温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

草津温泉 松村屋旅館

2024年11月15日 | 群馬県

(2023年7月訪問)
今回記事から天下の名湯、草津温泉を連続して取り上げます。つい最近まで草津温泉では「和風村」に加盟する老舗旅館に宿泊すると、加盟旅館のお風呂に700円で日帰り入浴できる「湯めぐり手形」を購入することができましたが、2023年7月28日を以てこの手形の販売が終了となってしまいました。手形を利用しないと日帰り入浴できない旅館もあったため、販売終了によって草津温泉で日帰り入浴できる選択肢が狭まってしまい、湯めぐりを趣味とする者としては非常に残念です。販売終了までに購入した手形は購入日から2年間有効ですので、今回はこの手形を利用して老舗旅館のお風呂を巡ってまいります。

まずは湯畑の近く、「湯元館」の隣に位置する「松村屋」(屋号五郎平)から。
格子の建物は老舗旅館の風情たっぷりですね。


帳場に手形を出して入浴をお願いしますと、お風呂へ案内してくださいました。玄関を上がって左手の近くに浴室があります。
ドアを開けて脱衣室へ入りますと、格子引き戸越しに浴室が見えました。なお脱衣室内には棚とカゴ、ドライヤーひとつ、そして扇風機が用意されており、ロッカーはありません(貴重品は帳場へ)。


綺麗にお手入れされている浴室からも古き良き温泉風情が感じられます。素敵です。
お風呂は内湯のみで露天風呂はありませんが、この趣きたっぷりの内湯に入れば十分満足できるはず。
洗い場には5カ所の水栓が並んでおり、うち1つは浴槽の加水用で、残り4つがシャワー付き混合水栓です。


洗い場の上にはタイル絵が施されており、そこには草津十七滝と草津節が描かれています。「草津良いとこ 一度はおいで どっこいしょ」の草津節は有名ですが、草津十七滝とは何ぞや・・・草津の歴史に詳しい方ならご存じでしょうけど、今でも湯畑の下流側は滝のようにお湯が落とされていますが、かつてはそこが17本の打たせ湯になっており、湯滝の滝壺に人が入って強酸性と強水圧のダブルアタックを全身で受け止めていたわけです。湯畑から落ちるお湯の勢いや熱さは相当のものでしょうけど、あれを直接体に受けて気持ち良かったのかしら。ちなみに17本の打たせ湯は3区画に分かれていたらしく、左側は天狗の滝、真ん中は薬師の滝、右は不動の滝と称されていたそうです。


話をお宿のお風呂へ戻しましょう。浴槽は切り出された石材を積んだような造りで、縁には木材が用いられており、その大きさは(目測で)2.5m×3.5mほど。浴槽に張られたお湯は、底の穴に接続されたオーバーフロー管を通じて排出されています。この穴の周りは草津温泉ではおなじみのイデユコゴミによって緑色に染まっています。


こちらのお風呂には湯畑源泉のお湯が引かれています。湯口の上には蛙の置物。


浴槽内も薄い緑に染まっていますね。お風呂場で酸っぱい匂いと共にこの色合いを目にすると、草津温泉のお風呂にいることを実感します。湯畑のお湯をそのまま浴槽へ投入しているらしく、入りしなは少々熱かったのですが、ちょっと湯もみしたら良い塩梅になりました。熱いからといって短絡的に加水せず、まずは湯もみしてみることをおすすめします。湯中では強い酸性泉らしいヌメリを伴うツルスベ浴感がはっきりと感じられ、また湯の花もちらほら舞っていました。
風情といいお湯といい、実に素晴らしいお風呂でした。


湯畑源泉
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 51.3℃ pH2.1 自然湧出 溶存物質1.65g/kg 成分総計1.69g/kg
H+:8.91mg(36.54mval%), Na+:56.0mg(10.06mval%), Mg++:36.3mg(12.33mval%), Ca++:73.5mg(15.16mval%), Al+++:43.8mg(20.14mval%), Fe++:17.5mg,
F-:9.9mg, Cl-:311mg(35.63mval%), Br-:1.3mg, SO4--:640mg(54.16mval%), HSO4-:192mg(8.04mval%),
H2SiO3:216mg, H2SO4:4.3mg, CO2:36.7mg, H2S:7.1mg,
(平成25年5月15日)
加水加温循環消毒なし

