何かを作る時には、原石をじっくりと観察する事がヒスイ職人の最初の仕事。
ヒビの有無や発色具合、結晶の向きや緻密さ等を観ていく。
原石のどの部分が使えるか?勾玉?石笛?ピアス?石がどんな姿に作って欲しいのかを聴き取る作業で、時には原石を入手してから何年も寝かす事がある・・・石の声なき声を聴きとるまで待つのだ。
するとある日突然、カットするべき線が観えてくる。
そうしたら躊躇はなく、カット、整形、研磨と作業を進める事ができる。
時には荒々しい原石の姿を活かした作品も作る・・・それは石を使った活花のように、石の持つピュアな美しさを抽出する作業。
その一つが原石仕立てにして、聖音「オーム」を線刻した赤碧玉の石笛。
巷に流通している、原石に孔を開けただけの石笛と一緒にして欲しくない。
石笛であるからには吹き易い形状に加工もするし、ビビリ音の制御や音色調整もしてある。
ある神職の方がこの石笛を試し吹きしたら、姿といい、真っ直ぐに空間を切り裂く祓い浄めの音色と評価してくれて、これなら神棚に置いて毎日の神事に使えば神様もお喜びになると言ってくれた。
解る人には解るのだ。
最近はぬなかわヒスイ工房の石笛のデザインをパクった石笛が増えてきたけども、これは民族楽器作りで培った技術と石笛演奏家と交流を持って改良を進めてきた結果の評価であって、簡単には真似できない仕事。
勾玉もそうだけど、石笛も本来は祭器でご神事に使うもの。
気軽な気持ちでデザインだけ真似して欲しくないもんですな。