この四月で設立五年目を迎える「ぬなかわヒスイ工房」も、県外の講演やイベントに招待されたりする機会が多くなってきたので、案内チラシを作る事になった。
昨年、人の出入りが多い仕事をされているお得意様が、ぬなかわヒスイ工房のチラシを手作りまでして来訪者に配っていると聞いた事もあるのだ。
ここはひとつ、チラシ作りに着手せねば・・・。
エクセルデータにマジックで手描きしたチラシ原案
元印刷屋の友人に相談したら、自前でデザインさえすれば友人が版下を作るので、格安の印刷屋さんを紹介してくれるという。
持つべきものは友ですねえ。
さて、チラシのデザインだが高校の美術部出身者としては結構、得意な仕事。
最初からイメージは出来ていたので、仕事の合間を縫ってエクセルでレイアウトを作り、プリントアウトしたものにマジックで手描きして原案を作っていった。
表紙を飾るのが、ウズマキの二重反転螺旋とノコギリ状の鋸歯状紋。
この模様は五歳の頃から訳もわからず突如と描き始め、高校の時に「隼人の盾」と出会い心を鷲掴みにされ、由来を知ったいわくある模様。
平城京の井戸枠に使われていた「隼人の盾」とレプリカ
白地に赤と黒のシンプルな配色。
何故か懐かしく、何故か心が騒ぐ不思議な模様。
縄文土器の施文に多用されているので、縄文時代から奈良時代前半まで日本列島で愛されてきた古典的な文様でもある。
二重反転螺旋は、ギリシャ神話の「ウロボロス」を由来とする無限大を表す記号∞や、メビュースの輪と同じく、始めも終わりもない永遠の時の流れを現しているように思う。
インドでは宇宙創造神のブラフマーの別名がカーラ、すなわち時。
古代インドにおいて時とは神と同義であり、縄文人や隼人族にとっての二重反転螺旋も、宇宙そのもの、神を象徴していると思うのだ。
版下用に手描きした二重反転螺旋。絵具はリキテックス使用。手描きにはパソコンで作ったデザインにはないユラギがあるので拘りたい。
書道を嗜む友人から聞いた話しでは、漢字の時は「脈動」を表す象形文字だそう。
ノコギリ状の鋸歯状紋の持つ意味は、やはり時の流れなのだろう。
剽悍無比の隼人族の護符が、今でも台湾やインドネシアの海洋民の舟や家屋に描かれており、この模様を訪ね歩いた事もある。
南方由来なのか?
北方から南下したのか?
同時多発的に生まれた文様なのか?
分からないけど、心が騒ぐ模様であることは間違いない。