群馬県吾妻郡草津町草津365
0279-88-2323

和風村の「湯めぐり手形」で入浴利用可能
(「湯めぐり手形」の販売は終了しています)

私の好み:★★★


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『日帰りで登れる 温泉百名山』出版記念会に参加しました

2024年11月08日 | その他
今回記事は趣向を変えて、新刊の温泉関連書籍をご紹介します。
昨年(2023年)9月に拙ブログで2冊の温泉関連書籍を取り上げましたが、その中のひとつ『温泉百名山』の続編となる『日帰りで登れる 温泉百名山』がこの度刊行されることになり、2024年11月2日に都内某所でその出版記念会が催されましたので、不肖者ながら私も参加させていただきました。


『日帰りで登れる 温泉百名山』
 飯出敏夫 著
 集英社インターナショナル

まずはこの新刊について。
著者の飯出敏夫さんは、登山と温泉のエキスパートとしてこれまで多くの著書などを世に出しており、今年で喜寿を迎え、大病を克服しつつもまだなお精力的に活動していらっしゃいます。前著『温泉百名山』は、名山に名湯ありという発想のもとで、著者が独自の基準に基づき全国から名湯を擁する名山100箇所を選定し、その百座全てをご自身で実際に登るという偉業の集大成なのですが、登山経験者でないと登頂できないような少々難易度の高い山が多く、また地域も東日本に偏っていたため、もう少し読者の裾野が広がるような山と温泉の選定を求める声もあったようです。そのようなリクエストに応え、今回の新著『日帰りで登れる 温泉百名山』ではその名の通り、対象となる山の難易度を下げ、また九州など西日本にも視野を広げて改めて百座を選定し、今回もその全てを登頂なさっています。

登山と温泉の両方を趣味とする私は、山を登った後にその麓で入る温泉が大好きで、湯船に浸かって疲労困憊の体を湯で癒しながら自分が登った山を見上げていると「俺はあの山を登りきって無事に戻ってきたんだ、そんな自分を褒めたい」なんて感慨に浸り、言葉には表現しにくいほどの満足感をたっぷり噛み締めてしまいます。飯出さんの前著や今回の新著を拝読していると、登ったことがある山ならばその時の記憶を蘇らせ、未踏の峰だったら私自身がその山を登っているかのような追体験ができ、特に温泉に関する記述では、自分だったら上述のような心境で肩まで湯船に浸かっただろうな、と想像をして楽しませていただきました。

そんな私の感想はともかく、登山を楽しんだ後に温泉に入って汗を流す方も多いかと思いますので、私のように読み物として楽しんで追体験をするのはもちろん、実用的なガイドブックとしても活用できますので、いろいろな方法で有用性が高い一冊と言えるでしょう。温泉百名山という概念や認識が人口に膾炙することにより、ひいては、登山愛好者の増加を期待するとともに、斜陽産業となりつつある温泉業界の再興や隆盛を願わずにはいられません。


さて、出版記念会の会場には約130人もの方々が集まり、大変な賑わいでした。飯出さんのお人柄や人望の厚さによるものでしょう。上画像は飯出さんを中心に、温泉百名山の登山でサポートをしているお二方が左右両脇を固めてそれぞれスピーチをなさっているところです。飯出さんはご高齢にもかかわらず難病を克服した後にご自身が選定した百名山登頂を二度も達成しており、その強靭な身体や意思の強さには感服するばかりです。その達成にはお二方のサポートも欠かせず、こうした方々の協力あってこそ著書が完成に至ったのかと想像します。


今回の会では飯出さんから私へ「(私が暮らす)多摩地方の美味しいお酒を差し入れてほしい」とのリクエストを直接頂戴したので、ささやかながら澤乃井を1本提供させていただきました。私のみならず他の方にもお声がけなさったようで、会場には全国の銘酒が一堂に会し、その様は壮観でした。普段私は日本酒を飲まないのですが、これを機に比べ飲みしてみたら、それぞれの美味しさに驚きました。

