パパと呼ばないで

再婚した時、パパと呼ばないでくれと懇願した夫(←おとうさんと呼んで欲しい)を、娘(27)「おやじ」と呼ぶ。良かったのか?

映画『こちらあみ子』

2022年06月17日 | 本・マンガ・テレビ・映画
6月17日(金)曇り


オンライン試写会にて鑑賞。
原作は芥川賞作家今村夏子さんのデビュー作らしい。未読。今、図書館に予約を入れた。
映画が良かったから?
いいえ。
映画として、フィクションとして、エンタメとしての目で見ると鑑賞後のスッキリ感もないし感動的でもないしただただ辛いだけという感想。
簡単にあらすじを言うと・・・
  あみ子は少し風変わりな小学生。
  優しい父、共に登下校してくれる兄、書道師範で妊娠中の母、憧れの同級生のり君に見守られて生きている。
  ある日、あみ子は誕生日に貰った電池切れのトランシーバーに話しかける。
  そんな彼女の行動は周囲を次第に変えていく。   〜映画ナタリーより〜

いや、そんな簡単な話じゃない。
「風変わり」と言う言葉で表現するにはやはりあみ子は変わり過ぎている。
まっすぐ過ぎるし、一途過ぎるし、強過ぎるし、頑な過ぎるし。
あみ子は今でいう発達障害だとおもわれる。
字を認識できないようだし、人の気持ちを慮れない。
この、「人の気持ちがわかるかわからないか」というのが本当に肝心というか、生きやすいか生きづらいかに関わってくる。
全てをあみ子のせいにするわけではない。
弱い両親、逃げたお兄ちゃん、イジメる同級生たち、あみ子に手を焼く先生。
でも、どうしたら良かったのか。
あみ子の育て方に苦慮していた上に流産のショックが加わり精神を病んでいく母親。
優しいけど、強さに欠ける父親。
仲良しだったお兄ちゃんは不良になって家に寄り付かなくなり・・・
ずっとずっとあみ子が好きなのり君は、親から「あみ子ちゃんは可哀相な子だから優しくしてあげなさい」と言われている。
でも、彼は本当は迷惑だし、困ってるし、とうとう最後それが爆発してしまう。
連鎖が悪い方へ悪い方へと進んでいく。
結局、母親は入院し、離婚した父親はあみ子を自分の実家に預けにいく。
ここがまさに秘境というかポツンと一軒家。
ここに父親とおばあちゃんとあみ子の3人で暮らすのかと思いきや父親は去っていく。
いやいやいや、今度はおばあちゃんが困るやろ!
自分の妻も守れなかった男は、今度自分の母親に押し付けやがった。
こんな山奥だったらもう学校にも通わせない気か。
最後のシーンは、明け方家を抜け出したあみ子が海にジャブジャブ入っていく。
怖い。嫌な予感。
あみ子の目には海の上に小舟が何艘も浮かんでおり、時々見る妄想の幽霊達が手招きする。
このままあみ子は死んでしまうのか。
どこかのおじさんが「まだ水は冷たいじゃろ」と声をかける。
ここでエンディング。
う〜〜〜。
わからん。
映画だからわからんのか?と思い、原作を読もうと図書館に予約を入れた次第。

救われない話だが、二人だけ、いい人が登場する。
小学校からずっと一緒の男の子。
はだしのあみ子(←靴は隠されたのだろう)を見て、足踏まれたら痛いぞと言いつつ「なんか自由だな」みたいなこと言ってみたり、
転校が決まった時も励ましたり。
ああ、良い子や。
いや、ただの良い子じゃない、小さい頃はそれなりにあみ子をイジメたりバカにしてたりしていたのだが、心根が良い子だから「のり君」みたいに押し付けられて仕方なく優しくするのではないので、見ていてほっこりする。
あみ子も「のり君」じゃなくて、こういう子と仲良くしたらいいのよと思っては、いや、またそうなると違ってくるのかと思い直したり。
のり君もずっとずっといい子だったのだ。でもあみ子が強すぎて重すぎたのだ。
保健室のぶっきらぼうな先生も良かった。
こういう達観した大人の存在はあみ子にとって必要なのだろうが、それは本当に難しいことで、
実際自分の娘があみ子だったら、キーーーっとなって矯正しようとするだろう。
そうだ、だから、他人の関与が必要なのか。
だから、あの父親の選択は間違っているのではないか。
あのままじゃおばあちゃんが病む。
延々とトランプをさせられるんじゃないか心配だ。

