温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

高雄市桃源区 復興温泉 その1(現地まで)

2020年06月13日 | 台湾
COVID-19の影響で、しばらくは海外旅行へ行けそうにありません。おそらく拙ブログをご覧くださっている方の多くは旅が大好きでいらっしゃるかと思いますので、海外はもちろん、国内旅行ですら出かけ難い昨今の状況に、心が折れかかっているのではないでしょうか。かく言う私もそんな人間の一人。旅に行けるからこそ仕事を頑張れるのに、自分を奮起させる燃料が無ければ、毎日の生活がモノトーンで単調なものになってしまいます。
そこで拙ブログでは、世界的なパンデミックが発生する直前の今年2月に出かけた台湾の野湯を取り上げ、画面だけでも台湾旅行の気分を味わっていただければと思っております。


私が今年2月に向かった台湾の温泉は、南部の高雄市にある復興温泉(復興野溪溫泉)です。高雄市といっても都市部ではなく、高雄の中心部から100km以上、車で2時間以上も離れた山奥に湧く野湯です。以前拙ブログでは同市の宝莱温泉を取り上げたことがありますが、そこから更に南横公路(台20号)を奥へ進んだ秘境に位置しています。
一般的に野湯といえばアクセスが難しく、険しい道のりを進まなければなりませんが、この復興温泉については、途中までは車で、そこから先は頑張って歩けば比較的容易に辿りつけることから、近年台湾のアウトドア愛好家を中心として、老若男女を問わずいろんな層から人気を集めている注目の野湯なのです。


宝莱温泉から南横公路(台20号)を北上し、復興と称する小さな集落を抜けた先に上画像のような小さな分岐があります。特に看板など立っていないので、この景色を頭に叩き込んでおく他ないのですが、強いて言えば102.5キロポストの小さな標識の先です(これですら見逃す可能性がありますけどね…)。
この分岐から右側の小さな路地へと入っていきます。


山間に切り拓かれた畑の間を貫く一本の道。
車1台しか通れない狭隘な道ですが、コンクリ舗装されています。


畑が終わり、川に近づいて崖のような場所に近づくと、路面状況が俄然悪くなります。普通車でも走行できるかと思いますが、車高の高いSUVだと安心です。車の底を擦らないよう注意しながら川岸へ下る坂をゆっくり進み・・・


砂煙をあげながらコブを乗り越え、川に沿って道なりに進むと・・・




砂防ダムの手前に広がる礫の河原に駐車場が設けられていますので、そこで車をとめます。一応ダートの道は先にも続いているのですが、普通車では行けそうにない道ですから、ここから先は歩きましょう。
私はここで身支度を整えました。身支度と言っても、大したものではなく、小さなバックパックに水と軽食、水着、着替えポンチョなどを詰め込み、足元をアクアシューズに履き替えただけ。後述するように大して険しい道ではないので、重装備の必要性は全くありません。服装だって、上はTシャツと薄い長袖、下はトレッキング用のズボンという軽装でした(短パンでも良かったくらいです)。先に人工物や施設、水場などは全く無いのですが、最低限水分とおやつ程度の食料さえ確保しておけば大丈夫です。
ちなみに画像の最も手前に写っている青いSUVは、今回私が借りたレンタカーです。この車については、後日改めて記事にするつもりです。


駐車場の前に聳える砂防ダムの大きな袖を急な坂道で乗り越えたら、ゴールの野湯に向かって川沿い砂利道をひたすら前進。道しるべなどはありませんが、工事用車両の轍がはっきり残っていますから、ここを辿れば迷うことはありません。


途中何度か渡渉します。今回訪れる復興温泉は冬の渇水期にアタックするのがベスト。渇水期ならば渡渉箇所は大抵くるぶしが浸かる深さしかなく、深くてもひざ下程度なので、危ない思いをすることもありません。先ほど述べたように、私は駐車場でアクアシューズ(マリンシューズ)に履き替えていますから、ズボンの裾をたくし上げてから、靴ごと川へジャブジャブ入っていとも簡単に渡渉をクリアしてしまいました。


こんな砂防ダムの脇を上がったり・・・


小鳥のさえずりを聞きながら平坦な路を軽快に歩いたり。
とにかく道に迷う心配が無く、また、よじ登ったり、転落しそうな崖を歩いたりすることもないので、気楽に歩けるのですが・・・


延々と続く礫の道に、やがて飽きてきます。歩けども歩けどもゴールらしき温泉の姿はちっとも見えてきません。


歩き始めて30分ほど経った頃でしょうか。
この渡渉ポイントを越えた先で・・・


道の右の路傍にやけにゴツい岩が並び、道自体が川から離れて登り勾配になる箇所があります。
先程から道に迷う心配がないと繰り返し申しておりましたが、唯一間違いやすいので注意を要するところがこの地点です。
ここで道なりに坂を上がってしまうと・・・


川から離れて山を登り、温泉とは関係のない別の貯水湖へ行ってしまいます。とにかく今回のルートはひたすら川沿いに遡ることであり、川を高巻いたり迂回するような箇所はありませんので、歩いている途中で妙に坂が続くな、と感じたら既に、道を誤っている可能性が大です。
実は私もそのことを知らず、初めは間違えて坂をぐんぐん登ってしまいました。もっとも、温泉を楽しんだアウトドア愛好家の方は、その貯水湖へ寄り道して水浴びも楽しまれているようですが、私はそんな余裕が無かったので、道が川と離れるところまで一旦戻ることにしました。


ではどのように進むのが正しいのか。先ほど申し上げた、道が川から離れて山へ上がってゆく箇所から道を離れ、石だらけに河原へ入ってゆくのが正解なのです。つまりここから先は道なき道を遡ります。わかりやすい轍はありません。歩きやすい場所を選んで、ひたすら河原を遡るだけ。


道が無いので不安になりますが、先行者が石を積み重ねて道しるべを作ってくれていますので、これを見つけると安心します。日本も台湾も、仏教圏で暮らしている人間は、大量の石ころを目にすると、賽の河原の石積みのようなことを条件反射的にやってしまうのでしょうか。


自分で歩きやすいところを見つけてひたすら遡れば良いのですが、しかしながら、温泉まで行くルートの傾向として、できるだけ上流に向かって左側(右岸)の河原の、崖下に近い場所を選んで進んでゆくと、随所に踏み跡や獣道があって歩きやすいようです。


川の流れの近くを歩けば最短かつ確実に辿りつけるのではないかと、無闇矢鱈に流れに沿って歩こうとすると、大きな岩をよじ登ったり、浮石に足元をすくわれたりして、無駄に体力を消費するばかりか、時間も余計にかかってしまいます。私もそんな余計な苦労をしてしまった一人なのです。


駐車場から歩き始めて約1時間半。
川が上流に向かって大きく右に湾曲し、河原の幅も徐々に狭くなり川面に向かって収斂しはじめる辺りで・・・


設営したテントの中でランチの用意をしている若者のグループに遭遇。
そのテントの先に・・・


今回の目的地である復興温泉の湯溜まりがあったのでした。
ついに到着です!

さて、ここではどんなお湯に入れるのでしょうか。
次回に続く




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