温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

古川温泉 ルートイン古川駅前

2019年12月18日 | 宮城県
ビジネスホテルを選ぶ際に決め手となる要素は人それぞれ好みに依るかと思いますが、このブログをご覧になるような方でしたら「やっぱり温泉大浴場がないとね」と仰る方が多いのではないかと推察いたします。
温泉浴場を擁するチェーン系のホテルといえばドーミーインが有名ですね。私も全国各地でお世話になっており、チェーンならではの安定したサービスゆえに、どこを旅しても安心して利用できます。また徹底的なコストカットで廉価な料金を実現しているスーパーホテルも温泉浴場を付帯するところが多いかと思います。

全国展開しているビジネスホテルチェーンのひとつにルートインがありますね。ルートインといえば全国に300近いホテルを運営しており、その多くに大浴場が併設されていますが、ほとんどは人工温泉の大浴場であるため、残念ながら私のような天然温泉マニアは触手が伸びにくい・・・。でも300のうち25施設では天然温泉が引かれており、当ブログの記事にはしていないものの、私もいままで知床・帯広・諏訪・氷見などでルートインの温泉浴場を利用させていただいております。
さて今回はそんな温泉浴場を擁するルートインの中でも、掛け流しの温泉がある宮城県北部「ルートイン古川駅前」で宿泊することにしました。



みちのくの湯処として有名な鳴子温泉。その玄関口である東北新幹線古川駅前に立地するビジネスホテルです。外観はごく普通であり、全国各地にあるルートインと変わりありません。駐車場ではハイエースやバネット、ボンゴなどの商用車が目立ちます。



看板にも特に温泉を示すような文字はありません。
チェックインを済ませてお部屋へ。客室も至って普通で何の問題もなく、快適に過ごせます。
さて、部屋に備え付けてある浴衣に着替え、部屋のタオルを持って、フロントがある1階へ下ります。



フロントの横に構えているのが温泉大浴場の入口です。右が男で左が女。



いかにもビジネスホテルらしく、浴室入口の手前にはコインランドリーや自販機、アイスベンダー等が設置されていました。ドア横にある読み取り装置にルームキーを差し込むことにより、浴室のドアが開錠されます。
脱衣室もこれまたビジホらしく、至って実用本位な造りなのですが、さほど大きくない為、4人以上同時に利用すると窮屈かもしれません。室内には貴重品用(ルームキー用)ロッカーが用意されています。洗面台2つ、ドライヤーなども備え付けられています。



浴室も典型的なビジネスホテルのお風呂であり、温泉風情はあまり感じられず、旅や仕事で疲れた体の汗や垢を流すという、極めて実用的な目的のために造られたと言わんばかりの佇まいです。でもこのような雰囲気のお風呂を持つ温泉旅館も多いので、ルートインと言わずにこの浴室の画像を見れば、中小規模の温泉旅館と勘違いするかもしれませんね。
浴槽の上には大きな窓が設けられているのですが、目隠しの塀がすぐ目の前に立ちはだかっているため、景色を眺めることはできません(駅前の1階なので当たり前ですね)。窓の外に植えられた緑が、無機質な見た目にやさしいアクセントを加えています。

コンパクトな脱衣室から想像がつくように、お風呂自体もさほど大きくなくこぢんまりしています。尤も、こちらのお風呂は宿泊者以外利用しませんから、あまり大きさは必要ないのかもしれません。男湯浴室の洗い場にはシャワー付きカランが2+3=5基設置されているのですが、女湯は狭くて3基しかないらしく、男女で差をつけてしまうところは少々前時代的と言えるかもしれません(もっとも客層に即しているのでしょうけど)。



浴槽は小文字のbやqを手前に倒したような形状をしており、表面には石板やタイルが貼られていますが、温泉成分の付着により全体的に茶色っぽく染まっています。目測ですが容量はおおよそ6人といったところ。左奥の湯口からしっかりした量の源泉が吐出され、右側の溝へ全量オーバーフローしています。槽内吸引などは行われていません。



夜中に入った時、温度計は45℃を指していました。実際にはここまで高くなかったかと思いますが、それでも一般的なお風呂に比べれば熱い湯加減です。コスト重視のビジネスホテルがわざわざ燃料代を無駄にして湯加減を高温にするはずありませんから、これは高い温度で湧出した源泉のお湯をそのまま供給していると解釈すべきでしょう。
なお翌朝には湯船に水道のホースが突っ込まれ、適温に調整されていました。お客さんから「熱い!」と文句があったのかもしれませんね。



湯口からは絶え間なくお湯が注がれていました。浴槽の容量に対して投入量が多いので、お湯のコンディションは良好。それゆえ湯加減も熱かったのかもしれません。私が利用したのは夜中だったため良くわかりませんが、お湯ほぼ透明ながら若干琥珀色を帯びているように見えました。

湯口のお湯を口に含んでみますと、弱い塩味と金気味、そしてほのかな金気の匂いが感じられました。塩素消毒しているので若干のカルキ臭も確認できましたが、ビジネスホテルの客が相手なので消毒は致し方ないでしょうし、その臭いもさほど気になりません。また消毒以外の加温加水循環ろ過は行われていません。れっきとした放流式(いわゆる掛け流し)の湯使いです。湯中では食塩泉らしいツルスベの滑らかな浴感がちゃんと得られますし、溶存物質量が多い食塩泉なので、体の芯までしっかり温まります。
たまたまこちらへ訪問した時期の私は不眠気味だったのですが、こちらのお風呂に肩まで浸かり、よく温まってからベッドに入ったところ、翌朝までしっかり熟睡することができました。これこそ天然温泉パワーですね。

湯どころ鳴子の玄関口に相応しい良質な温泉を有する利用価値の高いホテルでした。


古川温泉旅人の湯
ナトリウム-塩化物温泉 46.2℃ pH7.8 溶存物質1943.4mg/kg 蒸発残留物1863mg/kg
Na;:646.3mg(93.11mval%), Ca++:28.6mg,
Cl-:912.5mg(85.69mval%), Br-:2.6mg, SO4--:71.3mg, HCO3-:167.0mg(9.12mval%),
H2SiO3:74.6mg, HBO2:17.8mg,
(平成30年4月11日)
加水・加温・循環なし
消毒あり(衛生管理のため塩素系薬剤使用)

宮城県大崎市古川駅前大通1-4-18
0229-22-0095
ホームページ

宿泊客のみ入浴可。夜は深夜2:00まで。朝は5:00から。

私の好み:★★+0.5
コメント (1)
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