ヒスイ加工の大先輩が若い頃につくったネフライト(軟玉ヒスイ)のお茶道具を見せてもらったが、文化財級の姿に感動。
厚みが1㎜ほどの極薄のナツメの蓋がフワッとゆっくり入るのだけど、原石の節理を完璧に読めることと、成形から研磨までの工程で寸法がちいさくなっていくことが計算できていればこその超絶技法。
茶道をかじった程度の男私がいうのもなんだが、お茶道具として姿もいいし、軽さもほどがいいように思う。
姿のみならずナツメとして肝心な密閉性がいいので、お茶人から抹茶が湿気ないと評判もいいそうだが、試作の段階では何度も重すぎると駄目だしされて完成度を高めていったそうだ。
登り窯で焼いた壺が県展あたりで入賞したアマチュア陶芸家が、地元の茶道愛好家から「これはお茶には使えない」と抹茶茶碗を買ってもらえなかったとかで「素人のクセに!」と憤っていたが、お茶道具には相応しい姿や品格というものがあり、黙っていたけど確かに彼の作品はお茶道具に特有な凛としたたたずまいが感じられず、只でもらったのに申し訳ないが仕舞いこまれたままだ。
それだけお茶道具は特異な世界なのに、大先輩はよくもお茶人が納得するモノを作ったものだと尊敬する。
こちらは玉露用の急須と湯冷ましのセット。いい姿だし、光沢の具合もいい。
いまは歳をとったのでこんな仕事は無理だし、生涯の最高傑作だと仰っていたが、これは私蔵しておくより市の文化財としてフォッサマグナミュージアムあたりで展示して、これほどの作品が糸魚川で作られたことを誇りにしないと勿体ない話し。
硬玉ヒスイ製の玉露用急須と茶碗のセット。技術のことは抜きにして、お茶道具としては深緑のネフライトの方が落ち着きがよく、「なんだ軟玉ヒスイなの!硬玉ヒスイより安いんでしょ?」とバカにしてはいけないという教訓。
大先輩は非常に謙虚な方だから自分から宣伝したりはしないが、多くの人に観て、手にとってもらいたい作品ですなぁ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます