出雲の観光施設、「いづもまがたまの里伝承館」が閉鎖したそうだ。
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写真は「島根観光ナビ」の関連記事より https://www.kankou-shimane.com/destination/20558
ヤフーニュースには、天然石ブームの下火とコロナ禍で来館者が激減しての閉鎖と出ていたが、ブームに乗ったりや観光土産としての大量生産・大量販売の玉造りから、小規模な加工販売で生計をたて、もって玉造りの研究と文化の情報発信への転換へと考える私にとって(関係者には気の毒だが)、その転換への嚆矢となってくれたらと切に思う。
糸魚川ヒスイが国石に認定されて以来、原石が年々と入手困難になってきているのは何故だろうか?
「糸魚川に遊びに来て一攫千金お宝ゲット!」「レッツ、ヒスイハンティング!」と言った類いの商業ベース寄りの情報発信を見るにつけ、情けなくなるのは私だけだろうか?
投機目的でヒスイを買い漁る業者は昔からいるが、観光客が拾ったヒスイを見せて「これ幾らで売れますか?!」とも聞かれる。以前は簡単に拾えたネフライト(軟玉ヒスイ)も、いまでは根こそぎ持っていかれて拾えなくなっている。
その一方で、糸魚川で買ったヒスイ原石を買い取って欲しいと持ち込まれる岩石がヒスイであった試しはない。
来客から以前に買ったものだと、桐箱に恭しく収められた加工傷だらけの勾玉や、着色加工した色鮮やかな加工品を「どうでしょうか?」と見せられると、返事のしようがない。
また縄文遺跡から出土したという石笛や勾玉を入手したと鑑定を頼まれれば、一目で現代の加工品とわかるようなものばかりだ。
つまりは多くの人にとって、ヒスイ=換金鉱物、または現世利益の得られるパワーストーンと認識されているのだ。そこに文化はあると言えるのか?
出雲で売られている勾玉は外国産の「青碧玉もどき」が大半であると聞くが、甲府の水晶に至っては随分と前から外国産。糸魚川ヒスイも何時かはミャンマーヒスイやインド翡翠(グリーン・アベンチュリン)にとってかわられる日が来るのかも知れない。
この4月で創立10周年を迎える「ぬなかわヒスイ工房」は6畳しかなく、4人以上の来客では手狭だし、多い時には30人のバスツアー客が訪ねてくるまでになったので、来客にゆったり寛いでもらえるように拡張工事を考えてはいる。が、これから10年、20年先を考えると躊躇してしまう。