温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

山の神温泉 優香苑 なごみの湯

2023年03月23日 | 岩手県

(2022年4月訪問)
花巻から北西へ伸びる岩手県道12号を進んでいくと、志戸平温泉や大沢温泉、鉛温泉など有名な温泉が点在していますが、この沿道に最近新しい施設が開業して人気を博しているという噂を耳にしたので、実際に行ってみることにしました。今回訪ねるのは旅館「山の神温泉 優香苑」に付帯する日帰り入浴専門施設「なごみの湯」。大沢温泉をちょっと越えた辺りの県道沿いというわかりやすい立地で、どうやら3年ほど前に開業したようです。

黒を基調としたシックで落ち着いた現代的和風といったファサード。広い駐車場には多くの車がとまっており、人気の程が伺えます。下足ロッカーに靴を入れて中に入っているスリッパへ履き替え、鍵をかけます。そして受付の券売機で料金を支払い、下足箱の鍵とともに入浴券を受付に差し出すと、引き換えに脱衣室のロッカーキーを手渡してくれました。


館内も落ち着いた佇まいです。今回は利用していませんがレストランを併設しているので、お風呂上がりにゆっくり食事をすることもできるでしょう(ランチ営業のみ)。受付を過ぎ、砂利の中に木が植わっている枯山水のような中庭を眺めながら浴室へ向かいます。
脱衣室は特段広いわけではありませんが、メンテナンスが行き届いており大変綺麗で気持ち良く使えました。また室内には洗面台が4~5面ほどあり、ドライヤーも4台用意されているので、お風呂上がりもストレスなく身支度を整えることができました。

今回の記事で内湯の画像はございません。悪しからずご了承ください。
天井が高い浴室もやはり黒色基調で落ち着いています。ただ照明はダウンライトのみなので、たしかに現代的でおしゃれかもしれませんが、私が訪問した曇天の日中ですら薄暗かったので、夜になると暗すぎてしまうのではないかと余計な心配が頭をよぎりました。
なお床には十和田石が敷かれており、また側壁には黒塗りの木材のように見たる樹脂の壁材が採用されています。

男湯の場合、入って手前の右側にサウナと水風呂があり、左側に立って使うシャワーが設置されています。その両者に挟まれた通路を抜けると、奥の右手に洗い場が、左手に主浴槽が配置されています。洗い場は二手に分かれており、手前側には計8ヶ所、奥には計12か所のシャワー付き混合栓が取り付けられています。なお各シャワーにはボディーソープ等のアメニティが備え付けられています。

内湯の主浴槽は窓の下にあり、十数人は同時に入れそうなゆとりのある造りです(寸法は失念)。ステップがややゴツく、今時の浴槽では珍しく肩までしっかり浸かれる深さがあります。源泉を41~2℃に加温した上でかけ流されており、浴槽のお湯は若干白く靄掛かっているように見えました。なお浴槽のオーバーフローは全量が窓側へ排出するよう造られており、洗い場側は縁が高くなっているのでオーバーフローしません。


露天風呂もなかなか良い雰囲気です。
広い庭の中に岩風呂が設えられており、周りには木が植えられ花が咲き、塀の向こうの田園風景や山々が借景になっています。緑豊かで且つ静かな良い環境です。
岩風呂は30人近く入れそうな広い造りで、浴槽内には切り出した御影石のような石材が敷かれています。内湯と対照的にちょっと浅めで、普通に座ると半身浴になってしまうので、若干寝そべらないと肩まで浸かれません。といはいえ、寝そべるといい感じに山の景色を眺められるので、寧ろ寝そべって入るのが正解なのかもしれません。
惜しむらくは女湯との境に煙突が立っていてそこから時々ボイラーの運転音(キュルキュル・ゴー・ボーといったような音)が聞こえてくることで、この煙突自体も黒く塗られて建物と統一感を図っているのですが、もう少し端っこに建てられなかったものかと残念な感は否めません。でも(繰り返しになりますが)岩や植木の配置が良く、花々や広いスペースなど、総じて良い環境なので、のんびりゆっくり湯浴みをしながら寛ぐことができました。

最後にお湯に関するインプレッションを。
お湯は無色透明なのですが、上述のように訪問時の内湯はやや白く靄掛かっていました。お湯のコンディションによって笹濁りを呈することもあるのでしょう。湯口から出るお湯からはゆで卵の卵黄のような風味が感じられます。0.5mg含まれる硫化水素イオンがその存在を主張しているのですね。
湯船に入るとではしっかりヌルヌルとした浴感が得られるのですが、これはアルカリ性であることの他、分析表によれば炭酸イオンが29.5mgとかなり多いので、これも滑らかな浴感をもたらす一因かと思われます。湯使いは加温した上でのかけ流しで、内湯は41~2℃という万人受けする湯加減である一方、露天は長湯仕様のぬる湯(約40℃)でした。個人的には景色をじっくり眺め慣れる上に時間を忘れて入っていられる湯加減の露天が大変気に入りました。

開業早々に人気を博しているため、私が訪問した時も混んでいましたが、とはいえ人混みを気にするような程ではなかったので、のんびり寛ぐことができました。今度は旅館にも宿泊してみたいものです。


松の湯
アルカリ性単純温泉 39.7℃ pH9.3 溶存物質0.6585g/kg 成分総計0.6586g/kg
Na+:204.4mg(98.89mval%),
Cl-:61.2mg(19.93mval%), HS-:0.5mg, SO4--:210.0mg(50.35mval%), HCO3-:71.5mg(13.48mval%), CO3--:29.5mg,
H2SiO3:58.1mg,
(平成27年12月1日)
加水循環無し
加温あり(源泉温度は低いため常時加温)
清掃時に塩素系洗剤を使用。

岩手県花巻市下シ沢字53番地1
0198-29-4126
ホームページ

10:00~20:00 
800円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★

コメント (2)
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