「ザ・ヤクザ」は、時代を70年代の新宿、池部良の役柄をロバート・ミッチャムに変えたハリウッド版の「昭和残侠伝」。
高校生のときはアメリカ人目線の「神秘の国、日本」に大笑いして観たが、久しぶりに視聴したらミッチャムと健さんといった男の哀愁が滲み出る寡黙なイメージの俳優同士の掛け合いに味があり、ストーリーや細部は別にして、戦勝国と敗戦国の男の哀しみも描かれており、しみじみする映画だった。
ギーリ(義理)とはなんですか?重荷です・重荷を捨てたらどうですか?義理です・・・健さんらしいセリフだ。
健さんは英語が堪能だったこともあり、ミッチャムと共演後はプライベートでも交流が続いていたことをエッセイに書いている。
松田優作の最後の出演作「ブラック・レイン」での健さんは、エキセントリックなマイケル・ダグラスの引き立て役に甘んじて持ち味が出し切れておらず、あれでは気の毒すぎる。
健さん主演のヤクザ映画はラストの切り合いで着物が切られて上半身裸になっていくことが多いが、これはブルース・リー映画も同じだ。もしやブルース・リーも「昭和残侠伝」からヒントを得たのかも。