今日から熊本県立美術館で「レオナール・フジタとパリ」展が始まったのでさっそく観に行った。フジタ独特の乳白色で描かれた裸婦像を始め、初めて実物にお目にかかるものばかり。その中に3年ぶり2度目の再会をはたした作品が2点あった。それは、1点は「ライオンのいる構図」の中の「男の像」でトレーシングペーパーに鉛筆で描きこまれたもの。もう1点は墨で描いた「女性像」である。この2点、実は普段、熊大附属小学校の校長室に飾られている。3年前に母と一緒に附属小学校の校長室を訪ね初めて拝見した。その時は作品にまつわる詳しい話はあまり聞けなかったが、今回は詳しい解説が掲示されていて経緯がよくわかった。それによると、昭和4年(1929)9月、フジタは17年ぶりにパリから当時の妻ユキ(リュシー・バドゥー)を伴って帰国する。そして東京、大阪、福岡で個展を開いたが、福岡の会場に附属小学校の関係者がフジタを訪問。熊本へ強い望郷の念を抱いていたフジタはその場で作品2点を母校に寄贈することにした。というわけだ。3年前に観た時にはよくわからなかった「女性像」の隅の書き込みが、今回は間近で見ることが出来たので読み取れた。それは次の様に書いてあった。
「為 記念 報恩 或寄贈 昭和四年十一月二十七日(誕生日)
熊本縣第一師範学校附属小学校 小学校卒業生 藤田嗣治」
裸婦(1923年)フォール美術館(フランス)蔵
「為 記念 報恩 或寄贈 昭和四年十一月二十七日(誕生日)
熊本縣第一師範学校附属小学校 小学校卒業生 藤田嗣治」
裸婦(1923年)フォール美術館(フランス)蔵