温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

大船渡温泉 後編(浴場)

2018年08月08日 | 岩手県
前回記事の続編です。
魅力たっぷりのお部屋とお食事に満足した後は、お風呂へとまいりましょう。


お宿ご自慢の大浴場は、1階の展望ホールの左右に配置されており、海に向かって左に男湯、右に女湯の暖簾がさがっていました。両浴場とも夜通し利用できますので、誰もいない真夜中にのんびり入るのも良いでしょう。


 
綺麗で明るい脱衣室を抜け、大きくて開放的な浴室へ。画像は深夜に撮ったため暗いのですが、大きな窓からは海を望めますし、日中は窓から陽光と海のきらめきがたっぷり降り込んでくるおかげで大変明るく、伸び伸びした環境で湯浴みが楽しめます。



日帰り入浴を積極的に受け入れているためか、洗い場が広く確保されており、私が数えたところ計20基のシャワー付きカランが設けられていました。公衆浴場並みの数ですね。日帰り入浴ですと430円で利用できるお風呂なのに、アメニティ類が用意されている点は実にありがたいです。


 

海に面した窓の下に設けられた主浴槽は(目測で)6m×3.5mという大きなもの。源泉温度が19℃しかないため、湯口より注がれているお湯は熱めに加温されていますが、その熱源に化石燃料ではなく木材ペレットを用いているんだそうです。環境配慮型の施設で湯浴みすると、体のみならず心もホッとできますね。なお湯使いは加水なし且つ加温循環消毒ありです。


 

室内には上画像のような小浴槽もありました。傍には「水風呂」と書かれていましたが、実際には主浴槽のお湯より数かに黄色くてぬるいお湯が張られていました。しかも薬というより、いかにも鉱泉っぽい知覚的特徴が得られました。何かの薬草か入浴剤でも溶かしていたのかしら。


 

海を臨む高台に設けられた露天風呂。5~6人サイズの岩風呂です。三陸らしい入り組んだ海岸線や湾を一望できる素晴らしいロケーションに、思わず感嘆の声が漏れてしまいました。目の前の海原と比べてこの浴槽はいかんせん小さいのですが、加温せざるを得ないお湯ですから、加熱設備の関係上、5~6人というキャパシティは致し方ないところなのでしょう。小さな浴槽ほどではありませんが、ここのお湯も僅かに黄色く、微かに濁っているように見えました。なお(画像にはありませんが)前回記事で取り上げたように、この建物は東に向かっていますから、この露天風呂でも入浴しながら日の出を拝むことができますよ。

さて肝心のお湯についてですが、先述のように19℃の鉱泉を木材ペレットで加温して供給しています。このため循環や消毒はやむを得ません(お湯からはカルキ臭がしっかり放たれています)。お湯はしょっぱく、やや苦味もあり、湯船の中ではツルスベとギシギシが混在する、いかにもナトリウム・カルシウム-塩化物泉らしい浴感が得られました。

三陸は高温泉と御縁のない地域ですから、お湯の質にこだわるマニアの方には関心が及びにくいかもしれませんが、地域の観光や出張などでは実に有用でコストパフォーマンスの高い宿ではないかと思います。今回の旅行で同行した親類たちも異口同音に満足したと申しておりました。おすすめです。


ナトリウム・カルシウム-塩化物泉 19.1℃ pH8.8 49.1L/min(動力揚湯) 溶存物質2258.9mg/kg 成分総計2258mg/kg
Na+:492.3mg(55.76mval%), Ca++:329.4mg(42.83mval%),
Cl-:1310mg(95.23mval%), SO4--:40.3mg, HCO3-:40.9mg, CO3--:9.9mg,
H2SiO3:20.3mg,
(平成21年3月16日)
加水なし、
加温あり(源泉が低温のため)、循環あり(衛生管理のため、かけ流しと循環ろ過装置を併用)、消毒あり(衛生管理のため)

岩手県大船渡市大船渡町字丸森29番1
0192-26-1717
ホームページ

日帰り入浴11:00~18:00
430円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
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大船渡温泉 前編(客室・食事)

