経済なんでも研究会

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浮き上がれない 中国経済 (下)

2024-01-12 07:28:44 | 中国
◇ 長期停滞の危険性も = 中国政府も、景気対策を打ち出している。10月に開いた全国人民代表大会では、国債1兆元(約20.5兆円)の追加発行を承認。また12月中旬に開いた中央経済工作会議では「積極的な財政政策と柔軟な金融政策」の実施を確認した。しかし、その効果はまだ現われていない。対策の規模が不十分という批判も出ているが、すでに財政赤字のGDP比は3.8%に達しており、共産党が認める限度3%を大きく超えている。

これまで中国の景気対策は、中央政府の指示により主として地方政府がインフラ投資という形で実施してきた。ところが不動産不況で土地の使用権が売れず、財源がない。IMF(国際通貨基金)の発表によると、地方政府の‟隠れ債務”は71兆元(約1400兆円)に達しているという。要するに中央政府も地方政府も財政難で、かつてのように大規模な景気対策が打てなくなっている。

恒大産業などいくつもの大手ゼネコンが経営不振に陥り、建設素材メーカーや家具などの周辺メーカーにも不況の波が及んでいる。さらに住宅価格の低落で、消費者が財布のひもを締め始めた。しかし中央政府も地方政府も、十分な対策を打ち出せない。その結果、最近では失業者の増大が目立ってきた。特に若年層の失業率は20%を超え、政府はその発表を停止してしまったほどである。

そのうえ人口の減少という、構造的な問題も進み始めた。22年の出生数は960万人だったが、23年は900万人を割り込んだ模様。政府は定年延長を考えているが、労働力の不足は避けられそうにない。さらにウクライナ戦争を巡って、欧米諸国の制裁措置も続く。こうしたことから、専門家の間では「中国経済が正常化するには時間がかかる」「場合によっては、長期的な停滞状態に入るかもしれない」という予測さえ現われている。

        ≪11日の日経平均 = 上げ +608.14円≫

        ≪12日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
   


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