(2020年2月訪問)
拙ブログでは久しぶりに東海地方の温泉を取り上げます。しかも今回記事は約10年ぶりの愛知県三河地方です。
H.I.Sやトヨタなどが出資している蒲郡市の複合リゾート施設「ラグーナテンボス」には2つのホテルがあります。一つはH.I.Sが運営するチェーンの「変なホテル」で、もう一つが今回取り上げるラグーナテンボス直営の「ホテルラグーナヒル」です。ちょうど一年前の2020年2月にこの「ホテルラグーナヒル」で一泊お世話になりましたので、その時の記録を書き綴らせていただきます。
表玄関はご覧のようにこぢんまりとしており、質素で控えめな印象を受けるのですが、建物自体は三河湾を臨む岸の上に立地しているため・・・
海からホテルを見ると上画像のようになるんですね。実に素晴らしいロケーションです。
客室はご覧の通り。広くてゆったり。手入れもしっかり行き届いています。新東名をひたすら飛ばしてきた私は、部屋に入ると途端に疲れが出てしまったので、部屋に備え付けのネスカフェバリスタでホッとひと息。
お部屋には海に面したベランダがあり、ヨットハーバー越しに渥美半島まで一望できました。時間を忘れてずっと眺めていられます。
朝食は1階のレストランで、海を眺めながら優雅に美味しくいただきました。
私が宿泊した時にはバッフェ形式で、選り取り見取りの中から好きなものを選べましたが、現在はCOVID-19感染予防のため、定食スタイルが採用されているようです。
さて、ここからが本題。
私がこの「ホテルラグーナヒル」に泊まった理由は二つあります。一つは大きな施設でタラソテラピー(海洋療法)を楽しむこと。都内にもタラソテラピーを謳う施設はあるのですが、みんなテナントビルの中で営業するエステの一種としてのサービスであり、大きなプールを擁するタラソテラピー施設は2020年時点で関東地方に無く(私調べ)、なぜか東海地方に集中して複数営業しているので、宿泊施設を伴っているこのラグーナテンボスまでわざわざやってきたのでした。
そしてもう一つ大きな理由は、ここに泊まらないと入れない温泉があるからです。
といっても、ホテル内に大浴場があるわけではありません。
温泉に入れるのは、各客室内にあるごくごく普通のユニットバス。でもバスタブの上をよく見ると・・・
浴槽上の壁からは独立した水栓が取り付けられています。水栓の上を見ると「ラグーナの湯の源泉がここから出ます」と書かれているではありませんか。そう、今回の目的はこの水栓に他なりません。「ラグーナの湯」とはホテルに隣接している日帰り入浴施設のことで、たしかにそこでは独自源泉の温泉に入れるのですが、しっかり加温加水循環消毒されているため、申し訳ないのですが、あまり温泉マニアの心を揺さぶってくれるものではありません。
しかし、このホテルでは同じ源泉のお湯を引いており、加温・濾過されているものの、この水栓から非加水非循環(※)の温泉をバスタブへ注ぐことができるのです。
(※)非循環といっても一般的なホテルと同様に、給湯系統内では貯湯タンクと配管内で温泉を循環させているはず。ここでの非循環とは、浴槽内で使いまわしていない、という意味です。
ということで、さっそく温泉専用の水栓を全開!
全開したにもかかわらず、吐出圧があまり強くないため、浴槽を満たすまで結構な時間がかかりました。指をくわえながら1時間弱は待ったでしょうか。ホテルなどの中央式給湯設備(貯湯槽でお湯をストックしてお湯を循環させながら各部屋へお湯を供給する方式)では、貯湯槽で60℃以上、末端の給湯水栓で55℃以上を保たねばなりませんから、勢いは弱いながらもかなり熱く、やむを得ず多少加水しながら入浴に十分な嵩までお湯を満たしました。
濾過されているお湯ですが、磯の香りがしっかりと漂い、塩味と苦汁味、石膏味、そしてサルフェート的な微収斂が感じられます。湯中ではキシキシと引っかかる浴感と、食塩泉的なツルスベ感が拮抗しながら、肌にシットリと馴染んでくれます。とにかく強い味が印象的で、お湯の鮮度感もまずまず。ユニットバスなので風情はありませんが、お湯の質としてはなかなか良い方ではないでしょうか。しかもお湯を使いまわさない放流式の湯使いには違いありませんので、湯使いにこだわる方にも満足していただけるでしょう。
この「ラグーナの湯」はおそらくご近所の三谷温泉と同じような泉質と認識して良いかと思いますが、三谷温泉は歴史ある温泉街にもかかわらず、ほぼ全ての旅館でかけ流しのお風呂は無いかと思いますので(間違っていたらごめんなさい)、この客室で入れる温泉は当エリアでは非常に貴重な存在と言えましょう。
ところで、この「ホテルラグーナヒル」ですが、コロナ禍の影響により残念ながら2021年3月末を以て閉館してしまうそうです。ホテルのみならず、付帯しているタラソテラピー施設や日帰り温泉施設も同時に閉館するとのこと。
上述しましたように、三谷温泉エリアでかけ流しに近い状態のお湯に入れるお風呂はおそらくここだけではないかと思われますので、関心ある方は是非お急ぎください。
ラグーナの湯
カルシウム・ナトリウム-塩化物温泉 36.6℃ 溶存物質10.980g/kg 成分総計10.980g/kg
Na+:1702mg(38.33mval%), Ca++:2369mg(61.20mval%),
Cl-:6315mg(94.39mval%), Br-:20.8mg, I-0.5mg, SO4--:471.7mg(5.20mval%),
H2SiO3:25.2mg, HBO2:14.3mg,
(平成24年11月29日)
愛知県蒲郡市海陽町2-8
0570-097-117
ホームページ
私の好み:★★+0.5