな気がするんだ。」
「あっ」ぴょんたが息をのんだ。
「どうした。」艦長が聞いた。
「あ、いえ気のせいです。何かが動いたような・・・」
「ぴょんた、あまりおどかすんじゃないでヤす。」
「気味が悪いだス。」
「少し静かにしていなさい。」博士がみんなに注意をして腕時計に電灯を当てて時刻を見た。十二時前だった。そして博士は電灯を消した。辺りは真っ暗になった。先程まで星が出ていた空のほうも真っ暗になった。雲が出て来たのだろう。五人がひとかたまりになったまま、息をひそめている。
遊園地のどこにあるのか、時計塔の時報が十二時を告げた。昼間に聞いた同じ音のはずなのに、今は背筋を凍らすような響きがする。
その時だった。突然、メリーゴーランドにネオンが点灯したのだ。みんなは息をのんで、たがいにしがみついた。
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