
クリント・イーストウッドの最新作「グラン・トリノ」を観た。御年78歳だそうだ。「ローハイド」のロディ・イェーツ時代からだから、かれこれ50年近く観ていることになるが、監督した作品、出演だけの作品合わせて30本以上は観ているだろう。しかし、彼の作品はアカデミー賞を獲得した2本を含めても面白いと感じた作品は数少なかった。しかし、今回の作品はいろんな意味で面白かった。ある意味アメリカ人のひとつの典型とも言える偏屈な白人の人種差別主義者である主人公が、いつも苦々しく思っているアジア系人種、モン族の人々のトラブルに巻き込まれていく。その過程の中で垣間見える病めるアメリカ。また、主人公は朝鮮戦争の影を引きずり、モン族の人々はベトナム戦争の影を引きずりながら、物語はとんでもない結末へと向かっていく。両隣に座っていた若い女性は途中で何度も大あくびをしていた。おそらく見方によっては、この映画はひどくつまらないものに映るかもしれない。しかし、僕にとっては最近の洋画の中では心に残る一本になるだろう。それにしてもアメリカ映画は今でも差別用語を平気で使うのね。日本映画が神経過敏すぎるのかな。