ということで、毎度のことながら文章が無駄に長くなってしまいましたが、おすすめの本ですので是非ご一読を。

次回記事は再び温泉に戻ります。
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仁賀保 かみの湯温泉

2024年11月01日 | 秋田県

(2023年6月訪問)
さて私は羽後本荘駅から羽越本線の普通電車に乗って仁賀保駅へやってまいりました。仁賀保駅といえば駅の真裏にTDKの大きな工場がありますね。昭和世代の私は、学生時代にTDKのカセットテープやビデオテープをたくさん買って録音や録画を繰り返しましたので、青春時代の記憶にはTDKの存在が色濃く残っています。高校生の頃、青春18きっぷで東北を旅している際に、車窓から仁賀保駅裏手に広がるTDKの工場を目にした時には、遠い秋田の地と自分の毎日が知らぬ間に結びついていたことに気づいて驚いたものです。


そんな旅の思い出がある仁賀保駅を出て、海の方へ向かって歩いてゆくと、やがて今回の目的地である「かみの湯温泉」に到着です。付近には平沢漁港があるためか、周辺は漁師町のような独特の雰囲気が漂っています。


裏手にはお湯を沸かすための廃木材がたくさん。いかにも銭湯って感じですね。
 

さて中へ入りましょう。銭湯の割りには妙に狭い下足場で靴を脱ぎ、金属製の松竹錠が刺さった下駄箱へ靴を収めてから、番台のお姉さんに湯銭を支払います。なお浴場内はボディーソープやシャンプーなどのアメニティ類が無いので、もし必要なものがあれば事前に番台で買っておきましょう。レンタルタオルもありますので、予算にこだわらなければ手ぶらでの入浴も可能です。

お風呂は露天風呂がある「長寿の湯」と、露天風呂は無いけど電気風呂やジェットバスがある「元気の湯」があり、奇数日は「長寿の湯」が女湯で「元気の湯」が男湯、偶数日はその逆という形で暖簾替えを行っています。私が訪ねた日は奇数日だったため、「元気の湯」に男湯の暖簾が掛かっていました。このため、以下は「元気の湯」について説明致します。また、私が訪ねた16時半頃は地元の爺様で大賑わいだったため、館内の画像はございません。ご了承ください。

脱衣室はまさに昭和の銭湯そのものといった雰囲気。室内には使いこまれた開放的な棚の他、無料のロッカーも用意され、お好きな方を使えます。室内にエアコンはありませんが扇風機は取り付けられていますので、湯上がり後のクールダウンも大丈夫。なお備えのドライヤーは1つです。

お達者クラブと化していた浴室へ入った途端、鼻孔を突くような弱い刺激臭が感じられました。無論爺様たちの加齢臭ではありません。温泉由来のヨード臭です。ということは、こちらの温泉も前々回の記事で取り上げた「安楽温泉」同様、日本海沿岸に点在する鹹水の温泉(鉱泉)かと思われます。この付近ですと象潟の「道の駅」にも(同じではないが)似たような泉質に入れる温泉施設がありますね。

「元気の湯」は、場内の右手及び左手奥に洗い場が配置され、昭和の銭湯にはおなじみの壁固定式シャワー(一部はホース付き)と押しバネ式(宝式)カランの組み合わせが十数セット並んでいます。なお水栓から出てくる水は源泉そのままの茶色い冷鉱泉で、お湯は加温された鉱泉です。なお水栓から出てくる鉱泉は後述する浴槽のお湯より鉱泉の良さや持ち味が出ており、個人的に気に入りました。特に冷鉱泉はコンディションが良く、桶に冷鉱泉を注ぐと芳ばしい香りが放たれ、麦茶色の水が泡立ちます。

メイン浴槽は左手にあり、歪な五角形もしくは六角形のような形状をしたタイル張りで、ジェットバスや電気風呂など仕掛け風呂が浴槽の半分近くを占めています。浴槽に張られたお湯はちょっと熱めに加温されており、濃く出しすぎた麦茶みたいな色を帯呈しています。そのお湯はしょっぱく、同時に清涼感のあるほろ苦みを伴い、ヨード臭や臭素臭のほか、鉱物油感も少々含まれているようでした。湯中ではツルツルスベスベの滑らかな浴感をはっきりと感じられます。とはいえ、その心地よい浴感に惹かれて長湯するのは禁物。しょっぱいお湯ですからパワフルに火照り、場合によっては湯当たりするかもしれませんので、あまり長湯せず適当なところで湯船から出ましょう。

