まもなく「土用の丑の日」がやってくる。しかし、ウナギは縁遠い魚になりそうだ。近年のシラスの激減で「ニホンウナギ」は絶滅危惧種になったという。その原因はいろいろ挙げられているが、簡単に言うと日本の「生物多様性」が失われつつある一つの表れということなのだろう。激減したのはウナギだけではない。僕にとっての母なる川、菊池川ではウナギのほかヤマトシジミやムツゴロウやカニなども激減しているらしい。あれだけ川砂を大量採取し、河岸をコンクリートで固めたら、そりゃ生物の棲める環境でなくなることは誰にだってわかる。日がな一日を過ごした岸辺の松林や砂浜は今はどこにもない。あの焼けた砂の匂い、爽やかな川風が吹きわたり、橋の上から飛び込む子供たち。あの遠い日の夏はもう帰って来ない。
▼かつて大浜海岸にあった美しい松原

▼かつて大浜海岸にあった美しい松原

