高田屋嘉兵衛を礼賛したSNSに投稿をしたら、その夜から20年前に放映されたNHKドラマ「菜の花の沖」全5回の再放送がスタートすると教えてもらい、嘉兵衛さんから「おもしろき男よ、ちこう寄れ」と呼ばれたようで欣喜雀躍。
兵庫で水夫(かこ・船乗りのこと)となってわずか3年で沖船頭(おきせんどう・雇われ船長)に出世した嘉兵衛さんは、20代で国内最大級の千五百石積み(約230t)の辰悦丸を建造し、それまで近海を走って港ごとに寄港していた北前航路を「沖走り」することで航海日数を一気に短縮することに成功し、巨万の富を得て高田屋の基盤をつくった。
淡路島の高田屋嘉兵衛公園の博物館に展示されている辰悦丸の模型。シュッとしたデザインだ。
その成功の裏には嘉兵衛の天才的な操船技術と、荒波を乗り切る工夫を凝らした辰悦丸の他に、その少し前に帆が破れないように独自開発した極太の綿糸でつくった松衛門帆(まつえもんほ)の発明がある。
同じく高田屋嘉兵衛公園の博物館に展示されている松衛門帆
頑丈な帆布を発明したのは嘉兵衛の大先輩にあたる兵庫の船主の工楽 松右衛門(くらくまつえもん)で、亜麻布(リネン)を使っていた当時の西洋帆船の帆布より丈夫であったそうだ。
松衛門は教えを請えばだれにでも帆布の製造方法を教えたこともあり、松衛門帆が普及して漂流や沈没の多かった当時の海運業界に改革をもたらせた人。
NHKドラマ「菜の花の沖」の松衛門役は竜雷太さんで、原作の相撲取りに引けを取らない体格、無欲で豪放磊落な海の男のイメージ通りで実にいい。
嘉兵衛さんは28歳で高田屋の主として独立して、幕府からの命もうけて蝦夷地航路を開拓してゆくのだが、当時寒村だった函館を天然の良港として港湾施設を整備したのが、嘉兵衛さんと松衛門だ。
函館を基点としてエトロフに漁場を開拓していくことになるが、この辺りからアイヌ民族と「公平な交易」が始まり、ロシア外交の矢面に立つことになるのだが、原作全5冊を読むには1ヶ月はかかる。
嘉兵衛さんに興味をもったら毎週金曜日夜8時15分~9時半までのBS-NHK2「菜の花の沖」を要チェック!