余談ですが、私が湯船に浸かって滑らかな肌触りを楽しんでいると、場内にいる爺さんたちが奥へ奥へと続々吸い込まれてゆく光景を目の当たりにしました。一体何が起きているのか、催眠術にかけられているのか、黄泉の国へ召喚されているのか、果たして私も奥へ導かれて良いものか、不安を覚えつつ湯船から出て勇気をもって奥へ行ってみると、そこにはサウナと水風呂があったのでした。地域を問わず皆さんサウナが大好きなんですね。


温泉の目の前は渺茫たる日本海です。お風呂上がりの脱衣室は常連さんで混んでおり、扇風機に当たるスペースもあまり無さそうだったので、サクッと着替えて海岸に出て、潮風に当たってクールダウンしたのでした。


体の火照りが落ち着いた後に歩いて仁賀保駅へ戻り、「特急いなほ」新潟行に乗車しました。羽越本線の秋田~酒田間は本数が年々減少しており、特にこの区間を走る特急は風前の灯火。いずれ全廃されるのではないかしら。


ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉 19.5℃ pH8.0 溶存物質3871.8mg/kg 成分総計3884.8mg/kg
Na+:1229mg, NH4+:17.6mg,
Cl-:1498mg, Br-:8.5mg, I-:5.3mg, HS-:0.4mg, HCO3-:940.0mg,
H2SiO3:63.6mg, HBO2:16.6mg, CO2:13.0mg,
(平成20年11月13日)
加水無し
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
循環あり(温泉資源保護と衛生管理のため)
消毒あり(衛生管理のため)

秋田県にかほ市平沢字家の後2番
0184-35-3178
ホームページ

13:00~22:00 毎週月曜・火曜定休(祝日は営業して翌日休業)
400円
ロッカー・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5





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旧大内町(由利本荘市) かすみ温泉

2024年10月25日 | 秋田県

(2023年6月訪問)
現在は由利本荘市に合併されてしまった秋田県旧山内町の山里に、浴感が魅力的な鉱泉があるらしいので、鉄道の旅の途中、レンタカーを借りて行ってみることにしました。由利本荘の市街地から芋川に沿って国道105号を東へ進み、早坂トンネルを潜る手前の十字路を右折。あとはひたすら道なりに長閑な田園地帯を進めば良いのですが、途中から人里を離れて山間部に入り、しかもどんどん坂を上がってゆくのです。「こんなところに本当にあるのか」と不安を覚えながら車を進めてゆくと、突如目の前に一軒の鉱泉宿が現れました。これが今回の目的地である「かすみ温泉」です。昭和30~40年代から時計の針が停まっているかのような外観で、営業しているのか心配になりますが、比較的新しい観光の幟が立っているところを見ると、今でもちゃんと営業している模様。駐車場は玄関の前を通り過ぎた先の奥にあります。


こちらが玄関。今回は日帰り入浴利用です。
ドアを開けて入浴をお願いしますと、女将のおばあちゃんが快く受け入れてくださいました。外観と同様、館内も昭和の懐かしい雰囲気が横溢しています。


お風呂は帳場の右側にあります。昭和な建物だからと侮るなかれ、トイレは洋式も用意されており、綺麗で快適に使えます。


山あいの鉱泉宿らしく、脱衣室はシンプルながらきちんとお手入れされており、ドライヤーも用意されていて、問題なく使えます。なおロッカーは無いので、貴重品は車の中に入れておいた方が良いかも。


お風呂も奇をてらわない、シンプル・イズ・ベストな構造。
向かっておくの窓下に浴槽がひとつ据えられ、その手前の左右両側にシャワーが1個ずつ取り付けられています。なおシャンプー類の備え付けも有ります。