2018年08月04日 | 岩手県

前回記事に引き続き、私が親類と東北旅行をした際に宿泊したお宿をご紹介します。
前回記事で取り上げた中山平温泉を出発した我々は、一族のルーツを辿って宮城県栗駒の地を訪問。ご先祖様のお墓で香華を手向けた後、中尊寺などを観光し、それから一気に岩手県の内陸部を突き抜けて三陸海岸の大船渡温泉へ宿泊しました。
大船渡温泉は震災後にオープンした復興のシンボル的な存在であり、海岸の見晴らしが良い場所に大きく立派な建物がデンと屹立しています。このお宿は別の場所で民宿を開業していたオーナーさんが一念発起して建てたもの。立地の良さ、新しくて綺麗な点、眺望の良さ、食事の良さ、大きなお風呂、そしてリーズナブルな料金など、様々な点で評価が高い人気のお宿です。


 
海に向かって大変見通しが良く、広々として開放的なロビー。非日常的な空間に心が躍ります。


 
ロビーの展望からの眺めはお宿のご自慢。陽光を受けながら、爽快な空と海を一望できます。



ラグジュアリ感を醸し出しつつ、庶民的な設備をちゃんと用意しているのがありがたいところ。ロビーの横には大量のドラム式コインランドリーが用意されていました。復興などに携わっている工事関係者の利用を見込んでいるのでしょう。



こちらは客室。オーシャンビューの客室の他、リーズナブルな山側のお部屋があるのですが、今回は長めの良い海側のお部屋を予約しました。綺麗で且つ余計な設備を省いた、合理的で使いやすいお部屋です。なお布団はセルフで敷きます。


 
オーシャンビューの客室からは、ご覧のような展望が楽しめます。三陸らしい複雑に入り組んだ海岸線が大きく切れ込むように大船渡の街に向かって入り込んでいるのですが、その湾の入り口を臨む高台にお宿が立地しています。客室からは湾の様子のみならず、湾口の彼方に広がる外洋まで眺望でき、私は実際に洋上を行き来する大型船舶を何艘も見ました。時間を忘れていつまでも眺めていられる素敵な景色です。


 
三陸海岸に位置していますから、オーシャンビューの客室は全て東に向かっています。つまり朝になればご来光が拝めるわけですね。
フロントには日の出の時間が掲示されていますので、前夜にそれをチェックし、或る者は翌朝頑張って起床し眠い目を擦りながら窓の前に直立。或る者は布団に寝そべりながら、そして或る者は意気揚々と早起きして次回記事で取り上げる露天風呂に向かい、それぞれが海に向かって日の出を待ちます。
そして・・・いざ日の出の時間。日頃の行いが良かったのか、雲一つない快晴。日の出時間の前から既に明るく、すぐにでも太陽が上がってきそうな雰囲気です。上述のように客室からは湾口が望めるため、我々はてっきり湾口から上がってくるものだとばかり信じ込んでいたのですが、空が朱色に染まり始めたのは豈に図らんや左側の半島の稜線上。湾口に向けてカメラを構えていた親類は慌ててセッティングし直し、辛うじて太陽が姿を見せた瞬間をとらえることができました。
部屋から洋上にあがる日の出が拝めるだなんて、本当に素晴らしいですね。


 
三陸の海の幸に恵まれた大船渡ですから、お食事は魚介のお祭り状態。
夕食・朝食ともに1階のバンケットルームでいただくのですが、どのテーブルからも食事が給仕されると同時にお客さんの歓声があがっていました。それもそのはず、ご覧のように夕食のテーブル上には溢れんばかりの料理が並べられるのですが・・・


 
驚くべきはこの巨大な鮪のカマ。歓声の理由はこれだったのでした。夕食付で宿泊すると、料理のプランを問わず必ずこのカマが提供されます。スタッフの方が取り分けてくれるのですが、画像に写っているスタッフの方との比較でもおわかりのように、あまりの大迫力に圧倒されてしまいます。しかもただデカイだけじゃない。めちゃくちゃ美味い! ご飯が進む! 大きすぎて完食できないのが残念ですが(持ち帰りや翌朝へ持ち越すことも不可)、ビジュアル的にも味覚としても圧巻のこのカマと対峙するだけでも満足。自慢話やお土産話にもなりますね。


 
一方、こちらは朝食。バッフェスタイルですが、やはり魚介を中心に地場の食材なども多く、品数が多くて迷ってしまいます。「元をとってやろう」なんて吝嗇な性格をむき出しにしてしまう私は、食べ過ぎてお腹が張り裂けんばかりになり、苦しくてしばらく動けなくなってしまいました(笑)。


さて次回記事ではお風呂に関して取り上げます。

次回に続く
コメント
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