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前回に引き続き、2018年の春に巡った信州・高山村の温泉を取り上げます。
七味温泉の後は、山を若干下って、高山村の代表的な温泉地である山田温泉を訪ねることにしました。当初の予定では当地の有名な旅館で日帰り入浴をさせていただくつもりでしたが、運悪くこの日は早めに日帰り入浴の受付を終了していたため、第二候補として考えていた共同浴場「大湯」を訪ねることにしました。拙ブログでは2009年に取り上げておりますので、約9年ぶりの再登場です(2009年の記事はこちら)。
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山田温泉のシンボルでもある大湯の前にはちょっとした広場があり、そこに設けられている足湯では観光客が手軽ならぬ足軽に温泉を楽しんでいらっしゃいました。
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番台脇の券売機で支払い、券を窓口に出します。番台の左右にお風呂の入り口が分かれており、女湯は右側で男湯は左側。脱衣室は奥に細長い造りで、その最奥には洗面台と無料のドライヤーが用意されていました。
総木造の浴室は荘厳且つ重厚な、趣きある湯屋建築です。湯気抜きが高く、そして柱や梁も大変立派です。この室内の手前側には2~3人サイズのぬる湯浴槽が据えられており(上画像)、その湯加減は40℃に設定されていました。湯口で既にぬるいので、加水されているのでしょう。
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中央に堂々と据えられている浴槽はメインのあつ湯。44℃設定です。真ん中に湯口があり、そこからお湯が供給されています。浴槽の大きさは(目測で)1.8×5.4mくらいでしょうか。浴槽の縁よりしっかりオーバーフローしていました。純然たる掛け流しの湯使いです。
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このお風呂は洗い場が特徴的。一般的なカランは設置されていないかわりに、4本の木樋が伸びており・・・
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各樋には木板の弁がついていて、その板の弁を斜めにすると(手前に倒すと)樋からお湯(加水済みのぬるいお湯)が出てくる仕組みになっています。この木の弁は手を離すと上手い具合に止水する状態になるので、湯量も豊富なので使い勝手はなかなか良好。なんて合理的なのでしょう。なお、洗い場用のお湯の余りはあつ湯浴槽へと注がれています。
湯舟のお湯は無色透明ですが、白い湯の花がたくさん沈殿しており、湯舟に入るとその沈殿が一気に舞い上がります。お湯を口に含むと、かつお節のような出汁味と淡い塩味、石膏味が感じられ、遅れて甘みも舌に伝わってきます。そして消しゴムのようなゴム的な硫黄臭も優しく香ってきます。分析書によれば総硫黄は1.9mgなので、ギリギリのところで硫黄泉を名乗れないのfですが(硫黄泉は総硫黄2.0mg以上)、前回記事によれば「含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉」と書かれているので、コンディションによって硫黄泉を名乗れるボーダーラインを行ったり来たりしているのでしょうね。ま、そんな屁理屈はどうでも良いのです。湯量豊富な湯船に浸かると新鮮且つ熱めのお湯がピリッと体を引き締め、それでいて優しく全身を包み込んでくれます。キシキシ引っかかる浴感が肌にしっとりとした潤いを与えてくれ、湯上がりには全身がしっかり温まります。久しぶりに入りましたが、とても心地よいお湯に改めて感動しました。おすすめです。
山田温泉混合泉
ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉 67.1℃ pH7.4 湧出量記載なし(掘削による動力揚湯) 溶存物質4.490g/kg 成分総計4.538g/kg
Na+:1024.0mg(65.17mval%), Ca++:345.2mg(25.21mval%),
Cl-:1854.1mg(80.35mval%), Br-:10.8mg, I-:2.5mg, HS-:1.3mg, SO4--:460.5mg(14.73mval%), HCO3-:177.0mg,
H2SiO3:159.8mg, HBO2:222.9mg, CO2:44.0mg, H2S:0.6mg,
(平成28年9月9日)
長野電鉄・須坂駅より山田温泉行バスで30~40分 終点下車すぐ
長電バスホームページ
長野県上高井郡高山村奥山田3580
026-242-2314
紹介ページ(高山村公式サイト内)
6:00~21:00 第3水曜定休
300円
ロッカー(100円リターン式)・ドライヤーあり、シャンプー類なし
私の好み:★★★