浴槽は3人も入ればいっぱいになってしまう程度の大きさです。冷鉱泉なので当然ながら加温されており、循環も行われています。窓下の側面に設けられた2つの吐出口から循環したお湯が出ており、右側の側面にはお湯の吸引口もあります。


されマニア的に注目したいのが、浴槽の左側にある2つの水栓。右側からは加温された鉱泉が、左側からは非加温の鉱泉(源泉)が出てきます。
加温循環している鉱泉のお湯ですから、湯船のお湯や浴室内に漂う湯気からは、循環湯らしい独特の臭い(語弊を承知で申し上げると埃っぽい臭い)がするのですが、非加温冷鉱泉の水栓を開けると、芳しいタマゴ臭とともに鉱物油のような香りも一緒に放たれ、鉱泉を口に含んでみるとタマゴ味のほか、ゴムみたいな味や焦げたような味も同時に感じらるのです。

この鉱泉で特筆すべきは極上のニュルニュル浴感。とにかくツルスベ感が凄く、水栓から出てくる冷鉱泉を指先で触っただけでもその滑らかさがはっきりと分かります。源泉そのままの冷鉱泉のみならず、加温循環された湯船のお湯でも同様で、ウナギ湯と称しても決して過言ではありません。分析表によると炭酸イオンが55.7mg含まれ、且つpH9.6というはっきりとしたアルカリ性でもありますので、こうした要因がウナギ湯と称したくなるほどの強いニュルニュル感をもたらしているものと思われます。

訪問時は湯船の加温が強かったため、ニュルニュル感を楽しんで長湯しているうちに逆上せそうになってしまいましたが、火照った体をクールダウンすべく、桶に冷鉱泉を汲んで頭から浴びたら最高に気持ち良く、心身がシャキッと蘇りました。
物価高騰の昨今、過疎地に湧く冷鉱泉を沸かし続け、しかも400円という安さで営業しているだなんて、ちょっと信じられません。この冷鉱泉は入る価値があり、わざわざ来た甲斐があった。


ちなみに、お宿の名前の由来は、建物裏手にある秋田県の天然記念物「かすみ桜」。
樹齢400年という老木で、幹周り5メートル、樹高約14メートルという大木でもあり、それゆえ枝ぶりが大変立派。
きっと春にはすばらしく綺麗なのでしょう。
お風呂の窓からも「かすみ桜」が見えますので、その季節になればまさに天国のようなお風呂になりそうです。


いわゆる規定泉(総硫黄の項により温泉法が規定する鉱泉に適合) 11.9℃ pH9.6 溶存物質0.5854g/kg 成分総計0.5854g/kg
Na+:177.2mg(97.72mval%),
OH-:0.7mg, HS-:0.9mg, S2O3--:0.4mg, HCO3-:279.5mg(57.97mval%), CO3--:55.7mg(23.54mval%),
H2SiO3:16.6mg,
(平成30年12月12日)
加水なし
加温・循環・消毒あり

秋田県由利本荘市葛岡字落合43
0184-66-2418
紹介ページ(由利本荘市観光協会公式サイト内)

日帰り入浴時間不明
400円
シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (2)
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由利本荘市 安楽温泉

2024年10月18日 | 秋田県

(2023年6月訪問)
由利本荘市の本荘城から望む鳥海山。
その秀麗な姿に心を奪われてしまいました。ずっと眺めていても飽きません。今回の記事とは関係ありませんが、この時の景色が忘れられず、私はこの3ヶ月後に鳥海山に登って、頂上から麓の景色を見下ろしたのでした。


さて今回は本荘の城下町に湧く温泉「安楽温泉」を訪ねます。市街地南部にある温泉一軒宿で、昭和一桁の頃から営業している老舗なんだとか。一時は源泉が枯れてしまったようですが、掘り直したら現在使用している源泉が湧いたそうです。
駐車場は広いので停めやすいかと思います。県道に沿って建っている建物はレストランや宴会場のようで・・・


お風呂がある旅館はその奥です。土足のままフロントの前へ上がって日帰り入浴したい旨を伝え、湯銭を支払います。スタッフの方から入浴のポイントカードを作りませんかと勧められたほど、日帰り入浴に積極的のようです。本館の裏手から建物を一旦出て、その先の階段を上がったところに浴場を擁する宿泊棟があります。この宿泊棟を入ったところで靴を脱ぎます。


