春先に糸魚川市にスケッチ旅行のついでに「ぬなかわヒスイ工房」に訪れたのが、中世油絵技法の「フランドル絵画」研究家で、独自に編み出した光層画法で活躍されておられる画家の五味政明さん。
初対面だったけど、私も高校時代は美術部だったし、縄文の師匠である関根秀樹先生の影響で、糸魚川産の鉱物だけで顔料を作ったりして絵具には興味があるので、大いに語り合い、別れ際に加工で出たヒスイの粉をプレゼントした。
ヒスイの粉を精製して絵具に混ぜるとヒスイ輝石がチカチカと光って観えるし、胡粉に混ぜれば彩度の高い白絵具になるのである。
9月後半に糸魚川ヒスイが国石に認定されたタイミングに、五味さんから個展の案内が届いた。
なんと糸魚川市へのスケッチ旅行は、ヒスイをテーマにした絵画展のためだったようだ。
『古代のひかり』で発表される「姫川」
五味さんがぬなかわヒスイ工房を訪れた時点では、9月に糸魚川ヒスイが国石になる事など知る由もなく、これは画家の直観がなせる業だろう。
「翡翠峡」
以下は個展の案内文
『古代のひかり』
日本の古代を見つめると、重要な翡翠(ヒスイ)文化があったことがわかる。
縄文時代の翡翠製品は、三内丸山からも武蔵野台地からも出土している。
文化の中心地は姫川。諏訪湖から構造線に沿って日本海に抜けるところにある。
今でもそのあたりに行くと大地のエネルギーがむき出しになっているのを感じる。
姫川の姫は古事記にも出てくる奴奈川(ヌナカワ)姫。
出雲の大国主命(オオクニヌシノミコト)との子は諏訪の神となった。
諏訪から姫川に至る風景は、古代のひかりに満ちている。
日時;10月20日~26日
場所:池袋東武百貨店 6階 美術画廊
嬉しいことに、一連の絵画には、私がプレゼントしたヒスイの粉末を絵具に混ぜて使って頂けたようだ。
これまでヒスイの粉はセミプロの日本画家(絵だけでは食えないからね)にプレゼントした事はあっても、プロの画家が使ってくれるのは初めてだし、もしかしたら油彩でのヒスイ顔料使用は史上初かも・・・。
糸魚川ヒスイの顔料を混ぜた絵具で描かれたヒスイの故郷の絵画展・・・素敵だ。