紅蓮(ぐれん)のポケット

子どもの本の作家・三輪裕子のふつうの毎日
2015年夏。三宅島で農業を始め、東京と行ったり、来たりの生活になる

パリ・ドイツの旅・26

2008-09-09 18:08:06 | 5・旅の日記
■ ガルミッシュ・パルテンキルヘンを去る

ガルミッシュを去る日がやってきた。
この後、フランクフルトに行って、1泊したら、翌日には日本に帰ることになっている。
もう旅は終わりだなあ。と感傷的な気持ちになる。

旅の間の数々の失敗から、列車はぴったりのではなく、1本前のに乗ることにした。
ガルミッシュから、1時間でミュンヘン。そこからフランクフルトまではTGVの席を予約していた。
つまり、そのTGVに乗り遅れさえしなければ、無事にフランクフルトには行けるのである。

ちょっと早すぎるくらいにガルミッシュの駅に到着。
ドイツアルプスが、青い空にくっきりとはえている。




それにしても、駅のホームには、こんなにたくさん自転車に乗っている人がいる。




そして、こんな移動させるものがあるので、階段もらくらくなのである。




だいぶおくれて列車が来た時、やっぱり1台早いのにしてよかったと思った。ぴったりのにしていたら、次の乗り継ぎで間に合わないこともありそうだった。




列車から外の景色を撮る。フランクフルトは大きな街だから、もうこのような風景をみることはないだろう。








そして、ミュンヘンの駅に着いた。
日本でプリントしてきた時刻表を見ると、この駅で、乗り換えるのに、10分歩くことになっている。
全部の荷物をころがしながら、10分歩いて、フランクフルト駅行きのホームに着いた。


その時だ。カメラがない! 私のデイパックのひもにつけていたカメラがなくなっていた。
真っ青になるとは、こういう時だね。

トントンに「カメラがない!」というと、荷物を放って、駆けだした。10分歩いた道々落としたのか、列車で落としたかどちらかだ。
この10年ほど、こんなに全速力で駆けたことはない、というほど、駆けて駆けて、ミュンヘンの駅を駆け抜けた。

カメラはないまま、さっきおりたホームにたどり着いた。

そこにいた女の車掌さんに、
「列車の中でカメラを落としました。」と、とにかくあわてていたので、日本語でいったと思うけど、こういう時は通じるのである。

車掌さんは、
「もう掃除は終わったけど、そんな物は落ちてなかった。」
とドイツ語でいったけど、これも通じるのである。

いや絶対にあるといっても、首を振っているだけであった。

その時、ベンチに座っていたおじいさんが、
「列車のドアは手であくんだから、見に行ってみればいいよ。」
と、これまたドイツ語でいったけど、ドアをあける振りをしてくれたので、ちゃんと通じたのである。

長い列車のどこを見に行くか? 
ガルミッシュで乗る時に、私たちの前に一等車がきた。「私たちのチケットは2等だから、1等の方にいっちゃだめよ。」
とトントンにいったので、場所はわかっていた。1等の隣の車両なのである。

そして、ドアを力いっぱい開けて、誰も乗っていない列車の中に入って、さっき座っていた座席にいってみたら、座席の下の隅に、ちゃんと落ちていたのであった。あ~よかった。ほんとうによかった。

カメラは、私にとって一番大事な物だ。カメラというより、写したメディアだけど。旅の間中、ほとんどメモもとっていないので、この写真だけが、旅の記録なのである。

そして、カメラを取りにいったのはこの列車。カメラを見つけた後で写した。




おじいさんに「ダンケシェーン」といって、握手をした後、また急いでトントンの所にもどったのだった。


◆パリ・ドイツの旅=10111213141516.171819202122232425・26・272829