中庭を見ながら左側の廊下をまっすぐ進んでゆくと・・・


その突き当たりが浴場です。2つの浴場を男女暖簾替えで使っており、私の訪問時は右側のお風呂に男湯の暖簾が掛かっていました。脱衣室はそこそこ広く、エアコンや扇風機が設置されており、洗面台やドライヤーも複数台用意されているので、使い勝手は良好です。なお脱衣籠のそれぞれの棚には小さな貴重品用ロッカーが付いています。日帰り入浴客のみならず宿泊客も自室の鍵を保管するのに便利ですね。


ここから先、浴場内の画像は公式サイトより借用しています。
着替えて内湯に入った途端、刺激を伴うヨード臭がプンと鼻孔を突いてきました。この個性的な香りが、濃厚なお湯に入れる期待を高めてくれます。私が利用した右側の浴室の場合、入って右手前に水風呂とサウナ、その奥に洗い場が配置され、シャワー付き混合水栓が計8ヶ所設けられています。一方、窓がある左側に内湯の浴槽があり、大きさは失念してしまいましたが、なかなか広く、お湯がしっかりかけ流されていました。


露天風呂は周囲の木々に囲まれた静かなロケーションで、右側には落葉樹、左側には竹林が植わり、これらの木々を見上げながら東屋の下で湯船に入ります。露天浴槽の大きさは目測で2m×3m程でしょうか。こちらもしっかり温泉がかけ流され、浴槽のまわりは成分付着により赤く染まっていました。

こちらの源泉はいわゆる鹹水の温泉で、非常に塩辛く、ヨードや臭素なども多く含んでいます。おそらく源泉湧出時点では天然ガスも相当含まれているのではないかと想像します(浴用へ供する段階でガス抜きされるはずですが)。この手の温泉は能登半島以北の日本海側に多く、氷見・中条・男鹿・積丹・豊富など広い範囲にわたって分布しており、一部では実際に鹹水から天然ガスやヨードを取り出して生産しています。湯船のお湯はモズグリーンを帯びた山吹色(ベージュ?)に濁り、湯中では湯の花が大量に浮遊しています。特に内湯浴槽の底はベージュ色の細かな湯の花が大量沈殿しており、私が湯船に入ったところ、それらが一気にボワっと舞い上がって全身にまとわりついてきました。上述のように露天のオーバーフローにより浴槽まわりが赤く染まっている他、内湯露天ともに湯口周りは濃いベージュ色に染まっていました。なお館内表示によれば塩素消毒を実施しているそうですが、温泉に含まれる刺激を伴う臭素臭やヨード臭が強いため、消毒臭はほとんどわかりませんでした。
湯中では滑らかなツルスベ浴感がしっかりと感じられるのですが、加水していないので成分が非常に濃く、特に塩分濃度が高いため強烈に火照ります。このため長湯は禁物です。適度に出たり入ったりを繰り返しながら、体に無理させない入浴が肝要です。

公式サイトによれば敷地内の源泉から毎分200L湧出しているんだそうです。綺麗なお風呂で濃厚なかけ流しの温泉を楽しめる幸せ。実に素晴らしい。市街地とは思えないとても良いお湯でした。


含よう素-ナトリウム-塩化物強塩温泉 49.6℃ pH7.6 溶存物質21.24g/kg 成分総計21.25g/kg
Na+:7594mg(9301mval%), Ca++:274.1mg,
Cl-:12420mg(98.79mval%), Br-:64.9mg, I-:23.7mg, HS-:0.1mg, HCO3-:196.8mg,
H2SiO3:152.1mg, HBO2:145.4mg, CO2:16.5mg,
(令和2年6月21日)
加水加温循環無し
消毒あり(県条例で規定する水質基準を満たすため塩素系薬剤を使用)

秋田県由利本荘市大堤下4
0184-22-0637
ホームページ

日帰り入浴12:00~20:00 月曜・火曜は休み場合あり
700円
貴重品用ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

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