
約1300年前に大和朝廷によって築かれた鞠智城(きくちじょう)がある米原地区に、その頃から語り継がれているという「米原長者伝説」。暮れる太陽を呼び戻し、一晩で三千町歩の田植えをしたという長者伝説を歌にしたのがこの「米原長者口説き歌」である。
「口説き」というのは、今日的な「男性が女性を口説く」なんて言う意味合いとは異なり、長い物語を同じ旋律の繰り返しにのせて歌うもののことをいう。つまり「口による小説」と考えるとわかりやすい。この「米原長者口説き歌」は実は30番まで延々と続くのだが、通常の演奏は時間の制約があり、7番くらいまでで終わることが多いという。