
今年に入って私のところにレッスンに来る生徒さんが少し増えたので、
そのことなどについて
連載してみたいと思います…
先日、TakのKUMONの先生と面談をした折、Takは、宿題をやってこない、または一部しかやってこないことがたまにある。
でも、教室では、集中してやっているので、宿題をやることはもちろん望ましいけれど、家庭で宿題やれ!と、ガミガミ言わなくていいと言われました。
宿題をやろうという気持ちを起こすのは、自分自身だし、それを促すのは、教師の務めというわけです。
私は先生のそのお話に、大いに頷きました。
音楽講師も、「練習をしてくる」ことにまで責任を持つべきだと、私は常々思っています。
私は、自分のところに来てくれた生徒さんに対して「安心してお任せください」といいます。
これが、音楽を指導するプロ。と、思っています。
どんな生徒さんに対しても、自分のところに来てくれたからには、「テクニックを磨く」「音楽の楽しさを味わう」さらには、「音楽のある生活を定着させる」ところまで、ずっと責任持ちます。
ただ、私は、ピアノは専門ではないので、「音大ピアノ科受験」には対応できません…
という方針を明示して、私がどんなことを目指しているかを理解していただいた上で、納得していただけたら、レッスンを始める。
塾の先生も、きっと同じだと思う。
「あなたが宿題をやってこないから、いつまでたってもレベルが上がらないのよ」
とは、ほんとのプロの先生は言わないと思う。
生徒を「宿題をやらなくては」という気持ちにさせるところまで全部、責任を持つのが塾の先生だと思う。
私もね、そういう覚悟でやってます。
ピアノの先生の中には、「家で練習する」ということを、本人に丸投げしている、さらには、親に大きな協力や負担を求める先生もいらっしゃいます。
子供の頃から音大受験を目指すことを親が望んでいる場合は、それもあり得ると思う。
周囲で一丸となって、本人の練習をフォローすることも、間違ったことではないと思います。
ただこの場合、本人が、精神的な壁、または、受験や他の習い事との兼ね合いなどの物理的な壁にぶつかったとき、脱落せず、それを乗り越えていくことも、本人と話し合い、周囲一丸とならなくてはいけないと思う。

一昨年のこと。
ヤマハに通っているとしちゃん(仮名)のお母さまから、
「ヤマハの宿題が、私が忙しくて教えきれず、全く手がまわらないので、お任せするので、宿題を教えてやってほしい」
…と言われて、レッスンをお引き受けしたことがあります。
まっ、いってみれば「下請け」!? …そんなん、初めての経験だったのですが、
1週間ぶんの宿題を、1日のレッスンでなんとかしてほしいという訳です。
この程度のレベルの1週間の宿題ならお安い御用。
当時、としちゃんは、ほんとに殆どヤマハの宿題を自力でやる気がなく、私のところに来て宿題を見てもらえるとなると、頼り切って、レッスンの前に、Takと一緒におやつのパンを食べるのが楽しみだったりしてたっけ。
そして、その後彼は、スポ少で野球をやることになり、KUMON、スイミング、野球、ヤマハ…と、いろんな活動の中から、ご両親との話し合いの中、まずは私のところに宿題のレッスンに来ることを切り捨てたのでした。
残念だったけど、同じ歳の子供を持つ親として、この状況ではほんとにしょうがないと思いました。
「またいつか、音楽がやりたいと思ったらいつでも来てね、、、」
ところがとしちゃんは、それから1年経って、復活したのです。
しかも、こんどは、「この曲が弾きたい!」といって、モーツァルトの「トルコ行進曲」をひっさげてきたのです。
もちろん喜んでレッスン再開しました。
こんなに早く「復活」するとは、やっぱりとしちゃんは、ほんとは音楽が大好きなのだ。
としちゃんは、ヤマハの宿題にあっぷあっぷしていた頃と全然違っていました。
「これが弾きたい」というのは、ものすごく強力な「ベクトル」なのです。
とっても頼もしい、、、(*^_^*)
でも、さすがに「トルコ行進曲」は難しい、、、
「でも、絶対弾ける。でも、10ヵ月はかかるな。目標10ヵ月。その間に、じっくり、ゆっくり、丁寧に積み重ねていけば、絶対だいじょうぶ。きちんと完成させようね!!」
としちゃんは、相変わらず野球もスイミングもKUMONもやっていて、優等生です。
しかしどうやってピアノを弾く時間をつくるんだい!?
殆ど無理!
でも、1日30分、いや、30分もキツイな、10分でいい。
10分、何を練習すればいいのか。
これが重大なポイントなのです。
普通にピアノを習っている子供のように、「ハノン」や「ツェルニー」などの指をほぐしたり、テクニック系の本はやりません。
レッスンでも「1曲入魂」。
それでも、としちゃんは、私の計画どおり、夏休みまでの課題をクリアしました。
本当にものすごい膨大な時間がかかりました。
さらにこの夏休みは、ラスト~エンディングの、難関に挑戦です。
としちゃんは、ヤル気満々で、練習したいけど時間がない、でもしたい!
…ってな状態で、ず~~~っとここまで来たのです。
1曲の、しかも同じところをいったりきたり…を何ヶ月もかけて、ほんとによくここまで頑張ったと思います。
(とはいっても、ホントの難関はこれからだけどね)
ふつ~、1曲10カ月もやったら子供なら飽きる、ダレる、でも、としちゃんならできる、乗り越えられる。
としちゃんは、頭いいし、この練習がどうして大事か…もわかるし、先生の言うとおりやってみると、「なるほどぉ~!そうだ」っていうのも、感覚でわかるのです。
ただ、ほんとに練習する時間がない、、、
そして、やっと最後の関門を「練習できる」というお許し?を彼は貰ったのです(*^_^*)
としちゃんのお母さまから、「嬉しそうに練習している」というお話を聞きました。
実は、お母さまも今年からレッスンに通い始めたのです。
フルタイム勤務で、ものすごくお忙しい方なのに、ホントに恐れ入ります。
音楽講師って、そういうところを見極めて、本人の「ベクトル」をずっと保っていけるよう、後押しして、限られた練習時間や、環境の中で、最大限の効果を本人が実感できて、さらに次へのベクトルを提示できるようにしていく…それが、私にとって、本当に楽しく嬉しく、「生き甲斐」ともいえるかも。
としちゃん、完成まで頑張ろうね!!♪
つづく…
明日以降も、それぞれの生徒さんとの音楽的かかわりについて、語りたいと思います。
もちろん個人情報、守秘義務は守りますので、お読みくださっている当事者の門下生?のみなさんは、どうぞご安心くださいね~~(*^_^*)