と、なんだかんだのめり込んでものすごく考えさせられているのは、ひとえにこのあみ子役の大沢一菜ちゃんの演技が素晴らしかったからだ。
演技未経験らしいが、オーディションで大抜擢。
この子の目がねえ、「あみ子」の目だった。

ぢつはここんとこ、岸田奈美さんのツイートや、このブログに来てくれるMさんのコメントなどを見て、障害を持った人と自分の接し方を深く深く考えさせられていたところ。
この事についてじっくり書きたいと思いながら、むつかしすぎて書き始められずにいた。
そこへこの試写会当選。
「考えろ〜もっともっと考えろ〜」と言われている気分だ。
もう少し考えて少しでも考えがまとまったら書きます!
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4 コメント

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Unknown (puffpuff)
2022-06-17 17:33:47
映画を見てふう〜んで終わらないところがnさんの魅力。そしていろんな気づきを与えてくれて笑わせてくれるnさんはやっぱり可愛い。
返信する
puffpuffさんへ (n)
2022-06-17 23:16:22
「ふう〜ん」で終わればまだ良かったのですが、それを通り越して、何というか気持ちがざわざわするというか、そんな映画だったのですよ。
ちょっと原作を読んで、も少し考えてみます。
返信する
Unknown (M)
2022-06-23 10:36:56
nさんへ

いつも、思いを馳せてくださいまして、ありがとうございます。

事実は、小説より奇なりも…ふと思い知らされます。

色々と駆け巡ります。

次男の成人式では、小学校時代の普通学級のみんなが、次男の周りに集まり、沢山の写真を撮ってくれました。
ピュアなんだと思います。
あの頃、障害がなんたるかもわからず、仲良くしてくれてたなぁと思い出します。


中学時代のあんなに仲良くしてた同級生は、すっかり態度は急変していました。
それは、障害を持つ子も、普通学級での交流の子たちも…。
ちょっと、逃げるような態度でした。

一枚だけ、当時の好きだった振袖姿の女の子と、写真を撮って貰いました。
直ぐにその場を立ち去り、イケイケの男の子に何か囁いていました。
次男本人、大満足で、今でもやっと買ったスマホの待ち受けです。😢

多感な時期に、共に成長したのは、お互いに、高校受験前の気まぐれだったのか…😅

色々なことを思い出されます。


障害も千差万別。
家族も十人十色。
周りの人々にも、色々な考えの方がいらっしゃる。

そして、とれも、正解はなし。
いや、どれも正解なのかも。


私たち家族に出来るのは…

今を精一杯生きること。

そして、小さな【幸せ】を見つけて生きていくこと…これに尽きます。

こけても、ただでは起きない。
草を握って、小石を拾って立ち上がります。


nさんの、思いを寄せてくださいますお姿に、心から感謝申し上げます。

また、何かを拾おう!と心を新たに頑張ります。
返信する
Mさんへ (n)
2022-06-24 08:56:54
ああ、ホントに事実は小説よりも・・・
次男君と写真撮った後、直ぐにその場を立ち去り、イケイケの男の子に何か囁いていた振袖の女の子よ、あの後、草履の鼻緒のところの指の間が痛くなってますように。(・・・ささやかないぢわる)
なんて思うのはゲスですね。
>次男本人、大満足で、今でもやっと買ったスマホの待ち受けです
次男君が嬉しかったんだからいいのよね。
すまん次男君、君の想い人にいぢわる言っちゃいかんね。撤回です!神様。
返信する

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